1話
ある朝の日にふと散歩に出かけたくなった。
その日は朝から曇っていてあまり家にいたくなかった。家にいるとたくさんの人の声が聞こえてくるようだったからだ。
「出かけるとするか……」
白のシャツに黒のコート、黒のジンズ、黒の革靴を履きサングラスをかける。周りの人間はまるで葬式に行くような恰好をしているからやめたほうがいいと言ってくるがそんなこと関係ない。だって気に入っているものを赤の他人に否定されるのは自分を否定されているようで嫌いだ。
嫌いと言えば最近は重い道理に行き過ぎている世の中が飽き飽きしてきている。どんな人も歯ごたえがなくなってきていて面白くない。まるでそこに生きているのに生きていないように感じることが多い。いや、それよりひどいかもしれない……
人間は記憶の中で生きているといったのは誰だったろう?自分にとってはばかばかしくてたまらない言葉だと思う。だって記憶に残ったとしてもその記憶を残している人間はいつかは死んでしまうというのに
「記憶に残ることが生きる証なんて馬鹿馬鹿しくて笑えて来る」
公園に着くとそこにベンチがあったから座ることにした。その日はいつも賑やかな公園も静かで鳥の声すらも聞こえてこなかった。そんな公園が居心地良くうっかり眠ってしまいそうだった。
「考え事をするために出てきたのに眠ってはだめだな」
独り言を言いながら最近忙しくいいことがなかったなといろいろと思い出してみることにした。
自分はある面での会社を経営している。そのある面とは、ヤクザまではいかなくとも人間界でいう裏の世界でのお仕事が多い。だから危ないのは日常茶飯事だしやっていることは人が常識と思っていることとはかけ離れていることなんだとわかっている。しかし、自分には表の人たちと常識を演じるのは高校生卒業と同時にやめることにした。
高校を卒業して大学は人脈を作るために通い、会社も立ち上げることにした。会社を始めるときは何を中心としてやっていくのかわからなかったがそんな時に裏の世界について知ることになった。それに興味を持った自分はその世界へ足を踏み入れることにした。
裏の世界は今までの世界と真逆と言っていいほど残酷で恐ろしくそして美しい学んだと知ることができた。そして裏の世界に共感することが多いことにも気が付き、その世界へとのめり込んでいった。
それから大学も卒業し今では立派な裏の世界の支配者な一人になっている。会社を立ときは何もかもうまくいかなくてそれが楽しくて仕方なかったというのに成長すればするほどその楽しみがなくなっていくことに寂しさや苛立ちを感じてしまっている。そんな世界にも自分自身も嫌いになりかけていていやになっている。
「すっきりしないなぁ~」
とそんなことを考えているとある二人の男がが声をかけてきた。
「すいません、少し聞きたいことがあるんですけどいいですか。」
「ここら辺は道がややこしくて行けねー」
最初に声をかけてきたのはメガネの優男みたいな男でそのあとに話したのはガラの悪い男だった。
「どこです?」
「ここなんですけど」
と優男のほうがそう言って地図を見せてきた。そこは自分が経営している会社の一つで少しやばい依頼なんかを受け持ったりしている。そこに行きたいということは裏の人間だと断言してもいいことだし依頼もろくなもんじゃない。久しぶりに自分が依頼を受けてストレスでも解消してみるか。
「そこまで行くのもいいですけど、社長がここにいるんですし今回は特別に私が依頼を引き受けましょう」
そう笑顔で言うと二人の男の目が鋭くなり裏の人らしい顔を見せた。
「おい、お前があの裏で有名な【IMAGIN】の社長だと?」
とガラの悪い男が聞いてきてその後ろで優男は何か考えているようだった。そして優男のほうが口をひらいた。
「では、喫茶店にでも入って依頼の内容の確認をお願いします」
「ええ、そうしましょうか」
そして公園を出て、自分がよく行く喫茶店に行くことにした。その喫茶店は普段からよく依頼人さんとの待ち合わせすることが多いため金を払ってうちの会社の会社員が使用するときはある区画を貸し切りにしてもらっている。聞かれたくないことが多いためお金を払ってそういった場所を会社の近くに3か所は用意している。




