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39話 ハートビートの森(前編)  冒険者養成所 50日目


 ハートビートの北には広大な森が広がっている,主に薪の配給源として丁寧に下草を刈られている管理された森,こんなに管理された場所にも魔物がいる、主にギジラ。ポーンラビット・おおもぐらなど,ゴブリンは狩りつくしたと言われている。


 元々はオーガなどB級の魔物が跋扈する森であったが首都移転が決定した後に国軍総動員で掃討し、それ故に危険な魔物の侵入に気を付けなければならない森である。


 休日にストアとリックとリタとオリアンティの4人は北の森に来た。


 身体強化の魔法の時間で仲良くなったリックとリタ。


 どーしても狩りをしたいリタがリックを口説いて北の森に連れてきたのだ。


 リタは前から行きたかったのだがハートビートの森のことは全然知らなかったのでストアと冒険者ギルドまで行き調べたのだった。


 アレクシスも誘ってみたのだが筋肉痛がようやく治ってきたばかりだし魔物が逃げまくると聞くと興味を失ってしまった。


 それにリタは身体強化した自分が弓をどのように使えるようになったのかも知りたかった。


 冒険者養成所に来てから可愛さが増してきているオリアンティはリタが行くというのでついて来たのだが実は美少年御曹司のリックとかわいいストア君を独占できることがうれしかった。


 いくら村長の娘と言っても都会でも有数の商会の美青年御曹司で会話も楽しいリックは眺めるだけでも至福だった、村に帰っても多分一生自慢できる。


 普通の友達として接してはいるつもりだがニヤける顔を一生懸命に隠しても気を抜くとニヤけてしまう。


 ストア君はかわいい、言動も顔もかわいい、抱きしめたくなる、ただ恋愛には鈍感そうで振り向いてくれなさそうなのがオリアンティには不服だった。


 リックは弓の狩猟は久しぶりだし気分転換にもなると思い、リタの誘いに乗ったのだった。


 ストアはリタと前に約束していたのでついて来たという単純な理由だった。


 ちなみにストアの弓の腕はからっきしだ、いつも襲ってくる魔物だけを相手にしてきたからだ。


 北の森は人が行方不明になる事件が多発していたが身体強化の魔法を使える人が3人もいれば問題はないだろうと判断してこの北の森にやって来た。


 もうひとつ、最近、新人冒険者のグループが帰って来なくなる事案が多いというのがあったのだが、北の森へ行ったという情報もなかった。


 この森は隠れる場所がない、所々におおもぐらの穴があるだけでだからどうしても遠距離からの弓でしか狙えない、


 ポーンラビットやキジラは人を見るとすぐに逃げる、逃げるから狩りつくせないのでゴブリンがいなくなってもこの森で生き残っているのだった。


「30M以内には近づけないわね」


 ストア達は数少ない隠れられるポイントから弓を射った。


 まずはリタが身体強化の魔法で腕と目を強化して射った、すごい速さで飛んでいき見事にポーンラビットを仕留めた。


「凄い 本当にあんな遠くの獲物が狩れるなんて」と大喜びのリタ、身体強化で得た力は本物だった。


 一人が射ると交代順番に狙った、獲物がいなくなったと判断すると次のポイントへ移動を繰り返した。


 オリアンティは狭い場所でリックが弓で射る端正な真顔をすぐ横で眺め、一生懸命獲物を狙うストアをやっぱり可愛いい姿と眺めて一人顔を赤らめていた。


 リックは後半に勘を取り戻し弓が当たるようになった、オリアンティはまぬけなギジラが近い場所まで来たので仕留めることができた。


 ストアはパワーは申し分ないのだがなかなか当たらない、そうこうしている内にいい時間が経ってしまった。


 ストアはもう少しやりたがったが狩りは終了ということになった。


「結構、奥まで来たね 日が暮れる前に そろそろ 帰ろう」


 帰りの準備をして、来た方向に帰るストア達。


 日は沈んでないのだが西日の当たらない森の部分はほとんど見えなくなっていた。


 成果はリタは5匹、リックは2匹、オリアンティは1匹だった。


 結局、1匹も獲れなかったストア。



「気にするな 今度 教えてやるよ」とリタ


「オリアンティでさえ一匹捕まえたのに」


「村ではみんな弓で狩りをするからね」



などとストアをニコニコしながら慰めるリタだった。


 一方、リックとオリアンティは



「けっこう 弓 うまいんだね」


「そんなことないよ」


「身体強化の魔法がなかったら 負けてたよ」


 褒められて身がよじれるぐらいうれしかったオリアンティは意味もなく、


「あっ あそこにあるお花がきれい」


 と言って、暗がりの中に光がさしている場所にある花のある場所へかけるオリアンティ。



「一人じゃ危険だよ」と追いかけようとするリック。



 その時、木の陰から黒い物体がオリアンティを襲う。



「危ない オリアンティ」



 抜刀しながら近づくリック、しかしオリアンティの背中から剣が見えた。


 オリアンティのカラダから引き抜き剣をかまえる何か、オリアンティはそのまま倒れ血を流している。


 リックの視界に見えたのは黒い魔物だった。


 斬ろうとすると木の陰に隠れる黒い魔物、リックは追撃せずオリアンティを背にしてストア達を待つ。



「リック 上」と叫ぶストア。



 2匹の黒い魔物が同時に木の上からリックを斬りつけようとする、リックは先読みを発動して2匹の攻撃を華麗にかわし、2匹を瞬く間に真っ二つに斬り倒す。


 倒された黒い魔物は体は普通のゴブリンと同じ子供ぐらいの大きさなのだが異様に上半身、特に腕だけが太い黒いゴブリンだった、こんなゴブリンは見たことがないし、ストアが叫ぶまで気付かなかった。


 駆け寄りながら「オリアンティ」と叫ぶリタ。



 リタは村長からオリアンティを守るように言われていた。



 そんなことを言われなくても守るつもりだった。


 しかし私の提案で狩りに来て、今、オリアンティは血を流して倒れてる、張り裂けそうな気持ちでリタはオリアンティを見ていた。


 ストアはポーションを取り出しながらオリアンティに近づいた、そして衣服をはがすと綺麗な肌と血がにじみだす傷口が見えた。


 ストアは傷口に何度もポーションをかける、体を裏返して同じようにポーションをかけると傷口はふさがった。


「一応 応急処置はできた でも 中の状態がわからない」


 ストアはもう1本ポーションを開けオリアンティを抱き寄せポーションを飲ませようとしたが意識が朦朧としていて飲んでくれない。


 意を決してストアはポーションを口に含み、オリアンティの口にポーションを流し込んだ。


 オリアンティは朦朧とした意識の中でストアの顔が迫ってくるのを眺めていた。


 ストアはオリアンティが飲むのを確認するとみんなに言った。



「あとは安静にして医者にみせないと」



 しかし治療をしている内に周りは凄い殺気に包まれているのをストアは感じた。



「リック 殺気が凄い 囲まれてる」


「そうなのか」とリック。


「リタ オリアンティをかついで走れる?」


「ああ 今の私ならできると思う」


「俺が先導するからついてきて」


「ああ すまない」


「リック しんがりをやってくれ オリアンティ達を安全な場所まで連れていく それから木には近づかないでくれ さっきみたいに見えない場所から攻撃してくる」


「わかったよ」


「それからリック 逃げるだけの魔力は温存して戦ってくれ」



 そういうとストアはリタの前を早歩きで進んでいく、それについていくリタ そして後向きでリックがついていく。


 ストアとリック達にブラックゴブリンが暗い場所から現れ一斉にワラワラと現れ襲い掛かってくる。


 見事に敵の攻撃を避けながらブラックゴブリンを倒していくストアとリック、しかしストアとリックのカラダには切り傷が浮かんでいた。


「なぜだ」 とまどう リック


 戦いながら悩むリック


 ストアは斬撃のような感覚を捕えていた。


 しかしリックに言うことはできない、前にいて襲ってくるブラックゴブリン達を倒すので精一杯だった。


 リックは致命傷にならないように軽く身体強化の魔法をかけながら戦った。


 前を行くストア達はもう見えない、暗くなっていく森の中で孤軍奮闘するしかなかった。


(マテウス師匠 ゴードンさん あの時の気持ちはこんな気分だったんですか?)




 ストアはブラックゴブリンを倒しながら殺気のしない方向へオリアンティ達を誘導していた。


 そして殺気を感じなくなり道に出ると真っ赤な夕焼けが輝きやけに美しかった。



「リタ このまま オリアンティを街まで頼む」


「わかった 気をつけろよ ストア」



 そして二人はお互い違う方向に走っていくのだった。

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