30話 ストア 水魔法のきっかけを掴む 冒険者養成所 33日目
3日目になると水魔法の成果が出てきた。
きっかけはトーマスの一言だった。
「ポーションは手を覆うときは水の量が多いよね 出すときは少ないのに」
ハッとしたストアはもしかしたらと思いバケツを借りてきてそこに水を入れるイメージをして呪文を唱えた。
「水となりて我を潤せ ウォーター」
そう唱えると、今までにない勢いで水が出てきた、そしてバケツ一杯になると水が止まった。
「ポーション できたじゃねいか」
「本当だ 今までの姿が嘘みたいだ」
「俺 できた ヤッター」
大喜びするストア、そしてトーマスに礼を言った。
「ありがとう トーマス 君のおかげだ」
「僕 何かしたかな?」
「手に覆うときは水の量は多いって」
「言ったけど それが関係あるの?」
「手で覆うときに必要な量の水は出てたんだよ じゃあ なぜ 水は出ないのか? 答えはバケツだと思ったんだ」
「バケツ?」
「今回はバケツに水を一杯にするイメージで魔法を唱えたら できたんだよ」
一斉にバケツをみる二人。
「ちょうどいい量の水がはいってるぜ」
「そういうことだったんだね おめでとう ポーション」
「ありがとう トーマス」
それからストアはバケツにどれだけ速く水を入れられるかの練習に変わっていった。
そうすると勢いと一度に出る水の量が増えていった。
余裕が出てきたストアは水がどこまで飛ぶかやってみた。
最初は2Mぐらい飛んだのだった。
それがきっかけとなりみんなで遊んだ。
おもしろかったのはクリストファーもトーマスも少量の水を出すことができなかったことだ。
クリストファーもトーマスも水をちょっとだけ出すなんてしたことがなかったみたいだ。
ストアの飛距離がどんどん伸びていくと二人は真似てちょっとだけ出すようになった。
水の量が少なすぎると遠くまで飛ばすまでに消えてしまう、遠くに飛ばす遊びは試行錯誤があって楽しい遊びだった。
結果、トーマスの水の出す量と勢いが良くなった、トーマスもビックリの結果だった。
クリストファーも水の量が多かったけれど、それからは水の圧力がくわわったのだ
こうやってみんなで遊んでいる間にウォ-ターカッターに必要な力を磨いていったのだった。
ウォーターの魔法も目途がついたので今度は氷の魔法に挑戦するストア、まずはお手本をトーマスにお願いした。
「トーマス 手本を見せてほしい」
「いいよ それじゃーいくね ウォーターアイス」
トーマスの左手を右手に添えた手の先からピンポン玉のような氷がボトボト出てくる。
「ワー本物だ 本当に氷が冷たい すごいね トーマス」
「うへへへへ そんなことないよ」
「どうやって できるようになったの?」
「ずっと親が出してる所を見てきたから自然にできたような気がする」
ストアは一度試してみることにした、右手をウォーターの呪文のようにして呪文を唱えた。
「水よ時を止めよ ウォーターアイス」
シーン 水も氷も出てこない。
「何も出てこない」
「ププ」「ガッハッハ」また笑われた。
「う~ん 難しい」
「この前みたいにまとってみたら」とトーマス
「やってみるよ」
気合いを入れ呪文を唱えるストア。
「水よ時を止めよ ウォーターアイス」
「シーーーーーン」
「変化がなかった 冷やりともしない」
「ガッハッハ」「だめだったね」
なぜだろうと悩むストア、その時に閃いたのが、
「氷は日常生活で役に立つものだ 長期保存したり 遠いところから食料を運んだり しかし氷は難しい 日常ではほとんど接しないからな」という教官の話、
そうか、ほとんど見たこともさわったこともなかったんだ。
「クリストファー お願いがあるんだけど」
「なんだ ポーション」
「たくさん氷を出してほしいんだ 俺のまわりを囲むくらい」
「おやすい御用だ」
「それとトーマスにもバケツ一杯に氷を作ってほしい」
「それぐらいなら」
クリストファーが右手をかざし呪文を唱える。
「出でよ ウォーターアイス」
ソフトボールぐらいのアイスがボンボコボンボコ出てくる。
「うわっ 凄い」
最終的に1Mぐらいの氷の山ができた。
「これぐらいでいいか?」
「ありがとう クリストファー」
「じゃあ 僕も ウォーターアイス」
トーマスが呪文を唱えるとバケツ一杯に氷が埋まった。
「ありがとう トーマス」
「うへへへへ 何度でもいってよね」
「ポーション この氷 どうするつもりだ」
「それはね こうするんだよ」
というとストアの周りに氷を置き始めて最後は囲むようにした。
バケツを持ってきて左手をその中に入れた。
「つめて~~~~~っ」叫ぶストア。
「プププ ガッハッハ」笑いまくる、クリストファーとトーマス。
ブルブル震えるストア。
「今ならできそう」
「えっ」と二人。
右手をかざし呪文を唱えるストア。
「水よ時を止めよ ウォーターアイス」
「ボト ボト ボト」とピンポン玉ぐらいの氷が3個出てきた。
「で~ぎだ やっだ~~」
笑ってた二人は氷が出てきて驚いた。
「氷だ」
「ポーション 氷できてるよ」
「今の俺は氷なんだ だから氷ができたんだ」
「プププ ガッハッハ」
「ありがとう 二人のおかげだ ヘッ クシュン」
「変だけど できちゃうね ポーション」
「ガッハッハ ポーションがいると楽しいぜ」
「ヘッ クシュン ヘッ クシュン」
こうして笑われながらも氷の魔法を習得したストアは初級をクリアした。




