第七十二話 契約もミウ② 奪われた○○
にたにた、とするミウに、マーニーは逆に。
般若のような表情で、不機嫌だった。
それもそのはずで。
(あああ、あんな! あんなァあ‼)
目の前でミウは、マサルと口づけをさせたのだから。
◆
「その契約ってのは、どうするんだ?」
どきまぎとして、少し強張った口調のマサル。
実を言うと。
アデルのようにごまかせないか、と。
若干、狼狽えていた。
26歳のマサルだが。
そういう経験が、全くない上に。
異性との交際もしたことがない。
だから。
アデルに言い寄られるのも。
ミウに言い寄られるにも。
どうやって接していいのかが、分からない。
男として、アレなのは。
マサル自身、ヤバいとは思ってはいた。
異性との接点がなかったのに、接点を満たなかったのも。
マサルの努力が、足りなかったのは言うまでもないし。
しょうともせずに、この年齢までいた。
だから。
(困った、んだ……が)
思いっきり、目が泳ぎ出してしまう。
ギョロギョロ、と。
「マサルぅーどうかしたのかなぁー~~??」
そんな彼を、楽しくて仕方がないといった表情で。
うっとりと、ミウが見ていた
「‼ --……っつ!」
じわ。
じわわ。
「こんの、ポンコツのくせにっっ」
涙を滲ませる様子のマサルに、
「本っっっっ当に可愛いよーマサルぅ~~♥」
ミウが抱き着いた。
身長差でいえばミウが、マサルの低くなった身体より高い。
「食べちゃいたいよぉ~~♥」
「っひぃ! っは、離せよ! べたべたしなくたっていいだろう!」
ミウを離さそうと、マサルは腕を伸ばした。
「マーニーだって! 引いてるじゃねぇかよ! ポンコツ!」
「え? ああ、いたんだっけぇ~~? 悪趣味だよねぇー??」
ミウが冷淡に言い放つ。
見るゝと、マーニーに表情も朱に染まっていく。
「!? あ、悪趣味も何も、お前がかか、勝手に! マサルを口説き始めたんじゃないか!」
「はァ? じゃあ、どっか行きなよ。邪魔だよーボンタコタレスのマーニー嬢」
「メスが」
「はァ?! そのまんま、返すよ‼」
いがみ合う二人に。
(どうでもいい。なんで、こいつら、こんなに仲が悪いんだ??)
マサルは首を捻った。
自身が原因とも分からずに。
「ふん、だ! 君がなんと言おうが、マサルはさぁ~~僕のものなんだよねぇ♥」
ごきゅ!
不敵なミウの笑顔に、マサルの喉がなり。
背中に冷や汗が伝い落ちる。
「んふふーそんなに怯えちゃダメだよーもっと、泣かせたくなっちゃうよぉ♥」
ふに。
ミウがマサルの唇に、人差し指を這わせ。
そのまま口の中に入れ、開かせた。
「ミ、ウ……っつ?!」
「ね。そのまま♥」
「!?」
ちゅう。
「「‼」」
ミウがマサルの唇を奪った。
徐々に深くさせていく。
「っふ、ぅう゛!」
息ををも飲み込んでいくミウの濃厚な口づけに。
マサルの意識も鈍っていく。
何を、一体されているのさえ。
分からなくなっていった。
◆
「色魔! 痴女!」
唇を拭いながらマサルは、ミウに悪態を吐く。
言わなければ、気持ちが収まらない。
「ぅ、うう゛う!」
「んもぅ♥ 可愛いよぉ~~マサルぅ♥」
「っぎゃ!」
「マサルに近づくな!」
さすがのマーニーも、立ち上がった。
杖をミウに向け、
「色惚けも大概にしろ。マサルの仲間のことも考えられないのか?!」
そう言い放った
(僕にとって、邪魔でしかないんだよなァ)
言われたミウは、腹の中でそう思った。
思ったが。
(マサルに好印象を、恩を売っとけば、もっとさせてもらえばいいかぁ♥)
にた★
「忘れるわけないじゃないかぁー」




