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アラガタ領に無事到着。いや、若干1名ゾンビ化しているのがいるな。
イケさんカガミちゃんとはここでお別れだ。
ジェットキも約束だから一様お礼言っとこう。
ジェットキが頭を指し「これ?」と、聞いてきたから
「プレゼントだ、いらなきゃ捨てていいよ」と、言うと、にやっと笑って、隷属のリングをポイっと捨てた。
あれって、勝手にはずせたっけ?みんなが唖然とした顔で見ていた。
「いつから気がついていたんだい?」
「はじめからだ」
「へー」と、僕の顔を見る。
「石が当たっただけで、都合良く近くに落ちるわけ無いだろう。それに、僕たちが来るまでの時間測っていただろう」
「君ってやっぱ面白いな」どうして時間測ってると思った。
「あのなあ、普通怒っていたら、そちらから出向いてくるのじゃないか。ノーダメージでそこにじっとしてたということは、こちらが来るのを待っていたと考えるのが自然じゃないの」
「うん、いいね」ジェットキがキラキラした目でこちらを見た。
「で、これからどうするんだい」興味津々で聞いてきた。
「カースグランドへ行く」
それを聞いたビリーとナミ以外のみんなは、複雑な表情でこちらを見た。
「やっぱ面白いや、俺もついて行っていいか?」
「拒む理由は無いな。便利だしね」僕がにやついた顔をジェットキに向ける。
「理由でもあるの」と、ジェットキが尋ねた。
僕は遥か先を眺めながら「ああ、ちょっとした旧友にね……」そのあとは自分の心に語りかけた。
ーー帰って来た、帰って来たぞ。もうすぐだ、もうすぐだ……、みんな、あと少し待っていてくれ……。
僕のところへカガミちゃんがテクテク歩いて来た。白い髪に青と緑の瞳が映えてとても可愛い。あと4、5年経てば凄い美人になるだろうな、と見ていたら「ロリコン」と、カクさん一言。お前が言うなその格好で。今度はイケさんが、胸をユッサユッサ揺らしながらかけて来た。
「この変態」だからお前言うな、自分の服装よく見てみろ、白装束に天冠の格好だぞ、声には出さないが……。
カガミちゃんとイケさんがぺこりとお辞儀して、別れの挨拶をした。僕も返すと、イケさんはオギンさんのところへ行ってから、もう一度みんなに挨拶をして、カガミちゃんと一緒に去って行った。
僕が一言「約束、忘れるなよ」と、叫ぶと、イケさんが振り向きぺこりとお辞儀した。
タイポイが「約束って、なんだい?」と、見下ろしてくる。
「それは、後のお楽しみ」と、僕は見上げた。
「それじゃ、行きますか」僕はみんなに言って、反対方向へ歩き出した。




