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(「改行なし」)

 

「素敵な恋人さんと仲良くねー」




 と朗らかに笑う店員の的はずれな言葉を尻目に、先輩の手を取って店を出た。視界が開けて落ち着かないのか、先輩の握り返す指がいつもより深く絡んでいる。

 視線を上げれば鋭い目を泳がせている困り顔が見えた。


 なるほど、伊達だったメガネが取り払われた眼差しは、少しつり上がり気味でキツく見えなくもない。こめかみや鼻先などが少し荒れ気味なのは伸ばしていた髪の名残りか。


 彷徨う視線と連動しているように波打つ薄桃色の唇が開き、言葉が降り始める。




「まるで突然すっぴんにされたみたいで落ち着かない。なんだか照らされる感じが強くなったような気さえするし、目元が空気に晒されている感覚が久しぶりすぎて目が乾きそうだ。あとなんだかすごい見られている気がするので、できれば慣れるまであまり触れないでほしい。念のため断っておくが不遜に振る舞うつもりも見下しているわけでもないし、睨んでいるわけでもない」




 上背の悪印象から不遜に見下しているように思われたことがあるのだろう。すれ違う通行人が視線を向ける度に、少しでも隠れる場所を探すように盾にされる。

 そんな先輩の手を引いて人目のない場所に行こうと考えて、いつものカラオケの利便性に負けた。


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