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崩壊した異世界――レクシリア  作者: バル33
第三章:霊谷の森の姫

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その4


「朝食の準備を致しますねー」


 反り上がった癖毛をピョンピョンと跳ねさせ小走りで調理台に赴く。

 エプロンをしないまま重いであろう中華鍋を手に取り料理の準備をしている。

 台所を覗けば長年使い古したのであろうボロボロの調理器具。

 新品を調達させたいと思うほどにだ。

 ……そうだ。

 代用となる調理器具は渡せなくとも俺の能力を使えば新品の状態に戻せるのではないか。

 ――造り直せばいい。


「ストップ。 朝食を作る前に台所貸してくれ」

「……はい。 構いませんが」

「それと捨てる予定の布製の物があればほしい」

「……有りますけどなにに使うのですか?」

「秘密だ。 良いことだから楽しみにしといてくれ」


 額にシワを寄せ不満げながらも布製の物を探してくれる。

 どうやら第六感を使用してないようだ。

 調理台の角から明るいオレンジのバケツを持ってきた。

 中身は暗黒物質がうごめく掃除に使われた布。

 あの中に入れるのは躊躇うが触れないとブロックに出来ない。

 言い出した後には引けないよな。


「掃除に出た汚い汚い雑巾がほしいだなんて……」

「さも変人みたいな認定するな! はあ、求めているのはヘドロじゃない。 布がほしいだけだ」

「汚れが染み込んでて取れませんよ?」

「心配ご無用。 布だけを取り出す……こんな風に」


 黒く染まった布にタッチし分離するイメージをする。

 汚い物は底に置き去りにし綺麗な物は手の平に吸い寄せるよう想像する。

 ブロック化は言わずとも成功。

 バケツには泥々の塊が残っている。

 多彩に混じっているブロックが目視できる。

 不要になった上着やズボンを小さく切断して雑巾にしていたのだろう。

 なら、色つきの似合う物を造るまで。


「はわわ。 ほんとに雑巾がなくなっちゃいました」

「ビックリするのはこれからだぞ」


 タナさんの身長を題材に肩から脇の間にわっかを形成する。

 最後に普段着を守るための布を垂らし迷彩柄に色を付けてエプロンの出来上がり。

 料理をするのだ。

 私服を汚れた状態で一日を過ごしたくはないだろう。

 俺なりの配慮だ。


「わあー! これで毎日私服を洗わなくて済みます。 ありがとうサクマさん」

「泊めさせてくれたお礼返しはこれだけじゃない」


 タナさんにはとても感謝してるのだ。

 たったエプロン一つを作製しただけでは俺は満たされない。

 残りは新品に戻す作業だ。


 元の姿に戻すのは包丁、まな板、菜箸、長方形のスープ鍋、そして中華鍋はタナさんが使いやすいよう一加えしておく。

 刃こぼれして切れ味の悪い包丁をブロックにし、軽い力で食材を切断可能な包丁へと戻す。

 ズタズタのまな板をブロックにし、平らで傷一つないまな板に戻す。

 先端は削れてバランスの悪い菜箸をブロックにし、両箸が均等に整った菜箸にへと戻す。

 かつての輝きを失ったスープ鍋をブロックにし、中も外も銀色に反射するスープ鍋に戻す。

 最後に重たくて仕方ない中華鍋を二つに分けてブロックにし、半分をタナさんの腕力でも平気に扱える黒く輝くミニ中華鍋にする。

 余ったブロックはだし巻きたまごを作るのに必要なフライパンの一種。

 玉子焼き器を創造する。

 色が真っ黒だと本来の玉子焼き器には見えない。 形だけはそうだがぱっとしない。


「ふぃー、元に戻ったな。 しばらくは壊れることはないよタナさん」

「あわわわわ。 夢にも見た綺麗な調理器具。 心臓が弾けそうです」

「喜んでもらってなによりだ」

「善いことをすればその分返ってくるは迷走ではなかったのです」


 ホロリと天井に向かって崇める信者のよう祈りを捧げ涙を流していた。 

 すざましい貧乏生活をしていたのがヒシヒシと伝わる。

 お礼の気分返しは満足したが個人的に料理をしてみたいと疼く。

 そう久々にだし巻きたまごを食べたくなり、この際に玉子焼き器を造ったのだ。


「タナさん。 何人家族ですか?」

「父、母、私を含めて三人ですよ」

「ふむふむ。 調理器具を新品にした対価として籠にある卵を十八個くれませんか」

「コルトを請求されるかとドキッとしました。 毎日卵を産み落とすのでじゃんじゃん持っててください」


 お金のない窮屈や生活をしてるので大事なたんぱく源を奪われるのは苦しいと思いきやどうでもなかったようだ。

 丁度十八個の卵があるってことは一人当たり朝昼晩食べ放題ってわけだ。

 てことは卵は消費しきれず余っているに違いない。

 三人家族だろうと毎度食べきるのは難しいだろう。


「貰うからには飛びっきりの美味しい卵料理を味あわせてあげます」

「意外ですわね。 彼は全く料理は出来ませんでしたのにサクマは得意なのですね」

「得意ってわけじゃない。 ある程度料理出来るだけだ」


 料理に関しては才がないらしい前任者。

 全くとダメ出しをするのでダークマターとか炭鉱石など料理で作りそうだ。

 彼女が聞いていれば鼻をへし折られてるだろうな。

 



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