表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】結婚の約束をした幼馴染と再会しましたが、陽キャになりすぎていて近寄れません。  作者: 木山楽斗
冬休み編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

212/227

6.どうやら夜中にかなり雪が降ったらしい。

 辺り一面が白色になるという光景は、中々に圧巻である。どうやら夜中に、かなり雪が降ったらしい。

 去年の今頃、朝起きた俺は外を見て驚いたことを覚えている。高校に入る前までは、雪にはそれ程縁のない地域で生活を送っていたのだ。


「こういう風に積もるとわくわくするよね……まあ、実際は大変なんだけど」

「まあ、そうだな。いいことの方が少ない訳だし」


 雪を運びながら、由佳は苦笑いを浮かべていた。

 子供の時は、雪にはしゃいでいたものである。というか去年の俺でさえ、こういう光景には心が躍っていた。

 しかし実際に待っていたのは、雪かきという現実である。以前住んでいたマンションでは住人が雪に困っており、俺も雪かきに駆り出されたのだ。


「でも、こうやって雪で遊ぶことは、やっぱり好きかな……」

「それは俺も否定しないさ。大分いい感じじゃないか?」

「うん。ばっちりだと思う」


 今日の朝も、俺は雪かきをした。

 俺の家と由佳の家、それぞれの雪かきに参加したのである。

 それが終わってから、俺と由佳は雪だるまを作成し始めた。由佳がそうしたいと言い出したのである。


「まあ、最初に言われた時には、少し面食らったことは否めないんだが……」

「えへへ、ごめんね。どうしてもろーくんとまた雪で遊びたくて」

「いや、謝らないでくれ。結局俺も楽しんでいるからな」

「私も予想以上に楽しい」

「そうか。それならよかったよ……よし、これで完成か」


 俺と由佳は、雪だるまを完成させていた。

 こういうものを作るのは、幼少期以来である。あの時作ったものよりも、クオリティは上がっているといえるだろう。

 なんというか、達成感がある。偶にはこうして童心に返るのも悪くない。


「中々いい感じにできたね……ろーくん、一緒に写真撮ろう?」

「ああ、それはもちろん構わない。えっと、俺はこっち側でいいのか?」

「うん。ちょっと待ってね……」


 由佳に言われて、俺は雪だるまの横に位置取った。

 こういう風に写真を撮ることは、よくあることだ。ただ、どういう顔をすればいいのかは、未だにわからない。

 ぎこちない笑みしか浮かべられないのは、情けない話だ。しかしどうしてもうまくいかないものである。

 ただ、それも仕方ないことだろう。俺は由佳と再会するまで、そういう自撮りといったものにはとことん縁がなかったのだから。


「それじゃあ、撮るね?」

「あ、ああ……」


 スマホに向かって、由佳は眩しい笑顔を浮かべていた。

 俺もいつかは、そういう表情を浮かべられるようになるのだろうか。なんというか、あまり想像できないのだが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ