91話 王都公園2 冒険者養成所70日目
リックと二人きりになれることで話が長くなることに気付きました。なのでしばらく王都公園の話が続きます。
みんな1周して交代の時間が来た、リタはクリストファーの所へ行ったがブロッサムが交代しようとしない、ケンカにもならないケンカが始まっていた。
ストアはブロッサムをなだめながら、提案をした。
「前半は俺は普通に漕ぐからクリストファーはウォーターで競争しよう 後半は身体強化同志の競争をしてみない」
「面白そうだ やるぜ ポーション」
「魔力切れになりそうだったら無理しないでくれ この前のリタみたいになるから」
「ストアが魔力切れになったら看病してやるよ」
「じゃあ クリストファーが魔力切れになったら おぶってあげて」
「ゲッ クリストファー 魔力切れするなよ」
「なんだよ乗せてやるのに 生意気な女だぜ」
「期待してるんだぜ クリストファー」と肩をバンバン叩くリタ。
ストアとブロッサムのペアとクリストファーとリタのペアに分かれてボートに乗り込む。
「リタ 号令をかけてくれ」
「わかったよ ヨーイ ドン」
ストアは後ろ向きでボートを漕ぎ、クリストファーは後ろ側で横向きになり水を噴射させる、ブロッサムはストアとクリストファーをワクワクしながら見ている、リタはウォーターの加速に喜んでいた。
クリストファーは消火栓のホースから出るような水を出し続けながら加速していく、ストアは漕いでる時は加速するが宙に浮いている時は加速しないで徐々に差が開いていく。
「ガッハッハ ポーションどうした」
「ヌオーッ」と絶叫しながら頑張るがうまく力が伝わらなくて空回りしてストアの負けになった。
「ボロ負けじゃないか」とリタ。
「慣れてないだけだよ」と負け惜しみを言うストア。
「俺様に勝とうなんて100年はやい」とクリストファーは絶好調だ。
「キャッキャッキャ」とずっとはしゃいでるブロッサム。
ストアの息が整ったら後半戦の身体強化ボート競走だ、距離は200Mぐらいだ、クリストファーのボート方が体重が重いハンデがあるが船の上なのであまり気にならない、ストアはさっきの競争の経験を踏まえながら必勝を期す。
「リタ 頼むよ」
「ヨーイ ドン」
二人共一斉にボートを漕ぎだす、ストアの方が出足がいいようだ、アシスト身体強化を微調整しながら加速していく、それに焦るクリストファーは身体強化全開でストアを追う、クリストファーはベストの時はストアのスピードより速くなるが空回りも多い、追い付けそうで追い付けないラスト10Mの所に来た時に問題が発生した。
「バキッ」踏ん張っている足の部分で船に穴を開けてしまった。
ストアはそのままゴールしたがクリストファーはしばらくして水がボートに入りながらゴールした、そして急いでボート乗り場で降りるリタ、クリストファーも下半身を濡らしながらボートから降りた。
「やべえな」
「俺もまさかこうなるとは」
ストア達はボートを引き上げて係りの人に謝り修理代を払った、クリストファーは自分が払うといったがストアも半分支払った。
「でもなんだかんだで面白かったよね」
「ああ 馬鹿になれるのもいいもんだぜ ガッハッハ」
二人が笑いながら帰ってくると、心配そうな顔をしていたリタとブロッサムは目を点にしていた。
「怒られなかったのか?」とリタ。
「謝罪はちゃんとしたし修理代も払ったよ」
「親が知ったら怒られるだろうけどな」とクリストファー。
「親が知ったらね」と二人は見つめ合って笑った。
「でも ここを出るまでは大人しくしてようぜ」とリタ。
三人は見つめ合いそしてまた笑いあった、懲りない面々である。
ブロッサムは三人を不思議そうに見つめていた。
その時リックはペギーとボートに乗っていた。
「リック君とボートで二人っきりなんて夢のよう」
「そんなことないさ 僕も普通の男だよ」
「最初に出会ったときはリリー目当ての軽薄な人だと思ったけど全然そんなことなくて」
「ただかわいい子と食事したかった軽薄な男さ」
「そうね 本当にそれだけだったわ みんなリック君に甘えるようになって」
「女性に甘えられて喜ばない男はいないさ それにこういう雰囲気が味わえるのも今だけだと思うしね」
「町の学校でもこんなに男女で遊んだことないよ」
「そうなんだ」
「リック君」
「何」
「ここに来て 好きな人ができた?」
「どーしたんだい急に」
「ここにいる誰かと結婚したらまた会えるかもしれないと思って」
「それで会ってどうするの?」
「う~ん ごめんなさい ただ養成所が終わっても会いたくて」
「うれしいけど ここでの生活はお祭りさ 色んな刺激があって楽しいけどね」
「そうね」
「ここでの生活が楽しいハズなのに、そのせいで不幸を感じるのは悲しいよ」
「うん」
「だから僕との思い出を土産話にここでの日々を自慢話にして欲しい」
「うん」とは言ったがまだ呑み込めない感じのペギー。
「ペギーは花の事は詳しいの?」
「えっ 少しなら」
リックは綺麗に咲いている花の事をペギーに聞くのだった。
そう、すべては時がときめいた感情も尖った心も少しずつ薄れさせてゆく。
ここに来て失った感情を取り戻し始めたリック、初めて芽生えた感情をうまくコントロールできないペギー、そうやって時は流れていく。
その時、他の男子軍団は少しでも美女軍団に好かれようとボートの上で悪戦苦闘していたのだった。




