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ギャルゲーのモブに転生したけどまだ発売されてないR-18バージョンだった  作者: 猫野 ジム


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第16話 さすがに言い過ぎじゃないか?

陽香(はるか)を彼女にしたいだって?」


 そう言った江並の声のトーンと表情はいつもと変わらず、特別驚いた様子も感じられない。喜怒哀楽のどれなのかは分からず、それ故に何を考えているのか全く見当もつかなかった。


「さっきも言ったけど朝陽奈さんって素直で可愛いなと思ってるんだ。明るくていい子だよな」


「そうか? なんかいつもボーっとしてるイメージなんだがな」


「いいじゃないか。話してると楽しいぞ」


「そう思うのは階堂がまだ陽香と知り合って間もないからだ。俺は小学校低学年の頃から知ってるが当時からいつも俺にべったりだったな。前にも言ったが考えてもみろ、ずっと絡んでくるんだぞ? ウザいと思うことだってあるから」


「だから高校に入ってからは疎遠だったのか。さっき朝陽奈さんが言ってたよな」


「まぁそれもあるな」


「それも?」


「同じ高校とはいえ一年の時は別のクラスだったからな。だから自然と興味がなくなったというか忘れていったというか」


「幼馴染でもそうなるものなのか?」


「少なくとも俺はそうなった。陽香がどう思ってるのかは知らん」


「それなら尚更に不思議なんだが、どうしてまた朝陽奈さんと一緒にいようと思ったんだ?」


「あー、まぁそれはいいじゃねえか」


 江並はここで答えなくなった。確か前に聞いた時は「一度ヤッてみたい」って言ってたな。俺が江並に対して最初に違和感を覚えたセリフでもあった。


 これは推測だけど、体が成長した朝陽奈さんを見て思うところがあったのかもしれない。


 あの時はまだ聞いてもないのにすんなりと話してくれていたのに、さっきは答えを濁された。

 もしかすると江並になんらかの心境の変化があったのかもしれないな。


「なぁ階堂。お前は本当に陽香を狙ってるのか?」


「狙うっていうとなんだかイメージがよくないが、彼女になってくれたらいいなと思ってるよ」


「そうか。だがさっき陽香が何を言って部屋を出て行ったのかお前も聞いただろ?」


 さっき朝陽奈さんが言ったこと。それは『お花摘み』ならぬ『お花買い』のことだろう。


「ああ聞いたな。でもあれくらいの間違いなら可愛いもんじゃないか」


「実は陽香はあまり成績がよくない。だから追試とかで会える時間がなかなか取れないかもな」


「そんなのはテスト期間だけだろう。それに成績の良し悪しは俺にとっては大したことじゃない」


「それ以前にもう付き合ってる奴がいるのかもしれないぞ?」


「それならそれで諦めるさ。俺は別に朝陽奈さんに不幸になってほしいわけじゃないからな」


「陽香はあれで実は結構わがままだったりするんだ。変に意地を張ることだってある」


「それを許せる器の広さになれるよう努力するよ」


 どうして江並はさっきから朝陽奈さんのことを悪く言うのだろうか? 別に嫌いってわけでもないだろうに。


「なぁ江並。誰にでも欠点があるとはいえ、朝陽奈さんのことをさすがに悪く言い過ぎじゃないか?」


「そうか? 別に悪い奴だって言ってるわけじゃないぞ。俺から見た陽香のことを教えてるだけなんだがな」


「あれか、一緒にいる時間が長かったから悪い部分が目につくようになったってことか?」


「……まぁそんなところだ」


 少しの間を空けた後、江並はそう答えた。だけど何故だろう、それが妙に気になるな。


「お前がそう言うならそんな一面もあるんだろうが、俺はまだ朝陽奈さんについて知らないことが多い。だからまずはいろいろ知りたいなと思ってるんだ」


 自分でもなかなかに恥ずかしいセリフを言ってるという自覚はある。

 それに俺はおそらく江並が知らないであろう、朝陽奈さんの『想像するとつい手を伸ばしちゃう』(へき)を知っている。


 それを知った上でもなお、可愛いなと思えるんだ。


「俺のことはこのくらいにして、そういえば江並、前に言ってた一年の子とはどうなった?」


 それは文月さんのことで、江並は文月さんに対して「気が弱そうだからもう一押しでヤれそうだと思った」と言っていた。


「あー、あいつか。また誘ったら断られた。最初の時は喜んでたのに意味わかんねえよ」


 フラれてるじゃないか。文月さん、発想がぶっ飛んでるのに意外としっかりしてるんだな。

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