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第142話 天上の教皇国②

 パディスの帝王から現実攻略本リアルペディアを借りたヒロ達は、元の仮設小屋へと戻ってきていた。

 そこにはエリーゼやミライ、ウォルターもおり、まるでプロキアの作戦本部といった様相だ。


「行き方、わかったんでしょ?」


「まあ、わかったっちゃわかったんだけど……」


 帰り道でアルテンスへの行き方を確認していたヒロとサリエラは、なにやら言葉に詰まっている様子を見せている。


(どう説明するよ、これ)


(言ってみるしかないだろ)


 意を決したサリエラが、あまり芯の通っていないような声を漏らす。


「アルテンス教皇国は。アルテンシアやジアースとは、別の世界にある」


「なに言ってんの?」


「大丈夫? 教会行く?」


「いやマジなんだって!!」


 咄嗟にヒロがフォローを入れる。


「正確には、アルテンシアを管理している高次の世界だってさ。どうやらアルテンシアとは別の世界も管理しているらしくて、行き方は……ほら」


 そのまま現実攻略本を机に広げてみせた。


「ち、地底?」


「天上国とは?」


 エリーゼ達は理解に窮していたようだが、ヒロは予め教皇国の情報をグレイに聞いていた。


(私は国家間の会合で数十とアルテンスへ参ったことがあるが、道順は知らない。専用のペガムポスが引く車に乗せられていた故)


(まるでヒノワ皇国の竜宮城みたいですね)


(あれも、アルテンスの手法を真似たのだろう)


 各国の宮殿へ参った経験があったためすぐに飲み込めたが、ミライ達は別だ。


「ペガムポスに引かせるということは、相当険しい道であろうな。生身で行けるとは思えん」


「だよなぁ……しかも、着いていたときにはアルテンシア滅んでましたー、ってのも洒落にならないしなぁ」


「無間階段を千回下り、深層火山の火口を突っ切って、裏宇宙回廊? ってところを丸十日ほど歩いた先にある次元間ゲートへ飛び込む……なにこれ」


「我に言われても一つも知らぬぞ」


「ワタシも」


「アタシもよ」


 まるで呪文のような道順を目にしたためか、仮設小屋の空気が疑問で満たされてゆくが。


「ただこれは、アイツを除いた場合だ」


「シノハラか」


「あ、うん」


「アンタがそう言う時点で候補一人なのよね」


 微妙な空気を変えるべく、サリエラが咳払いをする。


「ま、まあ。ペガムポスは一ヶ月ほど訓練させる必要があるが、奴が道順を命令すればアッサリ連れてってくれるはずだ」


「既にシゲシゲ皇子に運車の話はつけてあるから、あとはシノハラ次第ってとこだ」


「頼らざるを得ない……か」


「ま、まあ話は俺がつけてくるよ。文句は考えてあるし」


 渋るウォルター達を諭すように、ヒロは宿敵への説得を買って出る。

 キョウヤの居場所には心当たりがあった。そのままマオと共に避難所から少し離れた高台の上へと直行すると、二人分のハンモックと焚き火が備え付けられていた。


「やっと起きたのか」


「お前が早いだけだろ」


「テメェとは意識が違ェんだよ」


「そっか」


 キョウヤは顔に虚無を浮かべ、来客の方も向かず適当を返す。

 まるでこの世全てに退屈しているかのように。


「そんなシノハラに話がある」


「オレには無ェよ。さっさと失せ」


「神を倒すのに興味はないか?」


「興味しか無ェな」


 振り向いた肉食獣の笑みには覇気が宿っていた。


「この世界がどうなろうと知ったことじゃねェがな。指先一つで滅ぼせる、なんて驕りたかぶってる奴は気に入らねェ」


「だろうな。ぶっ倒してやろうぜ」


「オレ一人で十分だ」


「一人じゃないだろ」


 少年が後ろを親指で指す方には、木陰で見守るゴスロリの姿。


「……そうだったな」


 それを見たキョウヤはバツが悪そうに、後頭部をボリボリと掻いていた。

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