表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/157

32.

〈注意事項〉


※15歳以上推奨作品です。

※敬語表現に間違いがあるかもしれません。あまり気にしないでいただけると幸いです。


〈あらすじ〉

 無事に王宮に戻って来れたアリスたちは、牡丹に治療をしてもらった。一方で、街中で発砲した件について、レオとパウラはダリアに連れて行かれ、なぜか魔術界にいたアンもそちらへ行ってしまう。

 すると今度は、先輩たちがあの「赤い糸」について話し出して……。


 すでにカミーユは派遣されたラファエルによって保護され、こちらに向かっている途中なのだという。


「それで、あの赤い紐事件はどうなりました?」


「それも無事に解決。犯人は王宮に野菜を卸している業者だったよ」


 ニャットはコップを手に取りながら皓然に答えた。


「女の子の方が、上質な魔力を持っているからね。アダンみたいな女の子ホイホイの周りを張っていれば質の良い魔力の持ち主はすぐ見つかるってわけだね」


「ちょっと待ってよ!」


 桃子が勢いよく立ち上がった。


「話してる所ごめん。でも、話しの内容が見えてこないというか!」


「そうだね、順番に説明しよう」


 桃子を落ち着かせ、ニャットは指を立てた。


「その一。君たちのおかげで逮捕につながったロビンを名乗っていた男たちは、魔術師を自治区に売って金儲けをしたかった。でも、上質な魔力の持ち主じゃないと良い値がつかない。そこで、魔術師に目を付けた。有名だし、買い手たちもその価値がよくわかるから。その二。ロビンたちはアダン軍団に目を付けた。色恋沙汰は人を変えるからね。まず、アダン軍団の一人一人の部屋の前に赤い糸を切り刻んで置いておく。リア恋勢はそこで逆上、周りを攻撃するから孤立していく。カミーユもそのタイプだった。カミーユは、自分に呪いをかけたと思った人に仕返しをしようとしたんだ。正確に言うと、パウラね」


「え、パウラ?」


「そう、パウラ」


 素っ頓狂な声をあげたアリスに、ニャットが大真面目な顔で頷いた。


「パウラに限ってそんなことをするなんてあり得ない。でも、まあ、あの子にも色々あるから、敵視されやすくてさ。アダンとも仲がいいし。君が赤い紐に気付かなかったのは、紐をクロエが玩具だと思って持って行っていたからだよ。クロエの巣から、凄い量の赤い糸が見つかったんだって」


 チラリと皓然を見ると、クロエの主人は顔をしかめて小さくうなずいた。


「クロエってば、興味がわいたものは全て持ち帰って来ちゃうんですよ」


「そんなわけで、その三。恋愛魔術、言ってしまうと黒魔術は基本、夜に行われる。それに人目を避けるから、誘拐もしやすい。ロビンは野菜の卸業者として王宮に侵入、カミーユをさらっていったんだ」


「別々に行動していたはずなのに、事件がこうして繋がるなんて不思議なこともあるもんだな」


 アイスココアを飲み干し、ヒューは疲れ切ったように息をついた。


「とはいえ、お互い事件は無事に解決だ。君たちの結果は明日出るだろうから、気長に待つとしようじゃないか」


 その言葉を最後に、アリスたちはそれぞれの部屋へと帰って行った。


 事件は解決したのだが、その日の夕食は、とても静かだった。


 街中で発砲したレオと、その監督不行き届きを指摘されたパウラの二人が、ダリアとアンの二人にギッチリ絞られてきたからだ。おまけに、それは瞬く間にニュースとなり、魔術界中に広まった。


 せっかくの美味しい料理だが、怒られた二人のあまりにも暗い雰囲気のせいで味が全くしなかった。


 それでも、次の日には二人とも元通りになっていた。一晩眠ってメンタルを回復できるのだから、アリスからすれば羨ましくて仕方ない。


 そんな二人、そして皓然の三人は、アリスに買い物ミッションの成功を伝えた。


「おめでとう。これで、君は何の問題もなく魔術師になれるってわけだ」


「ありがとう。でも、買い物をしただけだよ」


 アリスがずっと気になっていたことだ。買い物へ行く前は誰も詳しいことを教えてくれなかったのに、終わったからなのか今度はきちんと説明してくれた。


「魔術師って言うのは、人を助ける職業だ。でも、助けに行くにもどこに何があるのか知らないといけないだろ? わざわざ城下町に買い物へ行かせるのは、首都の地図を頭に入れてもらうためだ。ボクらは基本、外に出られる特別な休みの『外出日』と、依頼以外で外に出られないからね。地図も存在していないから、実際に歩いて覚えるしかないんだ」


「え、地図ないの?」


「ないよ。中には、高い知能を持っている魔物もいるんだ。そんな奴らに地図を見られたら終わりだからね。それで、君が最も不思議に思っていただろう、『何も盗られないこと』、『困っている人を助ける』についてだけど」


 パウラは窓の外を眺めてから、再びアリスを視界に移した。


「『何も盗られるな』。それは、油断するなってこと。一瞬の隙が命取りになる。泥棒なんかにその隙を突かれてちゃ、この先やっていけない。『困っている人を助ける』は、文字通り。魔術師としての予行練習みたいなもん。で、君たちは無事、それを全部クリアしたんだ」


「え、でも……」


「アリスはわざとロビンに捕まった。すべてはカミーユを助けるためだった。そして、君らはまだ魔術師じゃないから、ボクらに通報してくれた」


 すらすらとパウラが述べた内容にポカンとしていると、レオが「そういうことにしておいたんだ」とアルの鬣をなでながら教えてくれた。


「じゃなきゃ、お前ら全員がアウトになってた」


「あ、ありがとう」


 正直、アリスはどうしても魔術師になりたいわけではない。許されるなら、別世界にいる親元でゆっくりと過ごしていたい。


 だが、これはアリスだけの問題ではない。他の三人はきっと、魔術師になりたくて来たのだろうから。

お読みいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ