パワハラ幼馴染
俺の名前はアレン。
平凡な一般人だ。だが少し普通と違う点がある。
それが俺の幼馴染みのシルビアだ。
頭脳明晰、スタイル抜群の美少女で、
外面も良く、その内面を知らなければ完璧な女性だろう。
昔はそんなに性格悪くなかったんだ。
無茶苦茶優しかったし、可愛かった。
俺とシルビアの両親は仲が良かったので、
俺たちは昔から婚約のようなものがされていた。
昔は嬉しかった。こんなに可愛い女の子なんて
この田舎じゃそうそう出会えるものじゃない。
シルビアの性格が悪くなり始めたのは5歳になった時からだ。
俺たちは5歳になると、天職というものを授かるのだ。
魔獣や魔族などの脅威に溢れているこの世の中では、
戦闘職の天職が与えられるとものすごくラッキーだ。
因みに俺の天職は剣士だ。
俺は一般的に言えば、ものすごい幸運の持ち主なわけだ。
剣士だと、冒険者となり大金を稼ぐことも、安定をとって王国の騎士になったりすることも可能だ。
非戦闘職がこの世界の7割を占めるので、戦闘職の需要は常に高い。
この瞬間俺の人生はバラ色。エリートコースが確定したかに思えた。
この世界そんな甘くなかった。
何故ならシルビアの天職が剣聖だったからだ。
剣聖は俺の剣士の上位互換と言える職だ。
現存している剣聖は世界で3人しかいない。
全体の1%未満だ。
チヤホヤされたシルビアは3年くらい経つと、
暴君になってしまった。俺にだけだが。
近い職だけに常に比較され続ける俺とシルビア。
シルビアは俺が自分より格下なのだと気付いたのだろう。
そこからは地獄だった。常にパシリにされて、
シルビアに比べて弱い俺はバカにされ続けた。
俺は性悪説を信じられない。
絶対性善説が正しい。だってシルビアこんな子じゃあなかったもん。
もう俺の自尊心はボロボロだよ。
周りや両親はシルビアと結婚できる俺に良かったねとか言ってくる。
ちょっと前までは嬉しかったよ。
今は嫌だ。もう嫌だ。逃げたい。
だって尻に敷かれながらずっと文句とかパワハラ受けるんでしょ。もうやだよ。
結婚できるのは15歳から。俺とシルビアは13歳なのであと2年後だ。
それまでになんとかしないと。
こんな田舎嫌いだ!あんな幼馴染嫌いだ!
俺は都会に行って性格良くて可愛い子と結婚するんだ!
俺は逃げるぞ!なんとしてでも!