その12
敵さんと仲間の性癖を知って誰得なのだろうか。
痛々しいプレイを見せられる側の気持ちは軽蔑しかない。
ふむ、いつ突入すればいいか悩みます。
罵倒し叩かれて喜ぶ変態の行為が終わる様子はない。
ここは意を決して強行突入するしかあるまい。
「待ってても始まらないな。 ドアを蹴飛ばして中に行くぞ」
「ごめんね。 私にもなぜやってるか分からないよ」
「……本人に聞きましょう。 事が済んだ後に」
カルラの引きつった顔を覗けばよく分かる。
お仲間さんのサディストぷりにドン引きしてるのが。
変態プレイの真っ只中だがスライドドアに手を掛けて思いっきり力を込める。
大きな音に気づいたが彼女らの動きは停止し顔をこちらに向ける。
男は敵襲だと覚り黒パンツ一丁で襲いかかる姿が変質者と似つかわせる。
当然短絡な攻めでは傷一つ付けれず、トルカの刻鉄の蒼が顔面に炸裂する。
くるっと宙に一回転し地に落ちた。
歯はボロボロになり唇は切れて血が滲んでいた。
「カルラ! やっと助けにきてくれたのですわ!」
「無事で何よりだよ。 で、どうして敵の男を鞭で叩いていたの?」
「そ、それはですわね……」
倒れている男に目を動かし、哀れみを醸し出しながら口が動き出した。
「私に凶器を突きつけて、鞭を叩いて罵倒しろと強要されたのですわ。 二日前からですわよ。 大変でしたわ」
「……にしてはノリノリだったような」
「そこの男。 彼の後継者だからと調子に乗らないことですわ! 発言には慎みなさい!」
象が蟻を見下すかのごとく冷たい視線で僕に怒る。
少しの冗談も通用しない金色の長髪に翡翠の目、巨乳のお姉さんになにか目覚めそうになりました。
黒パンツの男の気持ちが多少共感できた自分に嫌悪をする。
「後継者と知ってることは一度あなたに会っていますね? 僕は村崎沙久間と申します」
「知ってるのなにも、後継者のあなたを連れてきたのは私なのですわ。 長い月日に溜めた莫大な魔法をあなたに一人に使ったのを感謝しなさい」
完全に敵対視されている模様。
どうやら生理的に僕のことを嫌っている。
味方だとゆうのに力を抜かず警戒心を怠らない彼女。
なぜここまで嫌われているのか思い当たる節がない。
「強く当たることないじゃないか、リーネ。 サクマに恨みでもあるのかな?」
「恨みはありません。 ただに気にくわないだけですわ」
ちゃんとした理由もなく、ただ気にくわないと発言するリーネさん。
軽蔑されるのは慣れてるのはいいが、けして気分は良くない。
リーネさんとは上手くやっていけるか不安だ。 塔から脱出した後に共に旅をする仲間になるのだから。
馬が合わない人は無理に近づかず距離を取らないといけない。
ふう、分かち合うのに時間がかかりそうなリーネさんだ。
「……嫌うのもしょうがないっか。 君の出番だよサクマ。 リーネを拘束している手枷をブロック化してあげて」
「了解した。 リーネさん手を前にお願いします」
「気持ち悪いですわ、あなた」
野獣のごとく威嚇をする。
敬語が気持ち悪いのか、顔が気持ち悪いのかどちらでもいいが悪口など気にしない。
僕の仕事は拘束具をリーネさんから解放すること。
手枷に触れて四角のブロックをイメージする。
壁に繋がれていた鎖ごと消失し、手にはブロック化した物体だけが残る。
これで塔から脱出すれば任務完了だ。
「礼は言わないですわ。 早く薄汚い部屋から出ますわよ」
「……もうリーネたら」
代わりにカルラがありがとうとお辞儀してくれた。
本人からの礼が欲しいがこれで十分だ。
空気が不味い部屋とはおさらばしよう。
「あそこまで馬鹿にされてなんで言い返さないのサクマ?」
「今日会ったばかりの相手に正論を吐いたところで分かち合えないさ。 ゆっくりと時間を掛けてお互いを知ってから言い返すよ。 それに、今は塔から出るのが最優先だ」
「……ふーん」
どうも納得がいかないトルカは不機嫌になっていた。
僕のことなら気にしなくてもいいのに……優しい奴だ。
さてと、先に行ってしまったリーネさんの後を追う。
二度目の眩しい黄色の階段。
駆け足でタッタッタッと無音で降りていく。
一階へと着き金髪の彼女リーネさんが視界に映る。
なぜか門を開けたまま床を凝視している。
看守が気になるのか?
「……ねえカルラ。 手加減できないほど手強い相手でしたの?」
「力が有り余るくらい雑魚かったけど……。 ――なんで!?」




