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(「「被せて他者発言を遮る」)

 

 先輩は変人だ。


 知り合う前から変人だったし、それはたぶんここに進学する前からも変人だったのだろう。そしてそれはたぶん、これからも変わらない。

 その上で侮られず謗られない選択を提案していると理解はできたが、納得はいかなかった。


 だから、手を差し伸べた。

 いつもならこちらから取る先輩の手を取らずに。



 選ぶのは先輩なのだから。




「私は、確かに途上です。不完全で、未完成で、半端者で、思う以上に愚かでしょう。それを見て変人だと評されることも多く、打ちのめされることも少なくない」




 先輩の声が震えているのは、雪のように冷めた言葉を浴びたせいだろうか。

 再び長身痩躯の口が開いて溜息が漏れた。




「そうだ。だからこそ正しい道を「だからこそ、私は私が正しいと思う道を選ぶ」




 溜息に引きずられたように落ちる冷たい声が、先輩の震える声に遮られて止まる。




「自らの足で立ち、自らの足で歩かなければ誇りは守れない。心が折れるし、泣き崩れるし、挫ける。そんな弱い自分を否定して、隠して、似た者同士の生温い群れに埋もれて、自分から目を背けて生きるのは嫌です。どれだけ無様でも、惨めでも、私は私自身に誇りを持っている。私であることを私まで否定したら、それこそ本当に何者でもなくなってしまう。私は私を見捨てたくない。それに、」




 俯いていた先輩が顔を上げた。泣き笑いのような表情で、こちらを見る。




「こんな変人に寄り添ってくれる変人を、手放すなんて絶対に嫌です」




 冷え切ったように震えたままの先輩の手が、差し伸べた手を握った。





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