惑わしの森22
「あれ…」
「どっちだ?」
進むうちに分岐点が現れた。
つまり、ここは立体の迷路のようなものなんだ。
「じゃあ、ユリウス…あんたはここで待っていてくれ。
俺達は、この先を見て来る。」
ユリウスを残し、分かれ道を俺とアランで各々進んで行った。
帰りはユリウスの松明の灯りを目標に戻った。
いくつかの行き止まりの道があり、その中に一部だけ進める道がある。
翻弄されながらも、どうにか正解の道を探り、俺達は迷路のような洞窟の中を進んで行った。
そんな時……
(あれ…?)
俺が進んだ道の突き当りにおかしなものがあった。
一見すると、祭壇のようにも見える。
そこに小さな箱が鎮座していた。
箱には鍵がかけられている。
(まさか……!?)
俺の鼓動は早鐘を打ち出した。
いつも持ってる商売道具の針金を使い、箱の鍵に取り掛かった。
なかなか複雑な鍵のようで、なかなか開かない。
松明の明かりに照らしてみると、鍵は相当に錆びついている。
俺は、箱を周りの壁に叩きつけた。
何度かそうやっているうちに、箱に亀裂が入った。
そこをさらに叩きつけると、亀裂はさらに大きくなり、中から何かが零れ落ちた。
(なんだ…??)
それは、獣の牙のようなものだった。
宝石でも入ってるのかと思いきや、なんともつまらないものをみつけてしまった。
どうやら、ここにお宝があるっていうのはデマだったようだ。
もしくは他の場所にあるのか…
とにかくこのことは二人には言わないことにして、素知らぬ顔で俺はユリウスの元へ戻った。
「こっちは行き止まりだった。」
「そうか、それなら…」
「おーい!こっちだーー!」
俺達はアランの声の方へ向かった。




