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~新世界の英雄譚~  作者: 宇良 やすまさ
第10章

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1012.精霊

 キラは〝雷之力〟を駆使して飛び回り、〝ちびえると〟同様動き回れることを確認した。そのままコルニーたちの頭上に降り立つ。

 残念ながらその表情を読み取ることはできないが、雰囲気からして呆気に取られているのがわかった。


〈三人とも。〝声〟、聞こえる?〉

「え……? へっ……! き、聞こえます……」

〈良かった。どうやら〝魔王〟たちも作戦会議中みたいだからね。この間に、リーウの治療を頼みたいんだよ〉

「は……。はい……」

〈じゃあ、頼むよ。リリィとクロエがいるから、何も気にせず治療に集中して〉

「け、けど……! 元帥は、どうすれば……だって、こんなに怪我が……!」

〈ん? ああ、まあ、大したことないから放っておいても大丈夫だよ。ただ、万が一ってこともあるだろうし、ミリーにはついててほしい。様子がおかしくなったら叩いて起こして。――さ、行動開始〉

 ミリーたち三人は互いに頷き合ってから、素早く動いた。


〈で……。〝魔王〟だけど、リリィが相手した方がいいかも〉

「あら。わたくしですの? あらゆる魔法に対抗するには、クロエが適任のように思いますが……」

〈魔王には〝百門詠唱〟ってのがあってさ。百の多重詠唱を使うんだよ。〝ショート〟で封じてはみたんだけど……もうかかりが弱くなってる〉

「百の……。規格外ですわね」

〈そのうえで力技の〝古代魔法〟もあるから……。手数では付き合わない方がいいかも、ってこと。リリィの〝紅の炎〟、〝魔法周波数〟の理論でかなり火力上がったしさ〉

「なるほど」

〈で、どういうわけか〝再生の神力〟を使うんだ。仕留めるなら徹底的に焼き尽くさないといけないんだよ。……たぶん〉

「――〝再生〟っ?」

〈ね。ほんと厭になる……〉

 色々と聞きたいこともあるだろうが、リリィはどこまでも理性的だった。

 すぐに頭を切り替えて、〝魔王〟を警戒しながら戦略を立てる。


〈クロエ、〝四天王〟なんだけど……。ざっくり説明すると、近接主体が二人、遠距離主体が二人。処理しやすいのは、やっぱグランドかな。パワーとスピードがあるけど、基本身体強化しか使わないから、一発目から封じれば簡単。で……〉

「……? あの。〝四天王〟とはいつ交戦したのです?」

〈え? そりゃあ、〝魔王〟とまとめてだよ。なんてったって五人一緒に現れたんだからさ。まあ、正面切っての一対五ではなかったけど〉

「……はあ。それで?」

〈……? 何か言いたそうだけど、まあいいや。一番面倒なのが〝錯覚系統〟を使うシーラ。僕は〝覇術〟で常時無効化できるけど、クロエはまだ〝波動術〟が使えないから……。僕がサポートにつくよ〉

「お願いします」


〈それと、多分〝四天王〟に加えて、〝バレット・ビット〟が飛んでくると思う。〝古代兵器〟というかなんというか……ともかく、ボールみたいなやつがレーザー撃ってくるんだよ。魔王が使ってたんだけど、リリィの〝紅の炎〟には効き目が薄いだろうから、たぶクロエに回してくるはず〉

「ふむ……。王城でも似たような武器と対峙しました。そちらは〝レーザーサーベル〟……剣でしたが」

〈……! あとで詳しく聞かせて。――二人とも、準備はいいね〉


 魔王陣営も、戦略を定めたようだった。

 しかし、いかに〝魔王〟といえども、王都襲撃は失敗に終わったと考えているに違いない。

 なにしろ、〝元帥〟と〝総隊長補佐〟がこの場に駆けつけたのだ。何か騒動が起きていた王都を離れたと言うことは、それも終息しつつあると思っていい。

 となると、〝魔王〟としてはこの場での戦いに意味はない。本来であれば、最初現れた時のように、〝転移の魔法〟を使って退散すべきところ。

 それができない、あるいは時間がかかるのは、間違いなく〝ショート〟の影響。

 素直に歩いて帰ってくれればとも思うが……。〝魔王〟シャーロットはそんな弱腰ではない。

 この戦いを制した上で、最低限の手柄を持って帰るに違いない。とりわけ、死にかけの〝元帥〟の首は取っておきたいだろう。

 ――とどのつまり。

 完全勝利以外、キラたちには道は残されていない。


〈――クロエ! リーウが治療に入った! 〝四天王〟を引きつけて、戦場を移動してほしい!〉

「無茶を言います……!」

 魔王はリリィに任せて、キラはクロエについた。

 本当ならばエルトのようにピッタリそばについてフォローしたいところだが、ただでさえ死にかけな身には無理な話。

 そういうわけで、戦況を上空から見渡し、かつ、互いに声が届く位置に浮遊する。


〈〝バレット・ビット〟が五機、飛来してる! 威力は高くないけど、熱で貫通してくる――から気をつけて!〉

「何秒後に仕掛けてくるでしょうかっ」

〈――およそ十秒!〉


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