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異世界で時代劇やってます  作者: ぽぷねこ
33/43

11-2

 ♢♢♢11-2

 翌朝僕たちは出立した。

 チカヤマさんが見送りに来て、この先の山道で盗賊が出るから気おつけるようにと、ご丁寧にフラグを立ててくれた。

 で、こうなるわけだ。

「おうおうおう旦那さん方、金目の物置いて来な」ゾロゾロ10人くらい出てきて、その中の一人がごろ巻いた。

「兄貴、いい女いますぜ」と、一人が兄貴に耳打ちした。

「おう、そっちの女4人は置いてきな。可愛がってやるからよ」周りから下卑た笑いが起きる。

「4人?」アカトが不思議そうな顔をする。

 兄貴が、カクさんを指差し「あっちは要らないぜ。おれは、男にゃ興味ないんでね」と、笑う。

「兄貴、結構いい顔してますぜ」

 周りからの声を

「お前らどいつもこいつも節穴か、よく見ろや。顔をどんなに綺麗にしていても、あのぺったんこな胸見りゃわかるだろう。ありゃ、脱がせばおめぇよりデカイイチモツ持ってるぜ」下卑た笑いが兄貴から漏れた。

 プチンと何か切れた音が後方から、振り向くとカクさんが、表現できないほど凄い顔になっている。

 地雷踏んじゃったよ。僕知らないよ。どうか彼らに安らかな眠りを……。

 カクさん、兄貴のところへ行き、ニタニタしている連中の目の前で、兄貴の股間をおもいっきり蹴り入れた。

 兄貴が魂の抜けたような表情で倒れこむ。そこへ追い討ち、2発3発。白目向いて口から泡を噴く。

 慌てて助けに来た奴らも同じ目にあう。

 これはやばい、そう思ったのだろう後方の方へ助けの声を上げる。

「おかしら~、おカマが暴れて手に負えねー」その途端、当人も2メートルほど上空へ飛び落下、みんなと同じ末路となる。

「なによう~、私に対してのあてつけー」

 現れたのはタイポイよりデカイ男で、ただならぬ気配を持っていた。そのことはカクさんも感じたのだろう、様子を見るようにして距離をとった。

「あ~ら、かわいいおかまさんだこと」その挑発にもカクさんは動かない。

 うん?、タイポイの様子がおかしい。何故か、僕の後ろに隠れている。当然隠れられるわけもなく

「あら~、タイポイじゃない~」僕の後方に視線が向けられる。

「ひ、人違いです」タイポイが震えている。

「私に会いにきてくれたの~、うれしいわ~」毛むけじゃらで、なよなよしている。まるで熊のオカマだ、気持ち悪い。

「だがら違うと言っているだろう。人の話を聞けー」タイポイが壊れた。

「そうお、ざんねんね~。で、どっちよ、そこのハンサムな方それともそのちっこい方」

「何言ってるんだ」

「決まっているでしょう。あんたの彼氏よ、か・れ・し」と、(^_-)-☆。

 うへー、みんながタイポイを変な目で見る。

「違うからな、俺そういうんじゃないからな」タイポイが焦って言い訳するほど、みんなはドン引きしていく。

「ねえ、私はグリズグマ・ベアっていうのよろしくね」

 相手の挨拶にジェットキが「俺はジェットキ」と、自己紹介する。

「あら、ハンサムさんはジェットキというのね」と、(^_−)−☆。

 ジェットキが身体のあっちこっち掻きながら、助けてと目で訴えている。

「で、こちらは水戸ミト 赤門アカトだ」と、タイポイが言う。

「なに!」急にグリズグマの声に変化が現れ、鋭くなる。

「ミト アカトだ」と、変化を感じ取ったアカトは、自ら名乗る。

「てめー、コウル・マイン・キング様を知っているか」声がさらに鋭くなり、殺気まで含まれていた。

「ああ、知っている」アカトは、冷静に感情を殺した物の言い方をした。

 グリズグマの殺気が頂点に達し、アカトを襲いかかる。

「てめーが、キング様を殺したのか!」巨漢を思わせぬ動きだ。

 アカトは襲いかかる斧を右手の人差し指一本で受ける。

 予想外の事に動きが止まるグリズグマであったが、慌てて距離をとる。

 更に動きが鋭くなり、叫びながらアカトを襲う

「何故殺した。卑怯者」

 無数と思われるほどの斧がアカトを襲うが、右手一本だけで全て受け止める。

 一旦距離を取るグリズグマが、悔しさに流れる涙を拭きもせず、叫ぶ。

「何故届かぬ。こんな卑怯者に、何故だ、何故届かぬ」

「コウルは、貴様の何だ」アカトは何も無かったような口ぶりだ。

「卑怯者が、気安くその名を呼ぶな」グリズグマはまた襲いかかった。

 だが、一匹のアリが象に襲いかかるほどに惨めな結果となった。

 自分の無力さに嘆くグリズグマに、アカトは言った。

「悔しいか、俺はもっと悔しい」嗚咽が混じる。

「コウルは俺の友だ。俺の友が戦っていると言うのに、ここにいる俺の気持ちがお前にわかるか。今すぐにでも駆けつけたい。それが出来ない俺の気持ちがお前にわかるか。友を助けることができるなら、僕はこの命をくれてもいい」アカトは一気に感情を吐き出した。目にも止めどない涙が溢れていた。


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