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第十三話




 エレウシスに拠点を置いてしばらくしは、冒険者ギルドに通い様々な依頼をユウキと二人で(たまにモモも交えて三人で)こなしていき、順調にランクもDに上げていった俺たちだが、ある日変わった依頼を見つけた。


・依頼 盗賊に囚われた娘を助けてほしい

・ランク C

・依頼主 イーデン・トリンブル

・内容 盗賊団に娘が攫われてしまった。どうか娘を救い出してくれ。(この依頼では盗賊団を壊滅させる必要はありません)


 俺が一つの依頼ばかり見ているのに気付いたユウキがどうしたのか聞いてきた。


「ああ、この依頼を見てくれ。普通の盗賊退治はランクE~Dなのに対しこいつはランクCになっている。しかも、依頼を良く見てみると盗賊を倒さずに娘さんを助けるだけで任務が完了することになっている」


 見れば見るほど、普通の盗賊退治とは違う感じがして楽しそうだ。しかし、俺の気持ちとは裏腹にユウキはこの依頼に対して危機感が強く感じ、受けたくないって顔をしていた。


「ねぇシンヤ、違うのに「受けるぞユウキ」・・・だよね」


 今までの付き合いでユウキは俺が危険な依頼が大好きだと知っていて、この依頼を見つけられた時点ですでに諦めていたようだ。


「なら少しでも情報を集めようよ、受付の人なら何か知っているかもしれないし」


 受付の人にこの依頼について聞いてみると、どうやら盗賊団のボスがユニークスキルを持っていてかなりの腕前だそうだ。だから、この依頼は救出だけでクリアになる仕様みたいだ。


 ちなみに、このゲームでのユニークスキルとは一つのキャラに一つだけ取得することができる特別なスキルらしい。ただしそれは、強力な必殺技だけでなく、特定の条件で発動し特別な変化を促したり、世界そのもののルールを改変したり。色々多彩なスキルがそろっているようだ。


「うわぁ、ついにユニークスキルもちが出てきたか。いま結構提示版で話題になっているよ。こんなユニークスキル手に入れたとか、こんなユニークスキル持ちの敵がいたとか。下手したらこのゲームの敵は巨大なモンスターより人間の方がたちが悪いかもしれないよ。」


 たしかに、力押しで攻めてくるモンスターより色々たくらんでくる人間の方が厄介だよな。しかも、ユニークスキルがあると何が起きるかわからないときたもんだ。


「ちなみに、ボスはどんなユニークスキルを持っているんですか?」


「申し訳ございません、現在調査中です」


 つまりわからないと。まぁいい、初めてのユニークスキル持ちとの戦闘でネタバレを食らうのも興ざめだしな。


「しかし、ユニークスキル持ちか・・・これは楽しくなりそうだな」


「・・・その反応だとやっぱりこの依頼受けるんだね」


 ため息を吐きつつユウキはこっちを見た。今までの付き合いでユウキは俺のことをよくわかってきているな。


「当然、行くぞユウキ」


 こうして、俺たちは依頼を受け、依頼の詳しいことを聞くために依頼主のところに向かった。



「ぶもももも~~」


「おらぁ!!」


 依頼主である、イーデン・トリンブルは俺たちが装備を買った。トリンブル武具店のオーナーでその見た目はダルマの様にまんまると太っていてそいつが涙を流しながら俺たちに向かって突進してきたので俺が拳で迎撃したのが先程の流れだ。


「ちょっと! なに依頼主に暴行を加えているんだよ」


「いやだって、いきなりこのおっさんが襲いかかってきたから思わず手が出てしまったんだよ」


 何が悲しくて見た目がダルマか豚のおっさんに抱き着かれなくてならないんだ。これが美女なら喜んで受け入れるがあんなおっさんでは思わず迎撃してしまうにきまっているだろう。


 ユウキに言い訳していると、おっさんも起きたようで俺たちを応接室まで案内してくれた。


「いや~、先程は済まない。大切な一人娘が攫われていて思わず取り乱してしまったようだ。君たちが依頼を受けてくれた冒険者の方でいいのかね」


「ええそうです。こちらこそ先程は殴ってしまいましてすいません」


 俺が出合い頭の一撃について謝ると、トリンブルのおっさんは笑って許してくれた。


「ハッハッハ、そのことは気にしなくてもいいよ。どうやら噂通り腕が立ちそうではないか」


「噂?」


 はて? 俺は何か噂になるようなことをしたかな、心当たりがないんだが。だから、ユウキ『今度は何したの』って感じでこっちを見るな。


「ああ、デーニッツの奴が言っていたんだよ。最近、シンヤという若い冒険者が駆け出しとは思えないほど稼いでいるようだと」


 あの宝飾店のおっさんか! 何気に要注意リストに載っていないか俺!


 ユウキもそのことに気付いたのか、そっと俺から視線をそらした・・・だけど、忘れるなよユウキ、この街に着いてから俺たちは殆ど行動を共にしていたことを。つまり、俺が載っているなら必然的にお前も載っていることになることにな。


「それで、娘が攫われた時の状況を説明するとだな・・・」


 おっさんの説明では、鉱山都市『フェラーラ』から商品を仕入れて帰っている最中に襲撃を受けたそうだ。護衛達も必死に応戦してくれたが、おっさんを逃がすのが精一杯だったそうだ。盗賊は身代金を要求しており。金をエレウシス近郊の廃砦まで持ってくるように言ってきたそうだ。


「どうやら、ボスがユニークスキルを持っているそう何ですが、何か情報は無いですか?」


「やはりユニークスキルですか・・・実は護衛が戦っている最中おかしな現象があったのですよ。いきなり護衛の一人が槍に貫かれて死んでしまったんですよ」


「いきなり・・・っと言いますと?」


「言葉通りいきなりですよ。盗賊に槍を刺されたわけでもなく、いきなり胸から槍が生えてきて、その護衛は亡くなってしまったのです。


 なるほど、なら考えられるのは透明化か空間転移系の能力だな。透明にした槍を投げたか、空間転移で槍を直接護衛に刺さるように飛ばしたか・・・できれば透明化がいいな、空間転移だと下手したら回避しか対処手段がないかもしれないし。


「私から言えることは以上です。どうか娘のことをよろしくお願いします」


 そう言い、頭を下げてきたおっさんに俺は神妙な面持ちで告げた。


「俺から言えることは必ず娘さんを助け出します・・・なので娘さんの処女はあきらめてください」


「ぶもももも~~」


「最後に何を変なことを継ぎ足しているんだよ!」


 俺の発言におっさんは泣き出し、ユウキは俺を殴り飛ばしてきた・・・最近本当に遠慮が無くなってきたな。


「だって、物語の定番では絶対に娘さん輪姦されているよな」


「変なこと言わない! このゲームは年齢制限がないからそんな表現はされない」


 ・・・ラブホはあったのに。


「ぶももも~~、どうか・・・神よどうか娘の身を守ってください。最近は反抗期で私の事を養豚場の豚を見るような目で見てきたり。私の洗濯物をゴミをつまむように心底嫌そうにしますが・・・それでも大切な一人娘なんです」


「なぁユウキ、このおっさん滅茶苦茶娘さんに嫌われてないか・・・それとも年頃の娘は父親にはそんな態度をするものなのか?」


「・・・他人の家族の事情に不用意に踏む込まないほうがいいよ」


 ・・・ユウキも反抗期なのか?






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