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来々軒繁盛記 ~ 寒くなったねぇ。ここで、熱いラーメンを一杯、食べていきなヨ  作者: 白河夜舟
第2章 彼女の熱意、変わっていく親父、旨くなったラーメン

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9/21

9 ごちそうさま。うまかったよ

 おれは、旨かったラーメンの汁はすべて飲み干す派です。

 塩分制限?

 カロリー取りすぎ?

 んなもん、知らん。

 残さず食べきる。それがお店への感謝と礼儀というものです。


 健康には良くないらしいので、マネはしないでね。

 俺はハシを置いた。

 きちんと揃えて、ドンブリの中に割り箸を置く。

 レンゲも重ねて、同じ向きに揃える。

 ドンブリの中は、スープが残っていない。

 ラーメン通なら、ドンブリの底に絵柄がうっすらと見えるようにスープを残すらしいのだが。

 俺は、美味いラーメンは全てスープを飲み干すことにしている。

 何も入っていない、全て平らげきったラーメンの中に割り箸とレンゲを重ねて入れるのは、俺なりの気持ちの表し方である。

 ついでに言えば、ドンブリを持ち上げてスープを飲み干し終わった後の、親父のほっとしたような、そしてそれを悟られまいとそっぽを向いた所も知っていたし。

 れんげちゃんの、心の底から嬉しそうな、パッと輝くような笑顔も見ていた。

 だから、余計なことだとは思うのだが。


「ごちそうさま。うまかったよ」

 古びたレジの前で、会計を済ませる。

 れんげちゃんに、500円玉を直接手渡しながらそう言った。

 嬉しそうな声で「ありがとうございましたっ」という返事が帰って来た。

 人と関わるのが嫌いなはずの俺が、どうしてそんな愛想を言ったのか、よく分からない。

 だけど、店を出た俺に、玄関口で深々とお辞儀をして見送ってくれたれんげちゃんを見ると。

 そんなに人間を嫌いにならなくてもいいかも知れない。

 そう思えて来た。


 腹の中に収まったラーメンが温かく俺を包み込んでくれるので、そう思えるのかも知れないが。



                    (つづく)


 もう、絶滅危惧種のワンコイン・ラーメン。

 当時は、それが当然だったんですけどね。

 今でも、探せはありそうですけどね。

 たまに、あの安っぽい味を、無性に食べたくなります。

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