その15
「これなら万全の状態で大国に挑めるな。 まずは身だしなみから整えてもいいよな?」
「ええ、私も代えのストックが欲しかったので賛成ですわ」
「サクマにしては女の子気持ち分かってるじゃない」
サクマにしては……余計だぞ怪力娘。
別にトルカとリーネの気持ちを汲み取ったのではなく俺自身が目立つ服装をチェンジしたいだけだっての。
たく、棘のある一言をよく口に出すトルカだ。
「お二人さん、どれ選ぶ? コルトを惜しみなく使ってもいいぞ」
「高価なものは要りませんので数が欲しいですわ」
「私はなるべく軽装な服でいいわね」
服屋は隣り合わせに何件もあり選ぶのに迷ってしまう。
無地の服に迷彩が入った服や紋章が刻まれた服と好奇心を狩りだたせる品物が有りすぎる。
やけに高額な品は魔法を編み込まれた戦闘服と買おうか悩み中。
人間でも身体能力がトルカほどあれば補助は要らないが、俺の身体能力は普通の一般生徒並みで平均だ。
……やはり買うべきか?
「む……怪しげなお店。 なになに''魔法瓶を売ってます''……と」
連続でライバル店同士の服屋が並んでいるとこに真っ黒のテントハウスに赤文字で魔法屋といかにも胡散臭い店だ。
看板にも赤文字で魔法瓶を売ってますと危険な雰囲気に目が止まったのだ。
入っては行けないと思うと入りたくなる。
試しに品定めしに行こう。
「お邪魔します」
「おーや? 人間の坊や来るなんて明日は雷でも落ちるのかね」
辛気臭いテントの中に現れたのは青の装束のマントに身を包んだ老婆らしき者。
ニッコリと笑った面を被り表情は確認できない。
今にでも出で行きたい怪しい匂いが充満する店に来てしまったものだな。
老婆よ。
そんなに人間が珍しいなら冗談な発言して腰を抜かしてやろう。
「雷じゃなく雲が落ちるかもな」
「くっくっくっ……面白いこと言う坊やだねー。 なーに、客は全て平等に扱うから警戒を解きなさいな」
へえ……警戒している節を感じさせないように振る舞っていたのだが見抜かれていたか。
視線も送ってもないし雰囲気で感じ取られたと予測する。
ぼったくりの値段で売り付けないと訊けばほっとした。
「さあさあ。 日常品に使ってもよし、モンスターを狩りに使ってもよし、非合法に使ってもよしと飽きることがない品を買っていきな坊や」
「余計に買う意欲が失せるわ!」
ついつい口から滑ってツッコミを入れてしまった。
はっ! 初対面の相手に敬語を使用してないぞ。
あれ……タメ口を使う癖なんて有ったかな……。
これも前任者の影響か?
「くひゃひゃひゃ! こりゃ面白い坊やだこと。 気に入った半額で売ってやろじゃないか」
「破綻しないかそれ?」
「なーに、一日に一個売れるかどうかの商売上がったりの平凡な魔法屋さ。 買っていけ人間の坊やよ」
「あんたがそう言うなら手加減しないぞ」
またもや『くひゃひゃひゃ』と奇声で大爆笑をする面を被った老婆。
大国に喧嘩を売るのに相当な物質が必要なのだ。
いずれは魔法屋に辿り着いてただろうからここで買っていても損はない。
それに半額にすると老婆は言ったのだ。
買い物が二倍に出来るとは運が付いている。
どれどれ、魔法の品定めといきますか。
「五大元素のセット瓶に移動速度増加の瓶と力の増加と……色々あるな」
説明書きにそう書いてあり瓶の中に液体が光っている。
飲めば使えそうだが所有物にして創造出来ないか試してみたいな。
一つだけ購入してみるか。
「力の増加をくれ」
「あいよ。 銀コルト20枚だよ」
「金コルト一枚で」
「くっくっくっ。 金持ちだねー」
お釣りとして銀コルトを80枚受け取り赤くギラつく液体を持ち後ろに振り返る。
ブロック化が可能か実験を開始と。
「……出来た。 相手の魔法でもブロック化いけるってことは……」
ブロック化するにはルールが存在する。
お復習として……。
――生き物はブロック化出来ない。
――相手の魔法をブロック化出来ない。
――相手が触れているも者はブロック化出来ない。
と、上記のルールに反するにも関わらずブロック化に成功したとなると追加で知らされたルールに隠し味のみそがある。
それは相手が魔法を渡すと念じ、こちらがキスをするとルールを破棄してブロック化が可能と前任者に聞かされた。
つまり相手に渡している状態なのでブロック化ができたと推測するが……キスをする必要がないじゃないかあの野郎!
実際に試したので間違いない。
これでキスをせずにトルカから受け取れるぞ。
……死ぬ思いをしなくて済んだ。
「どうかしましたか坊や?」
「こちらの事情だから気にしないでくれ」




