労働5
「もうだめだ…動けない…」
肩も足も腰も、どこもかしこも強張ってがくがくしていた。
近いとはいえ、重いバケツを持って、一体、何度、泉と酒蔵を行き来したことか…
腹も減ったが、食事をするのも億劫に感じられる程疲れていた。
ここでもアランが夕食係を買って出た。
これだけの重労働をした後で、よく料理なんて出来るもんだと感心する。
やっぱり俺は女の身体だから体力がないんだなって痛感した。
夕食を無理矢理口にに流し込み、夜は泥のように眠った。
ユリウスは酒を飲みながら、イザベラと何事かを話していた。
あいつは良いな…楽な仕事で…
なんで俺達ばっかり、こんな辛い仕事をさせられるんだ…!
次の日も朝早くから水汲みだった。
仕事の内容は昨日と全く変わらない。
水を汲んで、各樽に100杯入れるんだ。
昨日は樽の口あたりまで一杯だったのが、次の日には底の方にちょこっと溜まってるだけだった。
なぜだかはわからないが、これは魔女が造る酒…
人間の酒の造り方とはそもそもが違ってるんだ。
多分、この樽自体になんらかの術がかけられてるんだろう。
余計なことで頭を悩ませるだけ無駄ってもんだ。
俺はひたすらに水を汲み続けた。
身体が悲鳴をあげ、ねじのぶっとんだブリキのおもちゃみたいになりながら、同じ作業を続けた。
ユリウスは相変わらず楽な仕事をしている。
日が経つごとに、イザベラとも仲良くなってきたようで、食事が済んだ後も二人で酒を飲みながら談笑していやがる。
畜生!
俺とアランはこんなにガタガタになってるっていうのに…
しかし、今は文句も言えない。
アレクシスを返してもらうまでの辛抱だ。
あと数日だけなんだから。
あとほんの数日頑張れば、すべては終わる。
(耐えるんだ、ステファン!
耐えた先には幸せが待っている!)
俺は自分に言い聞かせた。




