19話
◆19話
女は、腕につけたミサンガについて
「拾ったのよ。あんまり綺麗だったから、もらっちゃったけど。」
と説明した。
まったく悪びれない口調はウソをついているとも思えなかった。
次のセリフを頭の中で探す私よりも前に、女は
「いったい、どうしたんですか?」
と訊いてきた。
古風な日本美人に見えたが、話し出してみれば、今時の普通の美人だった。
ミサンガにあわせた色にネイルアートされている爪、それに彩られた指で黒髪をさらりとかきあげる仕草が、洗練されている。
つややかな唇は光沢のある口紅の上に、グロスを丹念に塗ったのだろう。
ナチュラルな色ながら色っぽい。
親身な感じの表情に、初めて会う人にもかかわらず、私は今までの事情を話した。
恋人のケンジが猫の写真を撮影に3ヶ月前に長崎入りしたこと。
そして1ヶ月前から連絡がとれなくなってしまったこと。
私は彼を探すために長崎にやってきたこと。
そして、彼女がしているミサンガは、私がスペインで買ってきた、とても珍しいものだということ。
彼女は、それを興味深そうに、一言一言に頷きながら聞いていた。
私は、最後に訊いた。
「あの……それで、それを、どこで拾ったか教えてもらえますか?」
「もちろん。いいわよ」
女は笑顔で頷くと、快くその場所に案内してくれた。
その場所は
とある洋館
→21話
見晴らしのいい展望台
→22話
600文字ルールに辟易しながら書き足しています(汗
あまり書き足すと、破綻してしまうかもしれないし……。
あと、原案の話番号に欠番があったりしたので、それをずらす作業でわりとこんがらがって、思ったより苦労しています。
すぐに全話投稿してしまうつもりだったのですが、もう少しお待ちくださいませ。