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来々軒繁盛記 ~ 寒くなったねぇ。ここで、熱いラーメンを一杯、食べていきなヨ  作者: 白河夜舟
第3章 一生懸命な彼女、らしくなってきた親父、全国区クラスのラーメン

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11 熱く温(ヌク)もったラーメンが、俺に力を与え続けていた

 やる気のない親父を見て、同類がいるじゃないかと安心していた彼が。

 彼女の姿を見て、やる気を取り戻す。

 親父がそうやってやる気を取り戻したように。

 彼も、そうやってやる気を取り戻していくのです。

 来々軒繁盛記は、そういうお話です。

 読んでくれた人が元気を取り戻せるような、そういう作品です。

 アパートに帰り、幸福感に満たされたおなかを抱えながら、俺は自分自身の事を思った。

 やる気。

 一生懸命さ。

 手を抜かない事…

 今の自分を思うと、情けなく思う。

 あの親父に出来て、俺に出来ない事があるだろうか。

 心の底では、自分と同じと思っていた、あの親父と。

そして、まだ若い分、自分の方が勝っていると軽蔑すら覚えていた自分。

 俺が通わなければ、来々軒は駄目になると思い込んでいた自分。

 俺がいなくても、立派に立ち直った親父。

 ふと、れんげちゃんの笑顔を思い出す。

 あの笑顔は、決してあきらめない決意を秘めた笑顔だ。

 というより、あきらめると言う事を知らない笑顔だ。

 挫折と無縁だったという訳ではない。

 辛い事を辛いと思わない気持ちが生み出した笑顔だ。

 それが、あのラーメンを親父に造らせているのかも知れない。

 あんな娘がいるなら、親父も頑張れるよな。

 じゃあ、俺はどうすれば…


 俺はその夜、ヒネクレタ留年生の自分を見つめ返していた。

 普段なら、忘れようとして、認めたくなくて、向き合おうとしなかった自分と。

 でも、不思議に悲壮感は無かった。

 冷静に、でも投げ出さずに見つめていた。

 熱く温もったラーメンが、俺に力を与え続けていた。


          ~ ・ ~


 次の日、俺は大学に向かった。

 籍だけは入れているが、学費の関係で「休学届」を昨年出してあったのだ。

 「復学届」を出し、いくつかの基本科目を選択する。

 特にやりたい、学びたいと思う事は今のところ無かった。

 それでも、基本的なカリキュラムを取っておいて、自分の学びたい事を探す事で、少しでも前に進みたかった。

 それが、親父をある意味見下していた俺にとっての再出発であり。

 れんげちゃんに、堂々と笑顔を返せるようになりたいと思う俺の本心だった。

 やる気を取り戻したくなる時に、自分の作品を読み返してみる。

 おれにとって、来々軒繫盛記はそういう作品でもあります。

 ただ、現時点で未完成なんだよなぁ。

 いや、世に出したからには、完結を目指さないとねぇ。

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