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膝枕されました

 王城からの帰りの馬車の中。俺に対面して座っている奈々葉が俺の横に座るカナムラを口だけ笑いながら目で睨んでいる。


「なんでカナムラがミーナの隣なの?」


「さぁ、なぜでしょう」


「席変わらない?」


「馬車での席移動は危険ですよ」


「……」


 えぇ、なにこの空気! ギスギスしてるよ! 刺さってるよ!

 あぁ、馬車の揺れとこの空気のせいで吐き気が……。


「ん、ミーナさん、顔色が悪いですね。酔いましたか?」


「酔いました」


「えっ、大丈夫ミーナ!? 馬車止めようか?」


「大丈夫」


「しかし、心配ですね。横になってお休みになってください」


 カナムラはそう言うと俺の頭を掴んで自分の膝に乗せる。

 あっ、柔らかい。じゃない!?

 なんで、俺はカナムラに膝枕されてるの!


「ちょ、ちょちょちょちょ!! カナムラ!? なんでミーナを膝枕してるの!? 羨ましいから変わりなさい!」


「ナナ様、そんなに大声を出されてはミーナさんの病状が悪化しますよ」


 別に俺、病気じゃないんだけど……。


「でも、羨ましいじゃない! 妬ましいじゃない!」


「欲望だだ漏れじゃないですか……。要は私がミーナさんを膝枕しているのが気に食わないという事ですよね」


「その通りよ!」


「……隠す気が無さ過ぎますね。まぁ、そういう事なら幾つか対策があります」


 カナムラがドロドロに溶け始めた。うえ、酔いとは別の気持ち悪さがある。

 そのまま、ドロドロになったカナムラは俺の姿に変身する。

 俺が俺に膝枕しているという不思議な光景だ。


「これでどうですか?」


 いや、カナムラが俺を膝枕しているという事実は変わんないだろ。

 姿が変わっただけじゃ奈々葉も納得しないんじゃ……。


「み、ミーナが二人……ミーナがミーナを膝枕……天国……ここは、天国?」


「いえ、馬車の中です」


「カナムラ、これからはずっとその姿でいてくれない?」


「私の存在意義とは……」


 カナムラは俺の顔でため息交じりに言った。

 なんというか……どんまい。

今日は二回投稿するので短めです

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