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27話 水魔法とクリストファー 冒険者養成所 31日目

 今週の魔法の時間が来た。


 ストアは悩み悩んで水魔法を学ぶことに決めた。


 水はいついかなる時でも必要なものだし、ポーションを水のない場所でも作れるのもいいと思った。


 教室は1階の水対策の為に洗濯場に隣接された場所にあった。


 教室に行くとクリストファーと子分のトーマスも一緒だ。



「おっ ポーション」二人が同時に叫ぶ


「やぁ クリストファー トーマスも」


「僕の名前を呼んでくれた」と喜ぶトーマス


「そういえば そうかも」



 名前すら出てこなかった子分達だった。



「クリストファーとトーマスはいつからココなの?」


「俺達も今日からだ」


「じゃ いっしょに水魔法を覚えようよ」


「いや 俺達はもう水魔法を使える」うんうんと同意するトーマス


「二人とも最初から使えるの?」


「精肉店の人間は大体は水魔法を使えるんだよ」とトーマス


「へー そうなんだ」


「そうじゃないと家を継げないんだよ」


「そうだぞ ポーション 水・氷・熱湯ができれば一人前だ」


「熱湯というのもあるんだ?」


「部屋を熱湯で綺麗にするんだぞ」


「僕はまだ熱湯は使えないけどね」


「そうなんだ」



 教官が来たので話をやめて教官の話に集中する。



「今日ここへ来たもの、実演を見たいもの、話を聞きたいもの、試験を受けたいもの以外は自由にしてくれ」



 ほとんどのものが教室を出ていく。



「ここにいるもので初めての人は前に来てくれ」



 いつもの新人への説明が始まる。



「水魔法は魔法の中では一番簡単な魔法だ それはなぜかと言えば 日常的に体に使っているものだからだ 飲んだり 洗ったり いつも身近にいる存在だ 火を飲んだり浴びたりはしないだろう」



 クスクス笑う生徒達。



「慣れるとウォーターで水を出せるようになるが正式にはこうだ」



 そういうと右手を開いて、呪文を唱えた。



「水となりて我を潤せ ウォーター」というと水が右手からどんどん出てくる。


「これがウォーターだ」



 じっと眺める生徒達。



「攻撃性を高めるとこうなる」



 教官の顔が真剣になり生徒のいない方向に手をかざす。



「心の海よ 溢れ出よ すべてを洗い流せ ウォーターウェイブ」



 突然に波のような水があらわれ、あたり一面を水びたしにする。



「キャー」と生徒の悲鳴がする。


「落ち着け 落ち着け 落ち着いたか ウォーターウェイブは魔力を強めれば強めるほど大きくなる」



 うなずく生徒。



「もし 熱湯の状態でウォーターウェイブを使えれば、そこにいる奴は全員大やけどをすることになる」



 シーンと言葉が出なくなる生徒達。



「水魔法のもう一つの使い方は圧縮率を上げて、切る魔法だ」



 そういうと木の板を椅子と椅子の間にのせた。


 そして指先を板に近づけて呪文を唱えた。



「すべての水よ 指先に集まり すべてを貫け ウォ-ターカッター」



 指先から超高速の水が噴き出し板を切っていく。



「おお」生徒がどよめく。



 あっという間に板を真っ二つにした。



「これが圧縮技のウォ-ターカッターだ 魔力があり圧縮する技術があると本物の木でさえ切ってしまう」



 うなる生徒達。



「水魔法は簡単だが魔力と技術がないと応用技はできない だから試験も初級・中級・上級の試験があるし冒険者カードにも書かれることになる」



 うなづく生徒。



「次に氷だ」



 そういうと詠唱を始める教官。



「水よ時を止めよ ウォーターアイス」



 氷が右手からボタボタ落ちてくる。



「氷は日常生活で役に立つものだ 長期保存したり 遠いところから食料を運んだり しかし氷は難しい 日常ではほとんど接しないからな」



 言葉を続ける教官。



「氷の魔法は応用しにくい 大きくするぐらいしかない つまり攻撃には使えない魔法だ」



 生徒の顔を見て話を続ける教官。



「最後に熱湯だ 生徒は私の後ろ側に行くように」



 後ろ側に移動する生徒生徒は教官の後ろから見ることになる。



 教官は呪文を唱える。



「水よ燃えよ 熱く熱く ホットウォーター」



 水蒸気と共に熱湯が右手からドバドバ出る。


 顔が引きつる生徒達。



「お湯は寒いときに必須で非常に役に立つ 薪なしで風呂に入れるのも便利だ」



 うなずく生徒。



「ただ 攻撃に使った時のやっかいさはウォーターウェイブをイメージすればわかるな」



 うなづく生徒。



「魔力は水・氷・熱湯の順により必要になる、量を出すことが必須の水魔法は持っている魔力タンクが重要になる」



 生徒の顔を見て、試験の事を語る教官。



「初級試験は水を出せる 氷を出せる 中級は熱湯を出せる 上級はウォ-ターカッター ウォーターウェイブのどちらかを使えるかだ」



 生徒はお互いの顔を見て、しゃべりたがっている。



「新人への説明は以上だ 聞きたいことがない人 試験を受けたい者以外は時間まで自由行動だ」



 そういわれて教室を出る生徒達、ストア達も教室を出て広場に向かう。



「水魔法って凄いね」


「ウォーターウェイブ 俺なら今でもできるぞ」


「えっ クリストファーできるの?」


「いつもはドパーと出してるだけだがな」


「トーマスはどうなの?」


「あんな量を一度に出したことないよ」


「クリストファーの魔力は大きいの」


「ガハハ 俺は大きいって言われたぞ 千人に一人だ」


「凄いな トーマスは?」


「僕は普通ぐらいだって」


「俺と同じくらいかも」


「ポーションは魔力はそんなにないんだな」


「きれいな割に魔力が少ないって言われたよ」


「きれい?」


「リックと俺はきれいな発色だって」


「俺は言われてないぞ」


「僕も言われてない」


「そうなんだ 知ってる人に聞かないといけないかな」



 そんなことをしゃべりながら広場にある木下の木陰に来た三人。



「ウォーターの手本を見せてほしい」


 うれしそうにトーマスが出てきて、


「しっかりみててね ウォーター」



右手から蛇口をひねったように水がだすトーマス。


「ジャー」


「結構出るね」


「うへへへへ」 おだてに弱いトーマス


「そうでもないよ」



 ストアは教官が言ってた言葉を思い浮かべて呪文を唱えた。



「水となりて我を潤せ ウォーター」


「ポタポタポタ」 しずくのような水が出るストア。


「ガッハッハ」「クスクス」二人に笑われるストア。


「う~ん なんでだろう?」


「勢いが足りないんじゃないか?」


「出すイメージが足りないと思う」



う~ん悩むストア、そしてもう一度呪文を唱えた。



「水となりて我を潤せ ウォーター」


「チョロチョロチョロ」


「おお やった 増えた」


「ガッハッハ」「フフフ」やっぱり二人に笑われるストア。


「確実に進歩してるだろ」



ニヤリと笑い、右手を前に出しクリストファーが呪文を唱える。



「出でよ ウォーター」



 消防署のホースから水を出したように水が飛び出す、周りの人達もクリストファーを見る。



「なにコレ 凄すぎ」


「ガッハッハ」


「いつみても クリストファーは凄い」


「1番だからな」


「この量で熱湯を出せる?」



 ちょっと顔つきが真剣になるクリストファー。



「出でよ ホットウォーター」


「ドーーーーーーーーーーーーッ」


 大量の湯気と共に大量の熱湯が4M先まで飛ぶ。



「うわうわ わわわ もういいよ クリストファー」



 広場にいる全員がクリストファーを見る。



「これできたら 剣なんかいらないぐらい凄い」


「ガッハッハ そうか そうか」


「でも ケンカに使っちゃいけないって業界の掟があるんだよ」


「そうなんだ」


「剣は思いっきり振れるからいいぜ」


「包丁で遊んではいけないって業界の掟があるんだよ」


「クリストファーは何にも気にしないみたいだけどルールは守るんだね」


「当たり前だろ 肉が食えなくなるからな」



 納得するストアであった。


 ストアはそういえばと思い、もう一度、呪文を唱えることにした。



「水となりて我を潤せ ウォーター」


「なんだそれは」



 ストアの腕が水の膜で覆われた。



「やっぱり」とつぶやくストア


「どういうことだ ポーション」


「そんなの見たことないよ」


「身体強化の魔法は魔力をこんな風に纏わせるんだよ」


「そうなのか」



 シゲシゲと見る二人



「出す行為をしてなかったから水が出ていかないんだ」


「クセになってるんだな」


「そうみたいだ」



 結局ストアは授業中はまともに水を出すことができなかった。


 トーマスも熱湯の練習をしたが水を多く出すとぬるくなり 高温だと少量しか出なかった


 クリストファーは「ガッハッハ」と笑い続けた。


 そうしているうち授業は終わったのだった。


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