エピローグ「幻想郷」
ーー現在
「それであなたはこうなったと」
話が済むと、小町は改めて霊夢を見る。
「ええ。でもまあ、ずっと幻想郷を見ていられるのは幸運なことね」
「肉体を封印して、魂だけこの世に残り、永遠に結界を護る……。どっかの大食い亡霊のようだね?」
あの日。霊夢は龍の力で封印された。そうして、結界は護られ、霊夢は誰にも認識されずに永遠に残ることとなった。
「あんたみたいな魂と話せるやつがいるんだもの。まだいいわ」
「淋しくないのですか? 私以外、誰とも離せなくなって」
そう聞くと、霊夢はゆっくり立ち上がり、「いつもの場所」へ移動し始める。
「そうね〜。淋しくないって言えば嘘になるわね」
「ではやっぱり……」
「でも! 淋しいって言っても嘘になる」
「?」
いつもの場所ーー賽銭箱の上に座る。すると、鳥居の方から誰かがやって来た。
「だって。ちゃんと会いに来てくれる人もいるし。ね、」
「そうですか。わかりました。では、もう帰りますよ。またいつか」
そう言って、小町は静かに飛んで行った。
「変わんないわよ……ここ、幻想郷は……」
そう呟くと同時に、賽銭箱にお金が投げ入れられた。投げたのは、一人の少女と、その母と思われる人だ。
「? ねえ。ここの神社には誰もいないの〜?」
辺りを見回し、不思議に思った少女は母聞く。
「いいえ。ここには、私の友達がいるわよ」
「えぇ〜。いないじゃん!」
短い金髪が綺麗な母親が言うが、少女は逆に不機嫌になる。
「ええ。だって、霊夢は、この幻想郷を守るために頑張ったのよ。そして、誰にも見えなくなっちゃったの」
「え……可哀想…」
「でも。こうやって私たちが毎日来てるから、きっと大丈夫だわ。だって彼女は、そういう人だもの」
母親が言うと、聞こえはしないが、霊夢は言った。
『流石ねアリス。わかってる。そうよ、私は大丈夫よ』
今日も幻想郷は問題なく動き続ける。たとえ、誰がいなくなっても。だが、きっと忘れはしないはずだ。昔、皆で仲良くしたことも。喧嘩したことも。賑やかだった幻想郷を、誰一人忘れないだろう。この幻想は、永遠に残る。なぜならそれが、我等の幻想郷なのだから。
終わりましたね。泣けませんでしたね。でも書きましたよ。でもまだ別の人の分がありますよ。