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世界最強の憑魔術師に覚醒したので第二の人生を楽しみます!  作者: 雉子鳥幸太郎
二章

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強制再び

『――暴かれる真実の庭園ガーデン・オブ・ディヴァージメント!』


 瞬間、目の前にアンドロマリウスが現れた。

 同時に、地面から真っ赤な蕾が芽吹き始め、広間全体へと広がっていく。


『咲き誇る花の名は真実……我が庭園では、誰もが真実を暴かれる――』


 アンドロマリウスはそう呟くと、俺の手を取る。


『さあ、マスター……この蕾に、庭園を開く最後の鍵を……』


 濡れた唇……荒々しい吐息。

 せがむような瞳で、俺の手をその身体に這わせる――。

 

『はあぁぁーーーーーーーー…………っっ!!!♥♥♥』


 アンドロマリウスが歓喜の声を上げた瞬間、庭園の花が一斉に深紅の花を咲かせた。美しい花びらは、まるで雪のように舞い散り、広間全体が紅く輝いている。


『グシャアア――ッ!』


 バキュラが毒液を吐く。

 だが、この庭園の中で状態異常は全て無効。

 そして、バキュラが3年の間貯め込んだ魔素によって強化されていた体力も元に戻る。


「これは……相当使える」


 当たり前だが、俺自身の強化は例外になっている。

 よし、次はアイツを呼んでみるか。


 バキュラの攻撃を躱しながら、俺はスキルを発動した。


『――ファナティック・十字砲火!』


 そう叫んだ瞬間、落雷にも似た閃光が迸った!

 モクモクと土煙が立ち込める中、高笑いが響く。


『ふはははははーッ! 我が愛、我が(みさお)、全てはアンドロマリウス様に捧ぐ! ラヴ・イズ・ファンタスティック! 故にファナティック……! アンドロマリウス様の邪魔をする愚か者が! この、オルキデ――ん? き、貴様は……カス⁉ おぉ~! カスではないかっ⁉』

 オルキデは顔を綻ばせて「お~い」と手を振りながら駆け寄って来た。


「人をいなくなってた猫みたいに呼ぶな!」


『なっ……人聞きが悪い、カスはカスであろう⁉』


 そう言いながら、軍帽を被り直し、碧眼で俺を睨む。

 ったく、見た目は良いんだが……それ以外が酷すぎる。


『シャアアッ!!』

 突然、バキュラが丸太のような尻尾を、オルキデ目掛けて振り下ろした!


『ぬるいわっ!』


 オルキデは後ろ回し蹴りを繰り出し、尻尾を弾き飛ばした。

 軍服ワンピースが揺れ、真っ白な美脚が見えた。


『ふんっ、これしきの攻撃で我の身体に何ができようぞ? ふはははは!』


 まあ、確かに強いんだよな……。


『残り、二分でございます……』


 オルキデの後ろに、ニャトラーの姿があった。


「え⁉ ニャトラーじゃん⁉ 何? セットで出てくんの?」

 俺はニャトラーの肉球を揉みながら訊ねた。


『オルキデ様は少々、時間にルーズでございますので……』

「そっか、確かにそんな気がするわ……」


ニャトラーと一緒にオルキデを見ると、ブーツの踵で地面を蹴りながら否定した。


『な、何を言うか、時間くらい我も守れるわーっ! た、タスク男爵の異名を知らぬのか!』

『……初耳でございます』

 ニャトラーが俺に囁く。


「ホントに変わらねぇな……、そうだ! アンドロマリウスに何をしたんだ? 何か怖がってたぞ?」

『なっ……なんだと⁉ そんな……我の愛は、ま、まだ届かぬと言うのか……くっ……!』

 オルキデが膝を付く。


「お前、わざとやってない?」

『失敬な! 我は――』


 突然、後ろからバキュラがオルキデに巻き付いた。

 ぐるぐるに巻き付かれ、オルキデの姿が見えない!


「お、おい! 大丈夫か!」

『……だ』


「オ、オルキデー⁉」

『……カス……ろうが!』


「生きてるのか⁉」


『えぇーーーい、鬱陶しーーーーーーいッ!』


 ブッチィーンと肉が引き裂ける音が響く。

 同時にバキュラの肉片が飛び散った。


「あ……」


 猫みたいな目をつり上げて、オルキデがぷんすと向かってくる。


『おい、カス! だいたいおま――』


「バカッ! 分裂するぞ!」

『へ?』


 オルキデが振り返ると、千切れた肉片がモコモコと膨れ上がり、数十体のバキュラとなった。


「オルキデ、頭だ、頭を狙え、行くぞ!」


 俺はバキュラに向かって突進した。


『シャアアッ!』

「オラァッ!」

 頭を拳で撃ち抜く!

 ドンッという鈍い音と共に、バキュラの頭部が砕け散った。


「よし、分裂はしないな……」


『むぅ……おのれ、我に恥をかかせおってぇ! どいてろ、カス!』


 オルキデが手を天に翳すと、無数の銃が出現した。


『ラヴ・イズ・ファンタスティック! 故にファナティック……我が純愛の前に爆ぜろ!』


 銃口が一斉にバキュラ達の頭部に向く。


『――――ファナティック・十字砲火!!!!』 


 銃口から放たれたピンクの光線がバキュラの頭部を撃ち抜く!

 一瞬の静寂の後、ドドドド……と、バキュラが地面に崩れ落ちた。


 オルキデは腰に両手を当て、仁王立ちで笑った。


『ふはははは! 見たか、このオルキ――』


 フッとオルキデが姿を消した。

 ニャトラーが懐中時計を仕舞い、胸に手を当てる。


『お時間が来たようです。では、これにて――』

「ああ、またな」


 オルキデの奴……中々やるな。

 それにしても、これは経験値的に大丈夫なのだろうか?


 一応スキル扱いになるのかな……。

 俺は『暴かれる真実の庭園』を解除する。


 目の前には山のような肉塊が散乱していた。


「おーい! 瀬名くーん!」

「あ、無事終わりましたー!」 


 石丸さんは、肉塊を見て、

「ひゃ~、すげぇな。こんなに育ってたのか……」と驚く。

「え?」

「こりゃ、分裂したとはいえ、前回倒したバキュラの倍はあるぞ……。かなり魔素を吸ってたんだろうな」

「そうだったんですか……」

「ま、OKOK! じゃあ、回収始めるから、ゆっくり休んでてくれよ」

「あ、はい、お願いします」


 石丸さんは使役獣を召喚し、魔石の回収を始めた。

 その間に、俺はステータスを確認してみた。


「やった! 上がってる!」

 しかも、一気に10も上がったぞ!

 オルキデが倒しても、俺に経験値が入るんだな、よしよし。


 配分可能ポイントが50か……。

 精神に全部振ってと。


 ―――――――――――――――――

 MP 776→1,026

 精神:146→196

 ―――――――――――――――――


 よし、これで新しい悪魔は……。


 ―――――――――――――――――

 〈召喚可能悪魔一覧〉

 ・ブネ(強制)

 ―――――――――――――――――


 あれ? またブネだ……しかも強制か。

 石丸さんを見ると、まだまだ時間が掛かりそうな様子だ。


 ちょっと召喚してみるか。


『――ソロモンズ・ポータル!』


 ポータルを創り、俺は憑魔を解く。


『はうぅ……マスター、終わりですか?』

「ありがとう、無事倒せたよ」


 アンドロマリウスはガバッと俺に抱きつき、首筋に顔を埋めてスーハーしている。


「ちょ、くすぐったいよ」

『んはーーっ! ちょっとでも充電しておかないと……』


「充電って……ほら、もういいだろ?」

 アンドロマリウスは渋々離れると、拗ねたように上目遣いで俺を見た。


『マスター……また、呼んでくださいね……』

「ああ、約束する」


 そう頷くと、にっこりと微笑み、アンドロマリウスはポータルに飛び込んだ。

 いくら悪魔とはいえ、あれだけ可愛い子に言われると……いかんいかん!

 ちゃんと自分で線を引かないと、肉欲に溺れてしまいそうだ……。


『――来い、ブネ!』


 ん……?

 何も出て来ないが……。


『おい、上だ』


 次の瞬間、俺はブネの真っ白な足の裏を見上げていた。


 宙に浮いたまま、両手を白衣のポケットに突っ込み、何の感情も読み取れないその瞳で俺を見下ろす。


 そこには好意も敵意も存在しない。


 まるでガラス玉に映る風景のように、瞳には俺が映っている。


 ――直視できねぇ。

 久しぶりに見たブネは、相変わらずの黒い下着姿だった……。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 石丸さんも部屋の中を直視していなくて良かった。 変なのが出てきてコントやって敵破壊して強制帰還したとかいくらポータルの中の出来事とはいえ外聞したら哀れな目で見られかねない。 それぐらい凄い…
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