第6話 武蔵坊弁慶?ゾンビです
第6話 武蔵坊弁慶?ゾンビです
(えー、俺は今――)
(他人に袋を縫われています)
翔平は仰向けになりながら、ぼんやりと天井を眺めていた。
(え?)
(どこの袋かって?)
(そんなこと言えるわけないでしょ!!)
(ハレンチな!!)
「…………」
翔平の股間では、優が黙々と作業を続けている。
その手には――
ファスナー。
「……ほんとにこれ付けるのか?」
(あぁ!!)
(付けてくれ!!)
翔平は力強く頷いた。
(これで玉の出し入れができる!!)
「…………」
(え?)
(出し入れする必要なんてないって?)
(ふふふ……)
(まぁ聞いてくれ!!)
(事の始まりは、俺が最初の玉を手に入れた時だった――)
◇
あの時。
翔平は他のゾンビから拝借した玉を、自分の袋へと入れた。
すると――
身体に異変が起きた。
(なんと!!)
(俺の大胸筋が――)
デロォン。
(デロンデロンになった!!)
(…………)
(いや、弱体化してんじゃねぇか!!)
だが翔平は考えた。
なぜ、玉を入れただけで身体に変化が起きたのか。
そして、一つの仮説にたどり着いた。
(もしかして……)
(玉の持ち主の身体が、俺に反映されてる?)
ならば――
試すしかない。
翔平が次に目を付けたのは、以前見かけた――
走るゾンビ。
(あの走るゾンビの玉を入れれば……)
(俺も走れるのでは!?)
そして――
その結果は。
(ご名答!!)
玉を入れた瞬間。
翔平の細く腐った足が――
ムキッ。
ムキムキッ!
見る見るうちに筋肉質になっていった。
(うおぉぉぉぉ!!)
翔平は走った。
走れた。
今までどれだけ頑張っても、ヨタヨタと歩くことしかできなかった身体が――
走っている。
(速い!!)
(俺、走ってる!!)
(ゾンビなのに走ってるぅぅぅぅ!!)
そして玉を取り出してみる。
シュルルル……。
足は元の貧弱な状態へと戻った。
(…………)
(なるほど)
翔平は確信した。
(俺は気がついた!!)
(自分の能力に!!)
入れた玉の元の持ち主の能力を、自分の身体に反映できる。
翔平は考えた。
この素晴らしい能力。
この奇跡の力。
ならば当然――
名前が必要だ。
(俺はこの能力を――)
(虫が成長の過程で、その姿を大きく変える現象になぞらえて……)
(こう名付けた!!)
\\ 睾 丸 変 態 !! //
「…………」
優は黙ってファスナーを縫い付けている。
(…………)
(なんか反応して?)
◇
そして現在。
最後のひと縫いを終え、優が手を離した。
「……できたぞ」
(おぉ!!)
翔平は立ち上がり、自分の股間を見る。
そこには――
立派なファスナーが付いていた。
(素晴らしい!!)
(これならいつでも玉を交換できる!!)
(待ってろよ、銀次さん!!)
(今、助けに――)
翔平はそこで止まった。
(…………)
(行く前に、準備だな)
銀次が連れていかれたのは、ゾンビを研究している専門機関。
何が待ち受けているか分からない。
ならば――
戦力が必要だ。
(銀次さんを助けるにあたり、まずは準備!!)
(玉狩りをしなければ!!)
翔平はゆっくりと顔を上げた。
目の前には――
優。
先ほど、大量のゾンビをたった一人で倒した男。
ナイフを自在に操り。
銃を使い。
翔平が仕掛けた罠すら突破した。
(…………)
翔平は優の顔を見る。
そして――
その視線が。
ゆっくり。
ゆっくりと。
下へ降りていく。
(…………)
(この男の――)
優が眉をひそめる。
「……なんだよ」
翔平の視線が、優の股間で止まった。
(この男の!!)
(玉がいる!!!!)
「…………」
優は一歩後ずさった。
「……なんで俺の股間見てんだよ」
(だが優は強い!!)
(普通にやれば返り討ちに遭うのは必至!!)
翔平は腕を組み、真剣に考える。
(どうしたものか……)
銀次救出への第一歩。
それは――
研究所へ向かうことでも。
仲間を集めることでもない。
玉を集めることだった。
果たして翔平は――
優の玉を取ることができるのか!?
(待ってろよ、銀次さん!!)
(まずは玉集めてから行くから!!)
続く。
ここまで読んで頂き本当にありがとうございます!
この話にR指定は必要なのか悩んでいます、コメントなどで意見やアドバイスを頂けると幸いです!




