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第十五話、優しさを捨てろ!

「ただいま〜」

「ただいま戻りました。」

命は雪村家に居候させてもらっている。そのため帰るのは雪村家である

「おかえりなさい、二人共」

出迎えてくれるのはあげはの父であり、命の義父である雪村郷ゆきむらごう

あげはの母はあげはが小さい頃に亡くなった。命を引き取ったのもあげはの母である。

「命君、後で道場に来てくれないかい?話があるんだ。」

郷は重要な話は必ずと言って良いほど道場で伝える。その意図を感じた命は「はい」と頷いた。

「話って何だろうね」

あげはが不思議そうな表情で呟いた。

「よほど、重要な話なんでしょうツヴァイは黙っててくださいね」

「へいへい」

そして夕飯を食べ終わり、道場に向かう事にした。

「話とは何でしょうか?」

命は郷と向き合って呟いた。ものすごい威圧感、座っているだけで感じられた。

「君、今日不良を逃したそうじゃないか」

「はい」

どうしてそんな事を知っているのかはさほど不思議に思わなかった。例えここで嘘をついたとしてもすぐに見破られる。命にとって郷は父であり師でもある。そんな人に嘘を言っても仕方ない

「どうして逃したのかな?」

何の感情も込められてない言葉、どうやら怒ってはいないようだ。

「僕は暴力で解決するのは嫌いです。それ故に下した決断です。」

命は平然と答えた、嘘偽りのない言葉

「確かに君の判断は間違えじゃない、でもそんな考え方ではいずれ大きな戦いが起きた時誰も守れないのではないかな?」

郷の言っている事も間違えではない、それは命も分かっている

「それでも僕は人間に暴力を振るうのは認めない、それに力もあまり使いません」

命の強い意志の現れ、郷は表情を変えずただ聞くだけ

「君は優しすぎるんだね、でもいずれはその優しさを切り捨てなければならないそれだけは覚悟しておいてくれ」

命は何も言わず、無言で頷いた。

「最後に・・・あげはをよろしく」

郷は立ち上がり道場を後にした。そして一人佇む命

「ツヴァイ、僕は優しすぎるかい?」

「あぁ、お前は優しすぎるだからあのじーさん言ってる事は正しいと思うぜ」

「そう・・・ですか」

少し落ち込み気味の命、その時だった聞き覚えの声の悲鳴がしたのは

「きゃゃゃっ」

命はすぐさま悲鳴の方へと急いだ。悲鳴は玄関の方からした。

「あげは!」

「命」

「さぁ、早く逃げて!」

「う、うん」

あげはは急いで命の後ろへと逃げた。

「やれやれ、邪魔が入るとは」

命の眼前には二メートルほどの体躯、サイのような風貌に体躯に負けないぐらいの長い金棒のモンスターがいる

「人間、邪魔だ!そこをどけ」

誰でもが感じられるほどの殺気、普通の人間なら逃げ出すだろう・・・

「お断りします。貴方こそこの場から立ち去りなさい!」

声を大にして命は言った。モンスターは金棒を向ける。

「人間、いい度胸だ。ここじゃ狭い外にでろ!」

モンスターはそのまま外へ出る

「行きますよ、ツヴァイ」

「ちょっと待ちな!」

「なんです?」

「お前、ほんとにいいのか?」

「何をですか?」

「なんでもない」

ツヴァイとの会話を終え、外に出る

「我が蒼白の刃、蒼き龍その名はツヴァイ」

命は剣を構え、モンスターの反対側に立つ

「俺はゴザレス、お前は?」

「命・・・工藤命です。」

「命か・・・いい名だ、行くぞ」

「どうぞ」

ゴザレスは一瞬で間合いを詰め、金棒を振る

キーン!

「くっ!」

剣を逆袈裟に構え、受け止める。

「はっ!」

ザシッ!

金棒を弾き返し一太刀入れる

「ふん、この程度か?」

「なっ!」

命が放った一太刀は浅かった。ゴザレスが一瞬で太刀筋をずらしたのだ。

「命!今だけは優しさを捨てろ!」

「優しさ?」

そのとき郷の言葉が命の中で響いた。

(君は優しすぎるんだね)

「そんな事、僕にはできない」

「もらぁったぁ!」

ズドン!

ゴザレスの金棒の一突きが容赦なく命の肩に直撃した。

「なんだ、この程度か殺すかな」

ゴザレスは命の首を掴む

「なんか言い残す事は?」

命は黙ったまま、何の反応もしない

「命、何やってんだ」

ツヴァイは命に向かって叫んだ。だが人形のように反応がない

「ちっ、こんな奴殺しても仕方ないな」

ゴザレスはごみのように命を投げ捨てる。

「次までには強くなってろよ」

ゴザレスは金棒を持って消えた・・・

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