8.ラファエル
〈注意事項〉
※15歳以上推奨作品です。
※敬語表現に間違いがあるかもしれません。あまり気にしないでいただけると幸いです。
〈あらすじ〉
ダリアに国民登録をしてもらったアリス。やっと、今日の一大イベント、兄のラファエルに会うことができるようになったのだが……。
ダリアに挨拶してから、四人は部屋を後にした。
「もー、ダリア先生ってば根っからの教育者なんだから……」
ドアが完全に閉まっていることを確認してから、皓然は小さく息を吐きだした。
「すぐ勉強に持って行くんだから……。アリスが覚えることだらけで疲れちゃいますよ」
「確かに、もう頭の中いっぱいだぁ……」
この世界の仕組みに、登録する理由に、王宮の地図に……。一気にたくさんの情報を詰め込み過ぎたせいで、頭がボーッとしてきた。
「ま、ゆっくり覚えればいいって」
ダリアにもらった封筒から出した試験結果を見て、レオは満足そうに笑った。
「今日はもう、兄ちゃんに会ったらイベント事は終わらせよう。慣れない環境に来て、余計に疲れているだろうし」
「そうだな。ラファエルも、君らに会いたいだろうしね」
パウラはアリスに笑いかけてから、「ラファエルがいるのはこっちだよ」と先頭を歩き始めた。
「ラファエルは、うちの国が誇る錬金術師でもあるんだ」
「れんきんじゅつ?」
「そう。錬金術っていうのは……、っと、これ以上の勉強は止めにするんだった。また今度、機会が来たら教えるよ」
そう言ってパウラは、レトロなエレベーターに乗り込んだ。よく古い映画で見るような、外の景色が見えるタイプのもので、まるで大きな駕籠に乗っているような気分だ。天井からは、キリキリと歯車が回る音が聞こえてくる。
別世界でよく乗っていたエレベーターと違い、かなり揺れながら、アリスたちは下へと降りて行った。途中、暗い洞窟のような場所でこちらに敬礼している衛兵たちと目が合った。
彼らよりもさらに下に降りて、やっとエレベーターは止まった。白い無機質な廊下が奥へと続いている。
エレベーターを降り、しばらくその廊下を歩くと、今度はダクトと変な機械や道具だらけの部屋が見えてきた。廊下が真っ白だから、部屋が余計に黒く見えて仕方がない。しかも、空気の抜ける音や、何かが沸騰している音など、色々な音が聞こえてくる。
「ここが、ラファエル先輩の研究室ですよ」
皓然は部屋を指さした。
「学生には基本、個人の研究室は無いんです。でも、ラファエル先輩ほどの功績を残していれば、国が認めた場合に限って研究室を作ってくれるんです。しかも、研究費用も何もかも、国が負担します」
「国がそれだけ兄ちゃんに投資するってことは、将来をよほど期待してるってことだよ」
やはりどこか自慢げなレオは、アリスに説明してから研究室を覗き込んだ。
「兄ちゃん!」広い研究室にレオの声が響いた。「ラファエル兄ちゃん、いるー? 俺だよ、レオだよ! アリスもいるよ! 遊びに来たよー!」
「おー!こっちこっち!」
聞こえてきた懐かしい声に嬉しくなって、アリスは小走りで研究室の中に入った。
周りを見回してみると、やはり大きな部屋だ。二階分の高さのありそうな天井もダクトだらけ。どうやら、そこから空気が抜ける音がしているらしい。それから、あちこちに設置されている簡易的な棚にはビーカーだのフラスコだのと一緒に、工具箱がいくつも並んでいる。中には、何かのホルマリン漬けも。
それに、いくつもある黒いテーブルには色々な物たちと一緒に、蛍光ピンクの謎の液体が入ったビーカーもある。それに、理科の実験でしか見たことのない、アルコールランプまで。
研究室の主は、一番奥のテーブルに腰かけて、綺麗な女性とコーヒーを味わっていたらしかった。相変わらず、黒い作業着を着て、赤茶色の髪をヘアバンド代わりのゴーグルで留めている。アリスの姿を見て、ルイスと同じエメラルドのような瞳がパッと輝いた。
「アリー、久しぶり! こっちおいで!」
「ラファお兄ちゃん!」
コーヒーカップを置き、テーブルから降りたラファエルに、アリスは勢いよく抱き着いた。兄が着ている作業着は相変わらず鉄のような匂いがするが、構わずその胸に頬ずりした。
「なんだ、また背が伸びたんじゃないか?」
「前に会った時から、一か月しか経ってないのに?」
ラファエルの胸から顔をあげ、頭を撫でてもらいながらアリスは笑顔を見せた。
「あのね……」
「あー!」
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