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国家追放された公女とパーティー追放された聖女を拾ってみたら…  作者: ヒデミケ


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魔性の手紙 ―side リオン―

 衝撃のTS異世界線を経験した事で、僕は一回り大きくなった気がする。

 何か人を思う心と言うか、姉の卑しさ……いや、姉を思う心と言うか、大事なものはすぐそばにあるというか。

 はたまた大事なものを失ったというか。

 朧気ながらも自分にとって何が大切か、思い知ったんだ。


 そして、僕がTSから復帰した直後、そこは修羅場と化していた。

 師匠が調子に乗って時空間魔法を使い過ぎて、魔力暴走が起き、身体ごと異世界線へ旅立ってしまい、戻ったはいいけど、何かとんでもないお土産がついてきたという事だった。

 まあ、僕の異世界線行きが余分だったってのもあるので少しばかりは僕も責任を感じてるのだけど。

 でも身体が分子レベルで崩壊せずに無事に異世界間を往復出来たって事は、地球行きも完璧だって事だよね?

 すごい! さすが師匠。


 ただその尊大な師匠に対して、名前がレアーヌっていうアヤネ姉さんが魔法少女とか何とかだと言ってやまない女の人が抱き着いた状態だった。


 アヤネ姉さんは、やや呆れた表情で、ここはまず風紀隊詰め所へ戻りましょう。そこでマール姉さんとも合流したならば、修羅場と化すであろう師匠の吊し上げは一度で済みますからと青筋立てているリーシャ姉さんに言っていた。


 師匠……子供の僕にすら一目瞭然です。この状況、事情はあるでしょうが男としてけじめはつけましょうよ……たとえ、その結果、無様に屠られようとも……あっ? 死ねないんだっけ? この人。


 アイテムボックスから詰め所内へ戻るとそこには……


 マール姉さん、ミミ姉さんをはじめ、風紀隊の面々が揃っていた。

 そしてライナー兄さんとエリシア姉さん夫妻。


「リオン、今しがたあなた宛てに速達があったわ。読んでみて。

 あら? クロードさんその派手な魔法少女のような女の子はお土産ですか?

 さては、新しい嫁ーズになるのね?」


 嫁ーズ? 僕の知る限りは師匠の取り合い合戦はリーシャ姉さん、マール姉さんだけじゃなかった?


 ただ僕にはそれ以上にその手紙が気になっていた。


 確かに僕宛てだ。

 便箋を開けてみた。


 ――何とも……というか、最初は訳が分からなかった。

 僕は元々学園の宿題がすごーく苦手なのだけど、それ以上の難解な言伝だ。



 ――――――――――――


 リオン・ミグレット様


 ウサギが気がかりです。


 修道院のリリアより。


 ――――――――――――



「…………」


 絶句。


 なんだこれ? 若干、いや数分は思考停止した感じがした。

 自分の記憶を手繰りグルグル回った感じ。すごく無駄な労力を使った気がする。


 そして出た答え。

『リリア』ってどのリリアだろう……

 僕の短い人生の中で、リリアは3人はいたはずだ。


 まあ、それはさておき、おそらくこの『リリア』はあの”リリアちゃん”で間違いない。


 恥ずかしいけど、自信を持って言える。

 僕はまだ10歳だ。でもあのリリアちゃんの事は気になっている。だっていつも優しいから。


 そして、このどうも急を要する”リリアからの手紙”で、僕の地球行きはなくなってしまった。

 というか、僕はここでやるべき事があると明確に思ってしまったから、自分から断る事にしたんだ。


 ただ僕がこれを伝える前に既に大勢が決まっていた。ここで既に師匠の魔力暴走のつけが回ったようだった。

 師匠曰く、既にはじき出していた地球へのログに不具合が生じて調整するのにしばらく期間がかかるようだ。


 それでもきっと師匠はほっといてもマール姉さんにとって最高の結果をもたらしてくれるに決まっている。

 だって僕の師匠だから。そこには微塵の疑いもない。

 だから僕は僕の出来る事をやろう。


 僕は自分のこの判断を微塵も疑わない。


 去年の年末、王城でクリスマスパーティーがあったのだけど、そこで貴族学園初等部の子供たちは、クリスマスのプレゼント交換をした。


 僕は、その時ウサギのぬいぐるみを用意していった。


 そして、それを受け取ったのがなんと密かにお気に入りだったリリアちゃんだった。

 その頃から、ずっと可愛い子だなって思っていたので、リリアちゃんがもらってくれてすごく嬉しかった。そのリリアちゃんで間違いないと思う。


 そのリリアちゃんはとってもウサギのぬいぐるみを気に入ってくれて、初等部の皆で集まった、新年ミレニアムパーティーでもウサギを持参してきた。

 そして、僕にお礼として言ってくれた秘密の言葉があった。


 ”悪いお嬢様は修道院へ送られるのよ”


 こう自分で言っていたはずだ。


 修道院のリリアよりって……リリアちゃんは悪い事をした令嬢で、これだと既に修道院送りになった事になるんだけど、話の核心が分からない。


 何せ文面自体は、たった一行なのだ……


 僕にだけ、伝えたい事があるのかな?

 それであれば、話は分かる。


 僕は、一つだけとても特殊な魔法が使える。

 ”なんでも決定的瞬間を押さえられるすごい魔法”だ。


 この魔法は、僕の姉さんであるエリシアが冤罪にもかからわず、悪役令嬢として、修道院送りになってしまった際、救う手立てになった起死回生の魔法だった。

 そしてそれを教えてくれたのが、エリシア姉さんの親友『サーシャ・ノワール』だったんだ。


 だけど、この人は僕にとってもエリシア姉さんにとって厄災を運ぶ人だったんだ。

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