第十二話 ミウと告白と
「で。この……《遺跡》は、どこに繋がっているんだ?」
都築が、ガーナに聞くと、
「ぁああ?? 何だよ、そんなことも、知らねェで何やってんだよ! 手前は‼」
頭上にある、頭がそう叫び、唾液を飛ばして来る。
「俺も、今日、初めてここに来たんだよ!」
きつい口調で、都築も言い返した。
「はァ?! 何だよ、それ‼」
「こっちが聞きたいし、お前に、そう罵られるのは!」
ブン!
「っが!」
一本背負いで、入江を地面に叩きつけた。
「腹が立つ!」
「っご、のォおお~~ぅ゛!」
「っふん!」
そして、手を差し出した。
「ほら」
「ほらじゃねェ~~よ! このクソ餓鬼‼」
ぴく。
今、目の前に居るのが《入江出口》でも。
それは、都築が知る《入江出口》ではない。
しかし。
声は、態度は。
昔、同様で。
「--……っっ!」
視界が揺れた。
涙が、不意に零れてしまう。
そんな、都築に入江が首を捻る。
決して、入江自身のせいで、泣いて居るとは、夢にも思わない。
「本当に。そっくりで辛ェー~~ったらねェのな~~」
苦笑交じりに入江は、都築に言い、
「いい歳して泣くんじゃねェよ」
上半身を起こし、都築の目元を、指先で拭った。
「な?」
カカカカカ!
「--~~~~っっ‼」
表情をころころ変える都築に。
「萌える♪」
「……汚らわしい」
そして、ミウが。
「僕も仲間に入れておくれよぉー~~う♪」
都築と、入江に突進して行く。
ドン!
勢いよく、ミウは入江にぶつかり、押し倒してしまう。
「「!?」」
都築は立ち上がり。
見下ろす。
「携帯があればよかったのに」
唇と、唇が。
重なり合っている。
「っぎゃーー~~っっ‼」
声を上げたのは、ミウではなく。
入江の方だった。
「ききき、キスさささささ‼」
してしまったミウも、ぽっかーーん、と見ていた。
そんな入江に、都築がミウをフォローするように言う。
「ミウは女の人だよ。それぐらい見れば分かるだろ」
入江の顔が、その言葉に歪ませた。
「……--女?? オンナ、なの??」
入江は都築を見上げ、ミウを二度見する。
「ぇ、っと……本当に??」
そして、失礼にも聞き返してしまう。
ぶち!
確認されるように聞かれ。
言っても、尚、信じない目の前の男に。
さすがの、ミウもキレた。
ばさ!
「チンチンなんかないもん!」
ズボンを勢いよく下げ、下半身を露にさせ、入江に見せつけた。
彼女も、胸を見せたがったが。
残念なおっぱいで。
平らなのだ。
見せても信じてもらえないであろう胸ではなく。
見せて、必ず性別が分かる、下半身を見せるほかなかった。
が。
後悔は半端なく。
失ったものも半端ない。
「ぅうううー~~っっ‼」
地面に疼くまってしまう。
「お嫁にいけない~~ぃい゛い゛~~‼」
そして、泣き出してしまう。
「「自業自得」」
ガーナとアデルが呟いた。
全く、前に進みそうもない一行に、痺れを切らした男が居た。
都築マサル、その人だ。
(ったく。勘弁してくれよな)
蹲ったミウに、都築が膝を折り、頭を撫ぜた。
「え? マサル??」
「キレイな肉つきだ。触りたくなる肌でもあったし」
「っま、ざる゛ざんんん?!」
かぁ!
しゅん、しゅん!
「ヘソの傍にあるホクロが、可愛くてチャームポイントだな」
「っそ、そそそ、よよよ、よく、そそそ、見てたね! ぼぼぼ、僕のを!」
そっぽを向きながら言うミウに。
ややうんざりしながらも。
「もう、誰にも見せて欲しくないな」
遠回しに。
この馬鹿女が、ほいほい、と股間見せて泣くんじゃねぇよ!
痴女って呼んでやろうかぁ?!
二度と、そんなもんさらけ出すな!
そう、言ったつもりだったが。
ミウにして見れば、その言葉は。
「っは、はいぃいいい♡」
告白と思った。
顔を種に染めるミウを、慰めるように撫ぜつつ。
(女、子供は苦手なんだよ!)
眉をひそめた。
「あ」
入江の言葉に、都築が彼を見ると。
「立てたわ」
入江は自身の足で、立ち上がっていた。