↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リインカネーション  作者: 岐塔
学院生編
46/64

44. 校外実習 ~ 相談 ~



全員が食事を終えた頃を見計らって、教師が言った。


「持ってきた食糧はこれで全てだ。今夜から帰還まで、食糧の調達は各自で行うように。――まあ、どうしても食糧を確保できない場合は我々の方で入手したものを分けるが、その場合評価に影響が出るからそのつもりで」


ざわり、と少し騒がしくなるのは、アルフたちとガードと同期の生徒たちの間。

よくよく見ると、チームわけには偏りがあった。

四年次、五年次で組んだチームと、それ以上の学年で組んだチームとなっている。

つまり、前回の校外実習を経験したものと、していないものとを分けているのだ。

そういうことは先に言ってくれ、それなら弁当少し残しておいたのに、という未経験組みに対し、経験済みの組は静かなものだ。

教師がこの件を先に言うことはないだろう。食べ終わるのを待って言うのだから、それは食糧を残させないことが目的だ。


「必要な道具も各自で調達すること。まあ、武器くらいはこちらで用意している。これの貸し出しも減点対象だが、食糧の譲渡よりは減点は少ない」


明日の朝七時に明日の予定を発表するので、今日の残り時間は各自自由に行動していい、と締めくくった。

さて、どうしたものかとアルフは考える。

はっきり言って、アルフの亜空間倉庫には何でもある。

食糧も、武器も、テントだって。

亜空間倉庫の中身を使えば、このキャンプで何一つ不自由することはないだろう。

しかしそれでは、このキャンプの趣旨に反する。


「武器か……」

「一応なくはないですが、護身用みたいなものですね」

「俺も護身用」

「……俺は、詠唱補助の指輪つけてるから、問題ない」


上から、ガード、マリウス、ティル、ノール。

アルフの班員は、護身用のものしか身に付けてこなかったようだ。

ノールの言った詠唱補助の指輪とは、その名に詠唱と入っているが無詠唱にも適応される、つまり魔力の導きを補助する魔石をはめた指輪のことだ。

大抵の魔術師はこの詠唱補助の魔石と、術増幅の魔石を身に付けている。他には、範囲拡大の魔石もある。


そして四人の視線がアルフに向けられる。


「…………」


その視線を受けて、アルフは自分の装備を思い出して文字を綴る。


『身に付けてるのは、護身用だけど』

「けど?」


『なんでもあるよ?』


「……」

「……ああ、亜空間倉庫か」

「あれどうなの?」

「……使っていいの?」


四人それぞれの反応。


「まあ、訊いてみるしかあるまい」


ガードの言葉に、マリウスが近くにいた教師を呼ぶ。


「どうした」

「あの、亜空間倉庫の中身って、使っていいんですか?」

「いや、中身って言うか、もちろん食糧がダメなのはわかってます。ただ、中の武器は使っていいんですか?」


マリウスの言葉を、ティルが補足する。


「む、亜空間倉庫か……そうだな、どの程度のものが入ってるんだ?」

(どの程度。う~ん)


教師の質問に、アルフは考え込む。

はっきり言って、なまくらは一つもない。すべて一級品。むしろ伝説級。

リオンがアルフにしょぼい物を渡すはずがないのだ。

悩んだアルフは、リストの中から一番質の低いものを選んで取り出してみた。


『これが最低ラインです』


アルフが取り出した一振りの剣を受け取り、鞘から引き出して目を見張る教師。


「これは……いや、これは駄目だ。亜空間倉庫も実力の内と見るが、流石にここまでの武器を出されると、困る。……そうだな、武器の貸し出しによる減点を無しとするから、そちらを使って欲しい」

(やっぱりダメか……。だろうとは思ったけど)

『解りました』


アルフが頷くと、教師はアルフに剣を返して立ち去った。


「どうする、アルフ。借りてくるか?」


マリウスに訊かれて、アルフは首を横に振った。


「え、まさか素手でやる気か?」


驚くティルに、まさかとアルフは首を横に振る。まあ、出来ないわけではないが。


『つくる』

「え?」

「は?」

『身に付けてたこれは使っていいんだよね。だったら、森で材料探して作るよ』


腰に下げていた短剣を見せるアルフに、四人は呆気にとられた顔をする。


『三人、ティルはいらないか?二人の分も作るから、借りなくていいよ。木製になるけど、ちょっと工夫すれば借りる武器にも負けないよ』


「……ああ」

「うん」

「アルフだもんな」

「だね」


アルフだから、という言葉だけで全ての理不尽をねじ伏せ、ガードたちは自分を納得させた。




その後、アルフと共に森の浅いところでいくつかの木材を拾い、小ぶりだが硬い石を拾い、蜘蛛の巣から糸をとった。

蜘蛛の巣を見つけたアルフが嬉々としてその採取を始めたのを見た四人は何をするのかと思った。

蜘蛛の巣から糸をとるなど、その蜘蛛が魔物でないとありえないはずだ。

しかしアルフは指先に魔力を纏うことで触れた蜘蛛の糸を強化し、採取していった。


テントに戻り、アルフはあっという間に剣を二本と弓、矢を作った。

どうやらガードとマリウスに剣を使わせ、アルフ自身は弓を使うようだ。

準備が終わったところで、五人は森に狩りに行くことにした。

これから獲物を狩り、調理する時間を考えれば、丁度いい時間だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。