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リインカネーション  作者: 岐塔
学院生編
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48. 校外実習 ~ 二日目 ~



夜が明ける前に、アルフは目を覚ました。

まだ暗いうちから目を覚ますのは、アルフには常のことだ。

テントの中で身を起こし、目を半分伏せ坐禅を組み、精神を集中させる。三人分の寝息をバックに、アルフはへその少し下――丹田に意識を向け、魔力をゆっくりと動かし、全身をめぐらせる。

少しして体の芯が温まったように感じると、魔力を動かす速さをあげる。

体内をめぐっていた魔力は、やがて体外へ滲み出し、アルフはさらにその魔力を身体の表面を覆うようにコントロールする。

一メルほどその状態を維持し、テントの外が少しずつ明るくなってくる頃。最後に肺の中の空気を全て吐き出すように長い息を吐いて、伏せていた目をあげる。


毎朝行っている日課を終え、アルフは立ち上がってテントの外に出た。

そこでは、ティルが一人鍋の様子を見ていた。


「お、おはようアルフ。早いな」

『おはよう。いつもこれくらい』


誰かがテントから出てきたのに気付いたティルが、少し驚いた様子で振り返る。

アルフは挨拶を返し、鍋を覗き込む。


『いいにおい』

「おう、昼を楽しみにしてろ」


機嫌良く言って、鍋をかき混ぜるティル。

一晩中燃やし続けたので、残り少なくなった薪を補充しに行ったアルフがテントまで戻ったときには、他の三人も既に起きていた。

火の番として起きていたティルはともかくアルフよりもずいぶん遅いが、それでも一般的には早起きになる時間帯だ。

周囲のテントの様子を見ても、活動しているところはほとんどない。


「……早いな、アルフレッド」

「おはよう、アルフ」

「…………おはよう」

『おはよう』


抱えていた薪を下ろして、アルフも挨拶を返す。

時刻は、ようやく夜が明けた、といった頃。

アルフはチラリとノールに視線を向ける。

眠そうではあるが、まだ無理やり起こす必要のある時間ではないので、自分で起きたのだろう。

ノールの中の魔力を視る為に目(・)を変えると、昨日よりも随分魔力量が多い。

おや、と思ってもっとじっくり視ると、それはどうやら先ほどアルフがテント内に残した魔力であるようだった。


(ふむ。自身の回復量は低いが、代わりに周囲の魔力を無意識に取り込んでるみたいだな)


それと気付いて注視すれば、確かにノールに吸い込まれていく空気中を漂う魔力。


(てことは、魔力総量以上に回復する人の側にいれば――いや、常に一緒にいられるわけじゃないし、それじゃあんまりにも他力本願すぎるか。じゃあ、取り込む量をより増やせばいいか……?)


アルフが考えていると、ティルの前に火の番をしていたマリウスが、そのときにあったことを話し出した。



「いや、火の番立てて正解だったな。俺が番をしてるときに、先生たちがテントに突撃しだしてな」

「突撃?」

「端のテントから順番に、わざわざ消音の結界張ってから、テントを襲撃してた」

「うわぁ……」


マリウスの言葉に、ティルが嫌そうな声を上げ、顔を歪めた。

マリウスが火の番をしていた時間帯を考えると、大抵の生徒たちは熟睡していたはずだ。

そこを無理やりたたき起こされ、寝なおして十分に睡眠をとるのは、よほど寝つきのいい者でないと無理だろう。

あえてその時間帯を狙ったのだろう。


「で、このテントに来た先生が、またお前らか、って顔で別のテントに向かった」

「…………」

「…………」

「…………きっと、俺たちがやっている事は、二回目以降の参加者がしていることなんだろうな」


ガードの言葉に、マリウスたちは頷くしかなかった。




----------




「――さて、おはよう諸君。よく眠れたかな?」


拡声の術で全体に届けられる教師の声に、初参加組みからブーイングが起こる。

その顔に浮かぶ疲労は寝不足からか。


「どうやらよく眠れなかった者たちもいるようだが、それは自業自得だよ。確かに、今ここに危険はない。訓練であるから、我々引率組みが交代で見張りをしているからだ。しかし、実際に野営をしていて、見張りの一人も立てずに眠っていたら、どうなるかね?」


その言葉に、ブーイングが止む。

気まずそうに、互いの顔を見合わせる。


「納得していただけたようなので、続けよう。寝不足などという甘えは通じないのでそのつもりで。――本日の課題を発表しよう。やってもらうことは単純、こちらの指定する物を集めてもらう。それだけだ。全て集めろとは言わないので、無理のない範囲で収集してくれ。リストは既に、各自のテントの中に置いて来ている」


(……きっと、突撃を仕掛けたときに放り込んだんだな。ん、じゃあウチの班は……?)


自然と、四人の視線がその時間に起きていたマリウスに集まる。

一斉に視線を向けられ、マリウスは慌てて知らないと首を横に振る。


「心当たりのない班は、解散後にこちらまで取りに来るように。――――では、これで解散とする」


告げられた解散の声と同時に、参加二回目以降の生徒たちが動き出し、教師の元へ向かう。

なるほど、と得心がいって、全員で顔を見合わせた後、あのときに起きていたのは自分だから、とマリウスがリストを取りに行った。


一メル=一時間

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