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ドロドロでした

 夜。俺は奈々葉の隣で寝ている。

 奈々葉は気持ちよさそうに寝ているが、俺はそれどころじゃない。

 いや、別に奈々葉の寝姿に興奮して寝れないとかじゃない。


「静かにしてないと、ナナ様が起きてしまいますよ」


 寝れない原因はこいつ、カナムラだ。

 トイレに行こうと目を覚ましたら、こいつが俺に覆いかぶさる形で居た。

 何なんだよこいつ、心臓止まるかと思ったよ。


「ん――っ」


 カナムラが俺の口に手を置き、何かを呟いた。

 瞬間、俺の体に何かが流し込まれる。

 液体状の何かだ。毒か!?

 声を発することは出来ないが、息ができる。


「すぐにコピーを終わらせますから」


 液状の何かが体を弄っているのが分かる。

 俺はビクビクしながら口に置かれているカナムラの手を見た。

 カナムラの手はドロドロに溶けていて、溶けて液状になった物が俺の体を弄っている。

 声を発することは出来ない為、驚くことも出来ない。


「んっ!?」


 俺はビクッと体を動かす。

 そ、そんな所まで触るのか!?

 俺、トイレに行くの我慢してるだけで精一杯なのに!


「安心してください。もしもの時は受け止めますから」


「んんっ!!?」


 何をだよ!!


「もう少し奥まで行きますね」


「んんんんッ――!!!」


 数分後。俺は開放された。

 尿意はもう無い。理由は聞かないでくれ……。

 廊下に出た俺とカナムラ。

 俺はカナムラを睨みつける。


「涙目で睨まれても可愛いとしか思いませんよ」


「さっきのはなんですか?」


「軽い検査とコピーですよ」


 コピー?

 ってか、なんで手がどろどろに溶けてたんだ。

 例えるならそう、まるでスライムみたいに。


「あれ、言っていませんでしたか? 私」


 カナムラの体がドロドロに溶ける。

 服も一緒に溶けて、形を変える。

 見覚えのある形……って俺!?


「私、スライムですよ」


 ……えぇぇぇ!!?

 自分の顔が見えないから分からないが、恐らく俺は美少女がしてはいけない顔をしているだろう。

 スライムってあの、スライムか? 最弱モンスターの!?


「私の能力はコピーした生物の生体情報と健康状態がわかります。ですが、コピーするためにはコピーする相手の体を隅々まで調べなくてはいけません」


「それで私の体に入ったんですね……」


「膜とか傷つけないようにしたので安心してくださいね」


 膜とか言うな生々しい。

 それに、自分が言っている様に聞こえてなんかやだ。


「それにしても久々にコピーしましたが、それがこんな可憐な少女だとは……役得ですね」


 約得って、同じ女なんだし……。


「あの、もしかしてカナムラさん。原型は男だったりします?」


 スライムということは今日見た性別がカナムラの性別とは限らない。

 それに、約得という発言。男だったとしてもおかしくない。


「いえ、違いますよ。私、原型はドロドロですし……。しいて言うなら、どっちもですね。両性類とか。あ、今の上手いですね」


 上手いとか自分で言うなよ。


「よいしょ」


 姿を元に戻すカナムラ。

 いちいちドロドロになるの、なんかグロいな。

 しかも、今のは自分がドロドロになったから、三割増しでグロい。

 なんで、目が落っこちるんだよ。もっとスマートに変身しろよ。生々しいんだよ。


「取り敢えず、ミーナさんの健康状態は良好です。このまま順当に成長していけば細身のいい女になると思います」


「……ありがとうございます」


 もう、なんかツッコむの面倒くさいし、いいや。


「それでは、おやすみなさい」


「おやすみなさい……」


 俺は部屋に戻って寝る。

 この家での生活、慣れるまでに時間かかりそうだなぁ。

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