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(「改行」声にしない言葉「改行」)

 

「繰り返しになるが、私にはキミの心情とも言える地の文を読み取ることはできない。またキミも同様に、他人の心情を綴った地の文を読み取れないとも言える」



 赤くなって狼狽えていた先輩を見た後だと、そうでもない気がします。



「しかし地の文が全てを詳らかにするわけでもない。

 例えば私が落ち着けるようにと学内公園へと場所を変えたとか。

 途中の自販機でホットミルクティーを買ってきてくれたとか。

 いつも使うベンチの右側に私を座らせて缶コーヒーを飲みながらこちらを眺めているとか。

 そんな描写が地の文にあったとしても、それだけでは心情はわからない。気遣いする優しさが滲み出ているだけだ」



 むしろ描写する仕事を取られた地の文が涙に滲んでいそうですが。



「私はミルクティーが好きではない。それをあえて渡して、困っている様子を楽しんでいる嗜虐癖が地の文では暴露されていても読み取れない」



 ブラックコーヒーの方がよかったのなら、一人語りの合間にでも言えばよかったのにと呆れていますよ。



「もちろん、逆のことも言える。

 短い付き合いでもないのにミルクティーが好きではないと知られてもいないほど、キミに興味を持たれていなかったのかと凹んでいる私の心情が私の地の文に記されていたとしても、それをこうして言葉にしないとキミは知ることができないわけだ」



 そういう考え方もあるかもしれませんね。



「……その薄ら笑い、キミやっぱりわざと私にミルクティーを渡しただろう」



 地の文なんてありもしない物が見えなくてもちゃんと伝わっているじゃないですか。





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