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9.

〈注意事項〉


※15歳以上推奨作品です。

※敬語表現に間違いがあるかもしれません。あまり気にしないでいただけると幸いです。


〈あらすじ〉

 やっと長兄のラファエルに会うことができたアリス。積もり積もった話をラファエルにしようとしたところ、大きな声が後ろから聞こえてきて……。

「あー!」


その時、急に背後から聞こえてきた大声に驚き、アリスはパッと振り向いた。


どうやら、大声をあげた犯人は皓然らしい。彼も驚いているのか、目を見開いたままこちらを見ている。


「姉さん!」


「姉さん?」


首を傾げたアリスに気付いていないらしく、皓然はあの美女の元へ小走りでやってきた。


「探してたんですよ!いつまで経っても既読が付かないんだから!」


「あら、本当?ごめんね、(シャオ)(ラン)


ポケットからスマホのようなものを出した美女は、少しそれを触ってから「あら、本当」と皓然に笑いかけた。


「ごめんって。そんな怒らないでよ」


「別に怒ってるわけじゃないです」そう言いながらも皓然は頬を膨らませた。「ただ、薬草学の課題の締め切りが明日の朝までなんです。だから、早く見て欲しかったんですよ」


「はいはい。この話し合いが終わってからね。————————————で、この子?噂のアリスちゃん」


「あ、そうだった。初めましてだよな」


そう言って美人を紹介してくれるのかと思いきや、ラファエルは皓然の後からパウラと一緒にやってきたレオにも笑顔で「レオ!」と手招きした。


「兄ちゃん!あ、牡丹(ムーダン)も!久しぶり」


ラファエルとハイタッチしてから、レオは牡丹と呼んだ美人に笑顔を見せた。


「久しぶり、レオくん」


美人はレオに微笑んでから、アリスにも引き込まれそうな美しい笑顔を見せた。


ハーフアップにした長い艶々の黒髪、キラキラ輝くアーモンド形の瞳。体はとても細いのだが、服の上からでもわかるほど大きな膨らんだ果実が胸にあった。そんな彼女の左胸には、三枚の羽の飾り。三枚の羽の重なった根元部分には、水色のターコイズが使われている。


「初めまして、アリスちゃん。私は(フアン)牡丹(ムーダン)。何となく察しがついているかもしれないけど、皓然の姉です。そして、あなたのお兄ちゃんのラファエルとは同じチームで、クラスメイトでもあるの。これからよろしくね」


「初めまして、アリス・ランフォードです」


牡丹に挨拶をして、アリスは小首をかしげた。


「それで、『小然』って?」


「ああ、『皓然ちゃん』って意味よ」


牡丹はクスクス笑い、皓然は照れているのか顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。


「この子、外でこうやって呼ばれるのが嫌なんですって。なんだか恥ずかしいみたい。可愛いわよね」


「ね、姉さん!」


可哀そうに、茹でタコのように顔を真っ赤にした皓然は、牡丹の肩を掴んで軽く揺すった。


「もういいから!何回『小然』って呼ぶのやめてっ言えばいいんですか!」


だが、好奇心を搔き立てられたアリスは、疑問をそのままにしておくのが苦手だった。今度は、牡丹に「その『小然』は愛称?」と問いかけた。


「あら!この子、いい性格してるわ」牡丹は楽しそうに笑った。「そう、愛称よ。アリスちゃんがラファに『アリー』って呼ばれてるのと一緒。可愛いでしょ?」


「姉さん!アリス!」


皓然には悪いが、アリスは牡丹と顔を見合わせて声をあげて笑ってしまった。別世界ではあんな簡単に男たちを倒していたのに、姉には敵わないらしい。そのギャップが、なんだか微笑ましく思えてならないのだ。


「もうそんなに皓然と仲良くなったのか」


ラファエルはアリスの頭を再びなでて、笑顔を見せた。


「良かったな。友達が出来て」


「うん!」


「牡丹は皓然と同じで気の良いやつだから、何か困ったことがあったら頼ると良いよ。あとは、怪我とか病気とかも。一発で治してくれるから。で?パウラとも仲良くなれたか?」


「うん!二人とも、すごく優しくしてくれるよ!」


アリスが皓然とパウラに笑いかけると、二人も恥ずかしそうに笑ってくれた。だが、どこかパウラの表情が引きつっているので、アリスはそれが引っかかってしまった。


「パウラ、どうかしたの?」


「ああ、いや……。ラファエル、今ここに、その……」


「安心していいよ。ローガンはいないから」


「それならよかった」


パウラは心底安心いたように胸をなでおろした。


それにも引っかかったのだが、あまりにもパウラの顔が引きつっているから、話しに出てきたローガンという人物について聞くのはやめておいた。

お読みいただきありがとうございました!

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