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ギャルゲーのモブに転生したけどまだ発売されてないR-18バージョンだった  作者: 猫野 ジム


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第10話 いつもそんなこと考えてるわけじゃありません

(いったいこいつは何やってんだ……)


 原作主人公である江並に対し、(あき)れてものも言えない。イケメンだからか? イケメン故の余裕なのか?


「江並、お前なぁ。本気じゃないのにそんなことしてたらいつか自分に跳ね返ってくるぞ」


「相手が喜んでたら別にそれでよくないか?」


「じゃあその一年の子が喜んでるってことだな」


「少なくとも俺にはそう見えた。なんかめちゃくちゃ俺のほうを見てたし。だからあとほんの一押しだろ」


 あー、多分それ違うぞ。そんないいものじゃないと思う。お前を見ながら怖い妄想をしてたんだと俺は予想する。


 まぁでも本当に文月さんが喜んでるなら、それはそれでいいのか……? 結局のところは本人がどう思うかなのかもしれない。


「俺のことより階堂、お前はどうなんだ? 彼女いるのか?」


「いや、いない」


「そうか。もし気になる子がいたらガンガン攻めろよ。多少強引でもいいからとにかく惚れさせろ」


「ああ分かった」


 強引かはともかく、確かに自分からアクションを起こさないと何も起こらないことは前世で体験済みだ。


 自分を変えてくれるエピソードなんてものは、ただ待っているだけではやって来ない。それこそイケメンに限るってやつだ。

 だが今の時代、遊び心であろうその言葉ですら炎上する可能性もあるから気をつけないと。


 そんな江並と話した日の放課後、俺は朝陽奈さんと話すため教室に残っている。他のクラスメイトの姿は少ない。ちなみに江並はすでに出て行ってる。


 確認したいことは一つ。朝陽奈さんは江並とデートをしたはずだ。

 そしてあいつはさっき朝陽奈さんのガードが固いと言っていた。ということは、二人の間には何もなかったと思われる。


 いったい何故そうなったのか? あの子はわざわざ新しい下着まで買ったというのに。「それを知ってる俺ってどうなんだ?」ということは考えないものとしても、本人に聞いてみたい。


 俺が自分の席から立ち上がると、朝陽奈さんがすでにこっちに来ていた。なのでまたすぐに座り待っていると、前にある江並の席のイスをくるっと俺のほうに向けて彼女が座った。


「ふぅー、やっぱりここは落ち着くねー」


 そう言って「うーんっ」と少し大げさに伸びをする。こういうちょっとした仕草でも可愛いなと思えるのは、この子の魅力の一つなのだろう。


「どうしたの、俺に何か用事?」


「うん、そうだよー。ちょっと階堂くんに聞きたいことがあって」


「俺で分かることなら何でも答えるよ」


「ありがと。それじゃあさ、変なことを聞くようだけど、男の子っていつもえっちなことを考えてるの?」


「え……?」


 いったいこの子は何を言ってるのか。予想外すぎて言葉が出ない。「それは君もなのでは?」なんてことは口が裂けても言えない。というかそもそも口が裂けたら言えない。


 違うな、この子は「好きな人のことを思うと」だ。つまりいつもではない。健全だ。


「俺は男代表じゃないからこれは完全に個人的な意見になるけど、男だからっていつもそんなこと考えてるわけじゃないよ。確かにこの子と仲良くなりたいとか思うことはあるけど、いきなりそんな飛躍した発想にはならない」


「そっか、そうだよね」


「もしかして江並とのデートで何かあった?」


「うーん、何かあったってわけじゃないけど、蓮二(れんじ)の様子がいつもと違ったかなって思ったの」


「いつもと? 楽しくなかったってことかな」


「そういうわけじゃないけど、なんていうか、ちょっと怖かったかなぁって」


「怖かった? まさか江並に何かされたんじゃ?」


「ううん、大丈夫だいじょうぶ。何もされてないよ。ただ蓮二が家に来ないかって何回も誘ってきたの」


「それなら一緒に買い物した時に朝陽奈さん自身が言ってたと思うんだけど」


「そうなんだけどね、実際に言われるとちょっと違ったかなって。だってあまりに何回も言うんだもん。だからつい断っちゃった」


 何考えてんだ、あいつは。自信たっぷりなことを言っておきながら結局ただのごり押しじゃねえか。怖がらせてどうすんだ。


 よし、もう今から推しと恋人になるために動こう。

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