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129.卑怯馬鹿からの届け物①

 最近よく分かんねえけどゲレロ、トレオン、シリトラから、しょっちゅう依頼に誘われる今日この頃、俺は昨日依頼を終えて、いつものように宿でぐっすり寝てたんだ。




そこに・・・・


「おい!!馬鹿!!てめえいい加減にしろよ!!」

「流石に洒落になってねえぞ!!」

「さっさとどうにかしろ!!!」


 扉を乱暴に叩いて、俺の安眠を妨げる馬鹿どもの声が聞えてくる。



・・・・・・




「入ってまーす」



 これで黙ってくれるだろ。



・・・・・


「お前ふざけんな!便所じゃねえんだぞ!」

「別にそこでクソしててもいいからさっさと開けろ!」

「『入ってまーす』じゃねえよ扉ぶち壊すぞ!!」


・・・・・うるせえなあ。何なんだよ。


 眠い目をこすりながら扉の鍵を開けると、扉が凄い勢いで開かれ、そこにはアウグ、ハイーシャ、ヒビットがすげえ焦った顔で立っていた。寝起きで極悪人顔のこいつらが並んで立ってたら、気の弱い奴なら寝込むぞ。



・・・・・



 ただ、見慣れた俺ならどうも思うことは無い。冷静に対処する。


「ワリイ。俺、男には興味ねえんだ。夜這いならクタイッシュに行ってくれ」


 そう言って扉を閉めようとしたが、3人が扉に手をかけて閉めさせてくれない。


「気持ち悪い事言うな!」

「お前のケツなんて興味ねえよ!」

「てめえをクタイッシュに・・・・いや、それはどうでもいいから、ついてこい!」


 アウグとハイーシャに両脇を掴まれ部屋から引っ張りだされる。


「ちょ!おい!まだ顔も洗ってねえって!」


 こいつら何でそんなに強引なんだ?俺をどこに連れて行きたいんだよ。


「まずは顔洗わせて髪整えさせてくれ。そんで朝飯食って食後のエール飲みながらゆったりと今日一日の予定立てるのが俺の習慣なんだって!」

「うるせえ!お前いつも髪なんて整えてねえじゃねえか!」

「朝から酒飲んでんじゃねえ!」

「いつも行き当たりばったりのお前が予定立てる訳ねえだろ!」


 ひでえ・・・俺の言った事全否定なんだけど・・・いや、確かに嘘だけどさ。


 そんな事を言っている間に宿の外まで引っ張り出され街を歩かされている。悪党顔に両脇を固められて歩く寝起きのイケメン。その前を歩くヒビットは周りを威嚇しながら歩いている。・・・目立つよな。すれ違う人達がさっきからこっちをチラチラ見てヒソヒソ話をしているのが見える。まあ、たまによくある事だ。気にしても仕方ねえ。


 ・・・・あ!こん棒忘れた。まあ、いいか、何かあったらこいつらをこん棒代わりに使おう。


 そんな事を考えていると、連れてこられたのは毎度お馴染みコーバス組合。


 ・・・・・なんだけど、少し様子がヘンだ。組合の外に人が一杯立っていて、よく見ればリリー達職員まで外にいて、心配そうな顔で組合を見ている。


 ・・・誰か『腐れ花のエキス』でも組合で撒いて臭くて入れねえって所か?ったく、組合員ってのは碌な事しねえな。




「おーい!連れてきたぜ」

「組合長、こいつは牢屋にぶち込んだ方がいいと思うぜ」

「むしろ街から追放した方がいい」


 ・・・・アウグ達ひでえ事言うなあ。俺が何したってんだ?・・・って!組合長がすっげえ形相でこっち来た!何かやべえ気がする。逃げ・・・れねえ。


「くそ!てめえら離しやがれ!」

「逃げようとすんじゃねえ!」

「お前ら!ベイルが逃げねえように囲め!」


 

 ええ・・・・俺が一体何したってんだ?


 ヒビットの指示で、何故か冷たい目をした組合員に周りを取り囲まれる俺。何でそんな顔するのか全く分からず混乱していると、駆け寄ってきた組合長が俺の襟首を掴んでガンガン揺らして怒鳴りつけてくる。


「ベイル!てめえ!一体何がしてえんだ!お前何企んでやがる!」

「・・・??ええ?何がっすか?」

「とぼけるな!てめえとエフィルが何か企んでいるのは分かってんだよ!おらあ!さっさと吐きやがれ!!」

「ぐえええええええ」


 吐きやがれとか言いながら首を絞めつけてくるのやめてくれませんか。


「ガハッ!ハァ、ハァ」


 首絞めつけられながら、そのまま地面に叩きつけられた。


 酷くない?そんで首は離してくれたけど、組合長が俺に馬乗りになって、いつでも殴れるように構えて怖いですけど・・・。


「ちょっと、マジで何言っているか分かんねえっす」

「とぼけても無駄だ!アレは何だ!中に何が入っている!言え!」


 ・・・・ええー。マジで意味が分かんねえ。何この状況?下手な事言えばこのまま拳が振り下ろされそうだ。


「ああ、あれ?ここで問題です。あれは何でしょうか?・・・ガハッ!!」


 空気変えようと明るくクイズ出したのにぶん殴ってきやがった。信じられねえ。


「ふざけんな!ぶん殴るぞ!」

「殴ってる!もう既に殴ってますよ!・・・もう組合長じゃ話にならねえ、リリー!来てくれ!」


 ついでに組合長の怒りを鎮めてくれ。・・・・ってあれ?リリーも怒ってる?何で?昨日まで普通だったじゃん。


「ベイルさん、流石に今回はやり過ぎです。組合に入れないので全く仕事が出来ません」

「・・・・いや、マジで何の事か分かんねえんだけど?順を追って説明してくれない?」

「・・・・はぁ。その本当に分かってない顔、演技だとしたら相当ですね」


 ・・・・いや、演技とかじゃねえんだって、マジで分かってねえんだ。


「本日王都から荷物が届きました。その中にエフィルさんからベイルさん宛の荷物も入っていました。そのせいで組合員含め職員までも外に避難する事態になりました」

「・・・・・・何でえ?」

「・・・はあー。それは自分で確認して下さい。そして早くあの危険物をどうにかして下さい。暗号の件といい、一体何を二人で企んでいるんですか?」

「・・・だからアレは暗号じゃねえって、あの馬鹿が俺を混乱させる為だけに、わざとあんな書き方したって何度も言ってるじゃねえか」

「あの荷物見れば信用する事は出来ません」


・・・・あの卑怯馬鹿は今度は何送ってきやがったんだ?


 リリーの言っている暗号ってのは、この間ヘンな書き方してた手紙の事だ。何故かアレを解読したら宝が手に入るっておかしな話になってるんだ。そのせいで俺にしょっちゅう答えやヒントを聞きに来る奴がきて鬱陶しい事になっている。『げるな』なんて街、聞いた事ねえよ。


「全く、あの馬鹿、今度は何を送ってきたんだ?で?リリー、その荷物はどこだ?」

「組合の受付にあります」

「はいはい、そんじゃあ、確認してきまっせ」


 そう言って組合に入ろうとすると入口でゲレロ達に止められた。


「おい、俺も一緒にいってやるよ。何かあれば盾で守ってやる」

「やべえもんだったら俺が遠くに捨ててきてやるぜ」

「私の水魔法ならどんな事にも対応出来ます」


 ・・・・・・お前らどうした?特にシリトラだ。お前がそこまでしてくれる程、俺何かしたっけ?モレリアならまだ分かるけど、あいつは姿が見えねえからまだ寝てるんだろう。


「いや、別にいらねえ。どうせ大した事ねえよ」

「遠慮すんなって」

「そう、そう」

「水くさいですよ」


 ・・・・・マジでどうした?


「おい!ベイル!早くいってこい!」

「ビビんな!てめえの荷物だろ!」


・・・周りの連中がうるさいから、荷物確認しに行くか。ゲレロ達は好きにしてくれ。


 いつも通り組合の扉を開いて中に入ると、正面をゲレロが、左右をトレオンとシリトラが警戒する。


 ・・・・・いや、その警戒いらねえって。


「荷物は・・・・アレか。あの卑怯馬鹿はホントに・・・・まあ、お前ら騒ぐ理由は分かった」


 見るとリリーが言う通り、受付に木箱が置かれていた。ただ、一目見ただけでみんなが騒ぐ理由が分かった。木箱は黄色と黒の模様・・・いわゆる警戒色で塗られていて、しかも見えている面全部に髑髏が書かれてるんだもん。


 こっちの世界じゃ共通の危険物マークなんてないけど、これなら誰でも見ただけでヤベえもんが入っているって思うだろう。


 ただなあ・・・エフィルだぜ?この荷物の送り主。


 警戒しているゲレロの脇を抜けて、とことこと木箱に近づく。


「おい!少しは警戒しろ!」


 不用心に近づく俺にゲレロが叫ぶが、俺は気にせず木箱を確認する。


 見た目はヤバイ感じだけど・・・重さは・・・結構重いな。


 持ち上げた木箱を軽く振ってみると中からカチャカチャ音が聞えてきた。


「おいいいい!!!」

「音がしたぞ!」

「ベイル!やめなさい!!」


 何をそんなにビビってんのか。見るとゲレロはデカい盾に体を隠しているし、トレオンはいつの間にか入口まで下がっている。シリトラは自分で作った水球の中で叫んでいる・・・その水球ガード俺もクロと戦った時にブレス防ぐのに使った。結構使い勝手いいよな。


 ・・・・それよりもお前ら、俺を守るとか、遠くに捨ててくるとか、何でも対応できるとか威勢の良い事言ってなかったか?・・・いや、まあ別にいいけどよ。


 3人を無視して木箱を閉めるように結ばれている紐を解いて、木箱を開ける。



 その次の瞬間、木箱から白い煙が溢れ出てきた。


「やべえええ!!」

「撤退だ!撤退!」

「全員逃げて!毒煙です!!!」


 煙を確認した途端、組合の外に飛び出して行く3人。すぐに外からパニックになった奴らの悲鳴や怒声が聞こえてきた。


 

 そんな中、俺はと言うと・・・・


「けほっ、けほっ。煙球かよ。開けたら作動するように細工とかエフィルは何がしてえんだ?」


 未だモクモクと煙をあげている部分を、木箱から引きちぎって投げ捨ててから、中身を確認する。


 ・・・・何本かの瓶と手紙か。手紙は・・・・『拝啓ベイル様。私がコーバスを離れ、どれだけの月日が流れ・・・・』




 ・・・こいつは後にしておこう。こっちの瓶の中身を先に確認するか。・・・・見た目は黄色・・・って言えばいいのか?黄色よりももうちょいキレイな透明な黄色・・・・何て言ったか・・・!そう!琥珀色だ!琥珀色の液体・・・・・!!おいおい、まさか・・・・嘘だろ!


 瓶に入っている液体が何か思い当たり、慌てて栓を開けて中の臭いを確認する。


 ま、マジかよ。この臭い・・・ウイスキーじゃねえか!ワインとエール以外の酒が、この世界にあったのかよ!信じられねえ!味は・・・・うわ!エールと違いこの喉にガツンとくる感じマジでウイスキーじゃねえか!・・・た、炭酸が・・・欲しい。・・・・は、ハイボール飲みてえええええ。

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― 新着の感想 ―
どうしてこんなに大騒ぎになってしまったんだ!!(手術室へ運びこまれるAA略)
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