俺の義妹は、本当に俺のことが好きなのだろうか。
そんなことがあった日の夜、夕飯を食べ終わった後のリビングでは美玖がドラマを見ながら勉強をしていた。
「またドラマを見ながら勉強して。どっちかに集中した方がよくないか。」
「はあ。兄さんは本当、最近、お義母さんに似てきましたね。」
「まあ親子だからな。」
「そうですか。人間って兄さんたちみたいに合理的には出来ていないんですよ。勉強していないと罪悪感があるし、かといってドラマはみたい。ですからこうする他ないんです。」
俺はそう言われてドラマを見る。ドラマでは若い男と女が見つめ合っていた。
「お前。こういうの本当好きだよな。理解できん。」
「別に兄さんと分かり合おうなんて思ってないですから。私はこういうドロドロした恋愛ものが大好きなんです。」
「それで。今回はどんな話なんだ?」
理解は求めないと言いながら何だかんだドラマのことを聞かれると嬉しいのか美玖は笑顔でこっちを向いた。
「恋人が死んじゃって、新しい恋人ができるんだけど、死んじゃった恋人が幽霊として現れるの。それでどろどろの三角関係になるんです。」
「幽霊?なんか非現実的すぎて萎えないか。」
「はあ。兄さんは何にも分かってないですね。ドラマは現実じゃあ不可能な恋が成立するから面白いんですよ。現実にはない夢みたいな恋愛が見たくてドラマを見てるわけでリアリティーなんていらないですから。」
「そういうものなのか」
俺は冷蔵庫から麦茶を取り出すとコップに入れ、席に着いた。俺たちはそのままじっとドラマを見る。
ドラマでは男と女がキスをしていた。
「なあ。美玖。」
「何ですか?」
「お前って俺のことが好きなのか?」
「ガッシャーン」
美玖は凄く驚いた様子で勉強用具を床に落とした。
「なっ何よ。急になんてこと言うのよ。今日はちょっとおかしいわよ。」
敬語でもなくなっているし、よほど動揺しているらしい。
「ちょっと思うところがあってな。」
「はあ。」
美玖はこちらをにらみつけながらこっちに寄ってくる。
「どうした?」
美玖は、俺の質問には何も答えず、そのまま俺のほほを平手で強く打った。
「なんでそんな勘違いしたか知らないけどこれでチャラにしてあげます。私たちは血がつながっていないとはいえ、兄妹なんですから変な気は起こさないでくださいよ。」
そういうと美玖は勉強用具を拾いもせず、部屋に戻っていった。
うーん。分からん。今日の美玖の様子を見てもあんな夢を見るとは到底思えない。やはりあの夢は何かの間違いだったのだろうか。
俺はすっきりしないものを抱えながら美玖の落とした勉強用具を拾い、机に置いたのだった。




