01話 弱い自分
初めて書いた作品です。これからどんどん更新していきます。
世界中の人間、何億人といる中で悩みを持っていない人はいないと思う。
大小関係なく、生きていく上で悩みは生まれるものである。
例えば、仕事のこと。友人や恋人のこと。今日の晩御飯のメニューでもいい。
人間悩みがあればあるほど成長していく。要するに悩みは人生を深めるスパイスの様なものなのである。
しかし俺、一筆伏喜には産まれてから今まで大きな悩みと呼べるものが1つもあった覚えがない。
そしてそれは自分の無気力な人間性を表しているようだった。そうして俺は、なにも考えず人間として成長しないまま華の高校生になってしまったのである。
現在俺は紫陽花ヶ丘高等学校の新1年生。地元からは少し離れたそこそこ頭がいい高校だ。
登校してすぐに入り口に張り出された1年間を過ごす重要なクラス表を見る。
確認すると1年B組だったので、慣れない足取りで新校舎の1年B組教室へ行き、自分の出席番号の座席に座るのだった。
周りを見渡すともうコミュニティができていたので少し冷や汗をかく。
そう俺は無気力を気取っているだけのつまらない人間だ。友達がいないととても怖いし、今も慣れない環境でビビり散らかしている。
すると新しいクラスで縮こまっていた俺に隣の席の奴が突然喋りかけてきた。
「よう、俺の名前は牧ノ原勝己って言うんだ。その様子じゃお前もこのクラスに知り合いがいないんだろ?俺も少し離れた所から来てるからさ、仲良くしようぜ」
なんとありがたい恵みの言葉だろう。こいつとは絶対に卒業まで仲良く過ごそう。
その後の入学式もほどほどに、クラスのホームルームで自己紹介をする流れになった。
自分は前の人間の自己紹介を参考にして、当たり障りのないことを発表しようかと考えていたその時だった。
前の席の先程からソワソワしていた女子生徒が先生から名前を呼ばれるなり、席からすぐに立って黒のロングな髪の毛をなびかせながら自信満々にこう言ったのだ。
「私の名前は涼白有栖。食べ物はなんでも食べるわ。悩みがある人がいるならなんでも解決してあげる!そうね…部活を作ろうかしら部員として働きたい人がいたら言ってね」
俺は驚いたと同時にやらかしたと思った。なぜなら、まったく参考にならない自己紹介で頭が真っ白になってしまったからだ。
焦る俺とザワザワしている周りを無視して、担任である神谷先生が俺に自己紹介を振ってきた。
「じゃあ次は一筆伏喜さん」
担任の言葉にまた冷や汗が出る。そして焦った俺は最悪の選択肢をしてしまったのだ。
「えーっと、一筆伏喜です。俺も悩みを解決していくのでよろしくお願いします」
しまった参考にしすぎた。我ながら意味の分からないことを言って席に座わる。前の涼白さんが驚いたような顔でこちらを振り返って見ていた。
そして最悪とも言えるホームルームが終わり、最悪の気分のまま放課後になったので帰宅する人の波に乗って自分も帰る準備をしていると、後ろから突然涼白さんがワクワクしている様な笑顔で肩をバシバシと叩いてきた。
「あなた部員になったんでしょ。ならまずは私の小さな悩みから解決してよ」
まじかよこの女と内心思いながらも質問する。
「涼白さんの小さな悩みってなんなんだ」
「涼白で良いわよ。私の小さな悩みって言うのはズバリ、部員が足りないことよ。部活と認められるのは4人からだからね」
涼白はそう吐き捨てるように言った。俺が頭数に入れられていることに軽く目眩を覚えながらもまた質問する。
「部活の名前はどんな名前にするんだよ。人の悩みを解決する活動をするってことだろ?」
まったく検討もつかない。お悩み相談室的な名前なのだろうか。するとまた涼白はワクワクしている様な笑顔を俺に向けて答えるのだった。
「なんでも解決部!」
なんだそのダサい部活名。しかし、その小学生が考えたようなネーミングセンスに心の中ではワクワクしてしまっている自分がいた。
このことが俺の平凡な人生を大きく変えるとも知らずに。




