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死神少女が生きてるだけ  作者: ゲパード
第一章 大鷲篇
56/75

第五六話「傾向と対策」

 

 

 

 昨日はロッシさんに殺され、オリヴィエさんから魔法の指導を受けてブっ倒れ、とかなり慌ただしい一日だった。

 あのあと夕食を取った自分は魔力回復に務めるために、部屋割りだけ決めてさっさと寝たのだ。

 一応自分らの部屋割りは、まず元々ここに泊まっていたオリヴィエさんとライラさんが同じ一部屋を使い、もう一つとっていた部屋にはロッシさんとケイ君。ユークさんは自前の研究室があるのでそこで。そして余った自分は適当に空いていた一室を使うことになった。つまり一人部屋だ。

 他の皆が明かりのついた部屋で談笑しているなか一人暗い部屋で布団をかぶるのはどこか物寂しい感じがしたが、仕方ない。そんな感情も蓄積した疲労の前では無力なもの。あえなく自分はベッドに体を沈み込ませ意識はまどろみに溶けていった。





 


 さて朝起きた自分は、枕元に書き置きがあるのに気づいた。

 自分が寝てから、誰かが置いていったのだろう。


 眠い目を擦ってそれを取り上げると、やけに達筆な字で「起きたら戦う準備をし、玄関出てすぐの芝生に来てください」と書かれていた。

 誰が書いたのかは記されていなかったが、丁寧な口調と「戦う準備」というワードからそれは推し量ることができた。

 自分は寝覚めは良いので、寝間着にしていたシャツを脱ぎ、適当な新しいシャツとホットパンツを穿いて、宿り木のエントランスを経由して洗面場に行き、……と準備を整えてエントランスに戻ってくる。そして、まだ寝てる人ばかりだからそれに配慮して音を立てないように玄関扉を開けた。


 その瞬間。ヒュオンっと鋭い風が耳の横を通り抜けていった。

 自然風ではなかった。


 出所はすぐに判明する。

 ロッシさんだ。

 彼が素振りをしていて、その一振り一振りで剣風が発生して、芝生に筋が走る。

 すさまじい剣捌きだ……。

 おそらくこれ、魔力込めたらいわゆる飛ぶ斬撃と化すんじゃないか。

 ヒュンヒュンとひと振りごとに鋭い風切り音を轟かせていてまさしく達人の剣だった。


 彼は昨日の夜の内に書き置きを残しておいて、自分より早起きしてこうして素振りをして待っていたのだろう。


「エリュー。起きたんだね。調子は?」

「ロッシさん。もうすっかりですよ。それで、戦う準備をしてこいって……」


 少しその素振りを眺めていると、ロッシさんは自分のことに気づくと身を案じてくれる。

 ユークさんの処置は的確だったのだろう、どこも悪いところはない、爽やかな朝だ。魔力残量も半分ほどに戻った。


「約束していた通り、剣を教えようと思ってね。昨日早く寝たから、朝早くに目が覚めるだろうと見越して」

「はい。自分は寝覚めがいいので」


 時刻的には日が昇ってまもない早朝だ。

 ケイ君が起きて朝食を作り始めるのにはもう少し後だろう。

 朝飯前というわけではないが、こういう時間に体を動かすのも気持ちのいいものだ。


「なら、よろしくお願いします」

「うん。じゃあさっそく。剣を教えようか。といってもこれは私の剣の使い方をエリューちゃんに教えるわけじゃなく、その対策や傾向を覚えることで、アギラさん攻略に役立ててもらうって場だからね。さすがに大鎌については私もよく分からないからね」


 そこは承知してます。

 大鎌ってマイナー武器ですしね。


 そこでロッシさんはさっきまで地面に伏せておいた円盾を取り上げ、右手に剣を左手に盾を装備する。


「まずは解説をするから、楽にしてていいよ。適当に腰掛けたりとかね」

「あ、はい」


 言われた通り、芝生に腰を下ろし。大鎌もそこらに寝かせてちょこんと三角座りをする。


「まず、《ヴォロス王国騎士剣術》だね。この剣はその名の通りヴォロス王国の正規軍に所属した人間なら誰しもが最初に教わるものだ。それはもちろんアギラも例外ではないはずだよ」


 ロッシさんは剣と盾を携え、盾は前に突き出すように、剣は少しだけ持ち上げて腰の辺りで構える。

 あれが《ヴォロス王国騎士剣術》の構えなのだろう。


「じゃあ少し、見ててね」


 それから彼は剣を右上からの袈裟薙ぎ、一歩踏み込みながら左から右への一閃、更に二歩踏み進みながらの刺突と、試しにコンボを見せてくれる。


 その一連の動作は非常に洗練されていて、何十年もかけて最適化された剣術なのだろうということが窺い知れた。

 同時にどこかおとなしいような印象も受ける、まぁ正規軍の剣術が突拍子もないものだと困るだろうしね。


「こんな感じかな。《ヴォロス王国騎士剣術》は剣と盾を用いて状況対応力に優れる剣術だね。両手で剣を扱うときもあるけど……、基本的にはこのスタイル。盾で受け、あるいは牽制して、隙を見せたところに切り込んでいく。そしてこれはアギラさんにもきっちりと適応されるはずだよ」


 はて? アギラの武器は直剣と特大剣の二刀流だ。

 今言った剣と盾のスタイルとはまるっきり違うような気がするけど……。

 そんな自分の疑問をロッシさんは順々に解説してくれる。


「彼の剣は初見では確かに異質なものに見える。けれど彼の直剣はそのまま直剣として、そして特大剣は盾として見れば彼の剣術が《ヴォロス王国騎士剣術》の流れを汲んでいるものだと分かると思う。彼が直剣を攻撃に、特大剣を防御に用いたときはそれを意識してみるといいだろうね」


 言わればみれば。

 奴の直剣は特大剣に気を取られたところに、意識の隙間を縫うようにして振るわれていた。それはロッシさんの言う通り《ヴォロス王国騎士剣術》の流れを汲むものなんだろう。


「そして逆に彼が特大剣を攻撃に、直剣を防御に用いたならば」

「《ラグラン流剛断剣》ってことですか」

「そういうことだね」


 ロッシさんは今度は盾を置き、騎士剣を両手で保持して、頭と同じ高さに柄を置いて、切っ先を斜め向きにして空を向けた。

 あれが《ラグラン流剛断剣》の構えなのだろう。

 だいぶ上段で体ががら空きに見えるが……。


 そんな自分の疑念をよそに、ロッシさんはダンッ! と一歩踏み込み、何かを叩き落とすようかのようにして剣を振るった。

 剣は地面に突き刺さり、そうして振り下ろしのエネルギーを地面へと受け渡す、そこから彼はすばやく剣を腰の辺りまで持ち上げ、斜めの一閃を放つ。その斜めの一閃も地面を滑らせて勢いを殺し、そして地につくほどに腰を落としながら返すように大上段までの豪快な切り上げを放つ! 


 先程と違って違ってどれもダイナミックで豪快な斬撃だった。

 やはり違うものなんだなぁ。


「こんな風に《ラグラン流剛断剣》は剛剣だ。生半可な攻撃も防御も上から叩き潰して、あるいは下からめくり上げる豪快な剣技」


 そういいながら彼は先程の構えを点対称にしたような、剣を腰の側に構えて切っ先は斜め向きにして地面に向ける構えをした。

 先程のと同じく体ががら空きに見える。さっきの始動が叩き落とすバージョンで、今の構えがめくり上げるバージョンってことか。


 そして、さっき剣舞を見た後なら、その構えが誘いの体を成しているのであろうことが分かる。がら空きに見える構えは相手の攻撃をねじ伏せるためのものだろう。

 ロッシさんの構えは実に開いた・・・、誘いの構えだった。その隙は全て誘い込んで叩き潰すための釣りとして機能する。先程地面に剣を当てて勢いを殺していたのもカウンターのために必要な挙動なのだろう。

 それに釣られて攻撃をしかけても、上からの剣で叩き落されるか、下からの剣で掬い上げられるかの二択というわけだ。

 攻撃に攻撃で叩き潰す。まさに剛剣だ。

 

「アギラさんは並外れた剛力を持ってるから片手でやってくるけど、根底の理念は変わらないはずだよ」

「なるほど……」


 ん? でもやっぱりこれ隙がないのでは?

 だってロッシさんの場合は両手を使ってその剛剣を扱うけど、アギラの場合片手でそれができて、もう片方の手には直剣が握られている。以前交戦したときはうまく特大剣の隙をついても直剣で弾かれてしまっていた。

 どうすればいいのだこれ?


「でもアギラの場合は、片手を直剣で防御に回せますよね。それはどうやって攻略すれば……」

「んーそうですね……」


 ロッシさんは少し思案してから、口を開く。


「《ヴォロス王国騎士剣術》の、つまり彼が特大剣を防御に回しているときにその防御を突破するのは正直言って厳しいでしょうね。敗北しないため、生き残るための剣でもありますから。それに加えて彼は空間魔法もありますから防御の構えを見せられれば難攻不落でしょう、特大剣の方も盾として見るとそこらのタワーシールド並の大きさだからね、突き崩すのは困難を極めると思うよ」


 確かに、先日ロッシさんと戦ったときも、盾をなんとか掻い潜っても直剣で大鎌は弾かれてしまった。きちんと《ヴォロス王国騎士》を修めればあんなこともできるのか。


「けれど裏返せば《ヴォロス王国騎士剣術》は決め手に欠ける剣です。正直私もこれで攻勢に出ることはありませんしね。たいていは両手に持ち替えて《ラグラン流剛断剣》にしたり、あるいは先日のように《ルシアス貴流刺剣術》に切り替えたりとかしますね」


 まぁ騎士の剣は守るための剣だから、そういう傷つけたり打ち倒したりといった性質はあまり宿してはいないのだろう。さっき感じた「おとなしい」という印象もそういった剣術の位置づけゆえか。

 そして、だから粛清部隊エリミネーターという、おおやけの騎士とは目的を異にする部隊に配属されたロッシさんやアギラは、そしておそらくアルコンさんも別軸の剣術を組み上げる必要に迫られたとのだろう。

 それが行き着くところが当時の隊長の修めていた《ラグラン流剛断剣》だというのはストンと落ちる話だ。


「アギラさんも同じです。あの《ラグラン流》は攻勢に出るための剣です。そして《ラグラン流》なら明確な攻略の糸口が存在します。《ラグラン流》は叩き潰す剛剣。その理念を逆に利用すればいいんです。攻撃してきた相手の剣を狙って(・・・・・カウンターを置き、更に大きな隙を作る。一見迂遠な方法に見えますが、彼の両剣を突破するにはおそらくこれが一番いいでしょう」


 ロッシさんの言葉に自分はっとさせられる。。

 《ラグラン流》は剛剣。防御はすなわち攻撃。なら攻撃に攻撃を重ねてやる。あっちがやってることをやりかえせばいいってことか。


 だがその戦法に自分は納得すると同時に、自分は懐疑を抱いた。


「そんな都合よくアギラが突っ込んで来るものですかね……?」


 そう。攻略方が相手に依存しているなら、そこにうまく持ち込まないといけない。それを引き出すのが駆け引きってものなんだろうけど。生憎と自分に一番足りてないのがそういった経験だ。はたして自分にそんなうまく事を運べるだろうか。


来ますよ・・・・。あの人なら自分から仕掛けにいく。そういう人でしたから」


 でもロッシさんはある種の信頼を感じさせるほどに強く、そう言い切った。

 た、確かに奴ならそうかも……と思えるほど清々しく言い切ってくれた。


 同時にこれまでの理論の中でこれが腑に落ちた。

 奴が特大剣を盾にして、ビクビクしているなんてそれこそ天地がひっくり返ってもあり得ないことだ。

 確かな実力を持って、それによって驕り高ぶっているからこそ、ロッシさんの戦法が通じるのだろう。


 だが、それでも自分にはやっぱりアギラと近接で打ち勝つビジョンが見えない。


「でも正直自分の得物とアギラの特大剣はほぼ同じ規格の武器です。体よく特大剣の攻撃をカウンターできたとして、それで生んだ隙に差し挟む素早い攻撃手段が自分にはないですよ。そこはどうすれば……」


 再三に自分は不安を訴える。

 大鎌についてはそれなりに使えるといっても、それはやはり知性にない獣相手や技量の低い者に初見殺し的に通用するだけ。達人相手にそういった初見殺しが通用しないのは先日のロッシさん自身が証明してしまっている。

 やっぱり大鎌って武器は欠陥品なんだろうか……。

 自分の中にそんな卑屈な感情が渦巻く。バロルが『おいおいィ。しっかしろよォ。おめェにはこれしかねェだろうがよ』とたしなめてくるが、どうしても普通の武器が羨ましく思ってしまう。

 死神だからこの武器を使うしかないのが分かっていてもだ。


「……はたしてそうでしょうか?」

「え?」


 だがロッシさんはそんな自分の不安にやんわりと疑問を投げかけた。


「私は正直大鎌に関しては門外漢かもしれませんが、それでもその武器で追撃をかけることは不可能ではないと思いますよ? そうエリューちゃんは大鎌が大鎌であることに囚われすぎているんじゃないですか?」

「え?」


 ロッシさんの指摘は自分にとって寝耳に水だった。

 どういうこと……? 自分はその先を聞くのが少し怖くなった。

 だって内容如何によってはこれまで磨き上げてきた自分の大鎌術がまったくの的外れであるかもしれないのだ。

 自分は三角座りをしたまま、膝に顔を埋め、上目がちにロッシさんの次の言葉を待った。


「大鎌を構成するのはそのおっきな刃だけじゃないんだ。例えばその湾曲した刃の背や根本は打撃に使うことができるだろう? 大鎌を逆向きにもって叩きつければちょっとした大槌のように扱うこともできる。それに大鎌も刃の先は尖っているんだから、ちょうど戦嘴(ウォーピックのような運用もできる、色々とやってみるといいんじゃないかな。ぶっつけ本番ではあんまり踏み切れないかもしれないけど、練習でなら何をしてもいいんだしさ」


 ロッシさんの指摘は大鎌の使い方にもっと多様性を持たせてみるといいんじゃないか。ということ。

 そしてそれは自分がしばしば試みてきたことでもあった。

 オリヴィエさんと戦ったときに、氷の壁を大鎌の後頭部で砕いたり。

 アギラとの戦いの最中では、ブラフを重ねて大鎌を支柱にドロップキックをかましたり。

 その模索を突き詰めてみればいいってことだろうか……?

 そうして自分が当惑している内に少し離れたところにいたロッシさんがザッと自分の目の前に立っていた。


「例えばですね……ちょっとその大鎌お貸しいただけますか?」


 ロッシさんは唐突に大鎌を貸してくれと頼んでくる。

 お手本を見せてくれるのだろうか?

 ロッシさんに言われるがまま、自分は大鎌を渡した。

 受け取ったときに、かなり偏った重心のためかよろけていたけれど、柄をしっかりと持って三度ほど振るうと感覚を掴んだようだ。バロルも『ほォ? 筋がいいな』と感心しているようだった。そしてこちらに向き直って。


「一応槍術も多少は使えるので、僭越せんえつながら」


 ロッシさんは大鎌の柄を脇に挟むようにして構える。


 ふぅとひとつ呼吸を整えると、大鎌の刃がぐいっ持ち上がった。ロッシさんは大鎌を一気に振り落とし、刃の背の方をダンッと地面に押し付け、まるで棒高跳びをするかのように、体を持ち上げる。

 そして空中で体を捻りながらシュッシュッと二連蹴りを繰り出し、着地、更に捻った体を戻す勢いで大鎌を槍のようにというか槍そのものの動きで、前方へ突き出し、一歩踏み込みながら今度は刃の内側へ巻き込むような薙ぎ払いをし、ぐっと後退。

 きれいに元の構えに戻った。


 おおーすごいー。なんか様になってるー。


「ただ振り回すだけじゃあ、見切られて終いかもしれない。それだけじゃあエリューちゃんが懸念しているように武器の形状から見た目よりも攻撃範囲が狭く、小回りのきかない武器になっちゃうのは確かだ。もちろん魔法なんかを加味すれば十分それで戦えると思うけど、戦いそのものに慣れた人間相手に大鎌の奇抜性だけで戦うのは不安が残る。だからエリューちゃんはもっともっと高度な大鎌遣いを修めるべきなのかもね。大鎌の形状を活かした。ある種面白い戦法をね」

「なるほど……。今度から意識してみます」


 んーと、つまり大鎌はいまんとこ可能性の塊ってことかな。考えてみれば剣だって一生かけてその道を突き詰めていくものだ。

 評価を定めるには自分はまだまだ経験が少ない、己の未熟さを武器のせいにするなんてそれは逃げでしかない。

 死神が大鎌を扱えなくてどうするのだ。

 それにゆーて神器レベルらしいし、捨てたもんじゃないでしょう。

 どーせバロルから離れることなんてできないんだしね。


「はいこれ、返すね。結構重いのによく振り回せるね」

「まぁ……死神ですから」

 

 そうやって自分は折り合いをつけたところで、ロッシさんが大鎌を差し出してくる。

 地面に石突を突き立てるようにして支えられた大鎌を受け取るために、自分はおのずと立ち上がった。

 大鎌を片手で掴んで、もう一方の手で尻をパンパンと払い草を落とす。


「とまぁ講釈を垂れたわけですけども。やはりこういうのは体を動かさないと身につかないものですよね」


 あ、この話の流れはなんか嫌な予感がする。

 自分は無意識の内に後ずさってしまう。


「というわけで戦いましょうか」


 事も無げに言ってくれるんですかねこの人。

 ロッシさんの言葉に自分につい先日植え付けられたトラウマが蘇る。

 無残に首を断たれ殺された経験をしただけに、ロッシさんのその言葉で自分はビクリと体を跳ね上がらせた。きっと自分の顔は今これ以上ないくらい引きつっているんだろう。


「あ、大丈夫ですよ。殺すようなことはありません。それに今回から私は《ヴォロス王国騎士剣術》と《ラグラン流剛断剣》のみで戦います」


 う、うーん。大丈夫かなぁ。いや、でもむしろいい勝負になるかも?

 自分は不安になりつつも、剣術二つだけならむしろいけるのではと思ってしまう。

 ロッシさんが用いる剣術に縛りを設けたのはアギラの対策のためということだろう。


「目的はこの二つの剣術に慣れること、そして同時に大鎌の習熟度をより高い次元に持っていくことです。それを念頭に置いた上で魔法使用などは適宜判断してくださいね。そう、オリヴィエさんやユークさんからご教授いただいた魔法も私に試していただいて構いません。思いついたこと、やりたいことを好きなだけやって、自分の戦闘を磨き上げてください」


 やっぱり実戦が一番、か。

 それなら昨日の自分と今日の自分は一味違う。自分はオリヴィエさんから詠唱についてご教授をいただいて、色々と試してみたい複合魔法がごまんとあるのだ。

 さっきの大鎌運用についてのアドバイスも意識して、やっていきましょう。


「……はい。頑張ります。お手柔らかにお願いしますよ?」

「それこそエリューちゃんの頑張り次第、だね」

「う……なるだけ頑張ります」


 自分は大鎌を構え。覚悟を決めてロッシさんへと躍りかかる。

 朝のクームに甲高い金属音が断続的に鳴り響く。

 

 

 

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