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第二十一話

新しいの書いてたらこんなことに…!!一週間ぶりの更新なのに情けない・・・。

花咲ちゃんが今度こそ去った後、少年はしゃっくり上げるのをやめた。ジャージの袖で乱暴に涙で濡れた顔をぬぐうと、花咲ちゃんが消えていったほうとは別のほうの道へと歩き出した。足取りはまだ頼りないけれど、彼はきっと大丈夫だろう。

再びあたりに静けさが戻った時、私はようやく重い息を吐いた。

濃い、ここで会ったことが飲み込むには濃すぎる。

「しかし・・・いつの間に花咲ちゃんはあんなに立派になって・・・。」

あまりのことに思わず涙が出そうになる。あの、勉強に関する知識という知識が意味不明な方向に走っていた、女子生徒たちに向かってよくわからない感じにキレてた、というか結構ひどい罵詈雑言を言ってた花咲ちゃんが、こんな格好いいことを言うなんて!!

イメージ的には、反抗期真っ盛りでぐれていた不良息子が「俺、今日から真面目になるよ」と言い出した母親の気持ちだ。

今の彼女ならきっと無事にエンディングを迎えられるだろう。誰と結ばれるのかは花咲ちゃんの自由だが、幸せになれるに違いない。

「ってそれじゃ私死ぬじゃん!!!」

なんてこった、また振出しに戻ってしまった。どうやら私にまとわりつく死亡フラグはなかなかにしつこいらしい。

絶望に打ちひしがれながら時計を確認してみると、『鬼事』の残り時間はあと一時間になっていた。時間が過ぎるのはあっという間すぎる。

残り一時間をずっとこの木の上で過ごさなければならないのかと思うと少し憂鬱だ。先ほどのように・・・いやもうちょっと軽めの、誰かのやり取りでも聞いていたい。しかしそれだと私のことがばれてチケットがぱあになるリスクも増える。

なんという二律背反。なんだか違うような気もする。

うんうんと頭を悩ませていると、また木の下が騒がしくなった。

しかし今度はとても物騒だ。

「誰か助けて!」と叫ぶボーイソプラノと、その後ろから「待ちやがれ!」というどすのきいた、どこかで聞いたような声の数々。・・・ん?

下をのぞき込んでみると、ボーイソプラノの持ち主はとうとうこの木の幹に背をつけ、追い込まれてしまったところだった。そして彼を追い込んでいるのは、何と前に鳩島君を集団リンチした久那城君の取り巻きの高松とかいう男子とその他だった。

こいつらは何度集団で一人を追い詰めれば気が済むのだろうか。

「こ、来ないでくださいっ。」

「うるせぇ!!てめぇみたいに貧弱な野郎が生徒会にいつまでもいられてるほうがおかしいんだ!!!久那城の兄貴が生徒会に入ってないのに、なんでてめぇみたいなやつが・・・!!」

「むちゃくちゃですよぅ!!」

本当にむちゃくちゃだ。

というかさっきこの男爆弾発言をしていないか?・・・このボーイソプラノの少年は、生徒会メンバー?

「てめぇの手足を二、三本折ったら、生徒会に入れなくなるよなぁ!!」

「っつ!!!?」

利己的なことで悩んでいる暇はないようだ。

無駄に大きな腕とこぶしを振りかざし、少年に殴りかかろうとする高松の気を引くために、立ち上がって手近な木の枝をつかんで大きく揺さぶろうとする。

それがいけなかった。

「え」

枝をしっかりと握って体重をかけ、思いっきり向こうへと押した。なのにその枝は本来あるはずの抵抗をしてくれず、私が押した方向へとめきめきという音を立てながらずれた。

それはつまり。

「うそぉおおおおおお!!??」

私は自分でつけた勢いのまま、木の上から枝とともに落ちた。

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