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23.

〈注意事項〉


※15歳以上推奨作品です。暴力表現、流血表現、荒い言葉遣い等を含みます。

※敬語表現に間違いがあるかもしれません。あまり気にしないでいただけると幸いです。


〈あらすじ〉

アリスたちがお使い中に、とある事件解決を支持されたレオたち。重要参考人であるアダンから話を聞いてみると、色々と見えてくることがあって……。

 腕を組み、ヒューは大きなため息をついてから、後ろに控えている従者を呼んだ。


「アダン軍団——コイツの()()()()()()のヤツら、片っ端から洗い出してくれ」


 クレアは小さくうなずき、グレーの髪を翻して颯爽と去って行った。


「あー! クレアぁ!」


 もうナンパしない、なんて言っていながら、アダンはクレアの後姿を寂しそうに見送っていた。


「まあ、いいや。それでさ、ぼくは一体君たちに何の協力をすれば良いわけ?」


「……お前さぁ」


 呆れかえって、レオはもう何も言えなくなってしまった。


 アダンは、魔術師としては確かに戦力となるだろう。それほどに優秀だ。


 エルフは精霊たちと意思疎通を図ることができる。アダンはいくつもの属性の精霊たちを味方につけ、自分の魔力を底上げして戦う。


 そうでなくても、彼の弓の腕は確かだ。アダンが放った矢は八十七パーセントの確率で的を射抜く。しかも、狙った場所にだ。


 女癖が悪く、正直言って勉学の成績も振るわないアダンを受け入れた理由には、そう言った理由もあった。


 一番の理由は、パウラ、皓然、アダンの三人が魔法使い時代から仲良しであること、なのだけれど。


「まあ、とにかく今はクレアの調査をまとうよ」


 ニャットはため息をついた。


「ここまで糸を切るなんて、よほどの執着心だ。もしかしたら、黒魔術に手を出しているかもしれないね」


「く、黒魔術!?」


 ニャットのチームメイト、三つ子が驚きの声をあげた。


「ニャットくん、それはやばいんじゃないの!?」


 長男、バヤルの言葉に、ニャットは何でもにように「うん、やばいね」と答えてから、三つ子にニヤリと笑って見せた。


「黒魔術なんて、俺ら『千夜族』チームにとってこの上ないほどのイージー問題だと思わない?」


「思う!」


 三つ子は瞳をパッと輝かせて何度もうなずいた。


 ニャットのチームは、珍しくメンバー全員が千夜族で構成されている。意図は、近年増加傾向にある魔物対策だ。その実験として国からニャットに要請があり、作られた。


 魔物の体は、黒魔術によって作られている。倒せば黒魔術の粒となって空気に溶けていくのだが、その粒が他の物に付着し、また魔物となる。


 それを防ぐために、黒魔術に詳しい千夜族が選ばれたのだ。ニャットチームの主な任務は、魔物を倒した時に発生する粒の正体を明らかにすることだ。黒魔術が何から生成されているのか、どうすれば粒を完全に消すことができるのか……。


 そんな使命を背負っているチームなのだが、ニャットのカリスマ性のおかげか、メンバーは生き生きしながら仕事をしている。


 ニャットに笑顔で見送られながら、三つ子たちは図書館へ関連書を探しに走り去っていった。


「ねー、レオ」


 縛られたまま、アダンは近くにいたレオを見上げた。


「これさぁ、本当に黒魔術まで手を出してたら犯人の子ってどうなるの?」


「まあ、……逮捕案件だよな」


 黒魔術は魔術界中で使用を禁止されている。場合によるが、実害が出た瞬間に犯人は投獄されることになるだろう。


 ただし、誰かに操られていた、脅されていた場合など、本人の意思と関係が無い場合はこの限りではない。そういう時は減刑されることがほとんどだ。


 それが、レオも知っている黒魔術を使った人間への措置だ。


「で? なんでそんなこと聞いて来るんだよ」


「もしさ、君たちが疑ってるぼくの仲良い子たちの中に犯人がいたとするじゃん」


 その時、アダンは初めて寂しそうな顔をした。切なく、今にも泣き出してしまいそうな顔を。


「その子はただ、ぼくに好意を寄せてくれてただけなのに逮捕されちゃうのかなって。ぼくも悪かったかもしれないけどさ、何がその子をそうさせちゃったんだろう……」


「お前の浮気癖のせいだろ」


「ひどくない!? 言っておくけど、ぼくは誰とも付き合ってないから!」


 アダンのその言葉に、みんなの思考が一瞬止まった。


「いやいや、何言ってるんだよ」


 パウラは頭を抱えて、大きく息を吐いた。


「アダン軍団って、有名だぞ? 君のガールフレンド集団って意味で」


「だから、それがおかしいんだって! あの子たちはただ、ぼくと仲良しなだけだよ! どこでそんな噂になったのか知らないけど、ぼくは純粋な男の子なの! プレイボーイなんかじゃないの! 一途な子なの!」


「じゃあ、なんでいつも女の子たちを(はべ)らしてるんだよ」


「知らないよー! なんか、いつの間にか寄って来ちゃうんだよー!」


 何とも羨ましい話だが、どうやらアダンは複数人の女の子たちと関係を持っているわけではないらしい。あくまでも、本人の言い分だが。


「そもそもさぁ、どうしてナンパしちゃいけないのさ」


「アダン、開き直るのは感心しないよ」


 温厚なニャットでさえ眉をひそめているというのに、アダンは「だってさ」と言葉を続けた。


「ただ、綺麗だったり、可愛かったりするのを褒めてるだけなのに。ぼく、男の人にだってそう言うのを言うよ? みんなが『ナンパだ』っていうから、ナンパって言ってるけどさ。誰だって褒められたら嬉しいじゃん?」


「つまり、君にとってナンパは人を褒めることなんですね」


 うんうんと頷く皓然だったが、彼以外の面々は相変わらずのしかめっ面だった。


 言いたいことは山ほどあるが、まとめさせてもらうと「ナンパはナンパじゃないか」だ。


 アダンにとっては挨拶程度のことだったが、それを本気にしてしまった人たちがいる。やはり、原因はアダンにあるではないか、と。


「ヒュー様」


 そこにクレアが戻ってきた。


「こちら、アダン軍団のリストです」


「ありがとう。さすが、仕事が早いな」


 クレアから受け取ったリストを見たヒューと、それを覗き込んだレオたち。そして、すぐに五人は「あ」と声をあげた。

お読みいただきありがとうございました!

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