第三話Cの2 黙秘権
『ディンゴォォォォオオオ!!』
「「──えぇぇぇえ!?」」
驚く私とロスタ。オンドレアは、腰に手をやり堂々と冷や汗をかく。
「………………!」
何もできなかった……! 興奮冷めやまない静寂……! 絶望感丸出しの無言……! しかしオンドレアは静寂を最初に破り、威風堂々を崩さず震え声で言った!
「…………かぁ~らぁ~のぉ~?」
──パンパン。
「──うわぁ。面食らっちゃった!」
──アリスちゃん!
アリスちゃんはエプロンドレスを叩きながら姿を現した! 私は思わず白目向いて言ってしまう!
「プ、プヘヘ~……ラック“666”の影響ですかねぇ~……?」
「あらぁ~?」
「クッ……!」
するとロスタの表情が引き締まり魔法を詠唱した!
「ハァァァァァア! アリス! さぁ本気を見せるのだ! 神剣魔法術! 『今私が出来る全てのバフ』──ッッ!」
──ぎゅぅぅぅぅぉぉぉおあああ!
(プフフ……。ずいぶん便利な魔法ですねぇ~?)
アリスちゃんは黄金のオーラに輝き、ロスタは私にまたウィンクをした!
──私とロスタの間に、何故か友情の様なものが芽生えた!
え? なんで!? プフフ……
「ありがとうロスタ博士! 私、ワクワクしてきた!」
『ディンゴォォォォオオオ!!』
お礼を言うアリス。叫ぶカンガルーヘッド。そしてオンドレアはドヤ顔!
「ふふ~ん! な~んて事ありませんわぁ~! さ、アリスちゃん。かる~く捻っておしまい? そのあと私が、あの角、へし折って差し上げますわぁ~!」
──ブオンッブオンッ!
「オ~ホッホッホ!」
そして本番はこれからか……!
【オンドレア一行を追う想一郎一行のディンゴ】
「うっ……これは……!?」
「どうしたのじゃ? ディンゴ」
「あ、今……カンガルーヘッドの声が聞こえた気が……」
「ん? カンガルーヘッド? なんじゃそれは?」
「フッ……いや、なんでもねぇぜ! ──ヒュッ!」
俺は、得意げに鼻先を指で拭って昔を懐かしんだ。想一郎は現場指揮で忙しい。
『『『う~ん……う~ん……』』』
「こいつらは最近冒険者ギルドで噂になっていた“蟻地獄強盗団”かもしれない。しかしこの状況は……。一応ジェンヌ監獄塔に移送してくれ!」
想一郎は部下に指示を出した。
『ハッ! 畏まりました! ──よしお前ら! いいか? お前らには黙秘権がある。供述は法廷でお前らにとって不利な証拠として使われる事があるからな。因みにお前らには弁護士の立ち合いを求める権利があって、自分で弁護士を雇えないなら公選弁護士を付けてもらう権利もあるからな! おらぁ!』
──あれぇ? そんな法律あったっけ?
『ああダメ! そこ触らないで! 今感じやすくなってるから!』
『な~に言ってんだおらぁ!』
──バシッ!
『アッー!』
『変な声出すな、玉無しがぁ!』
──バシッ!
『アッー!』
子曰く、彼を知り、己を知れば百戦危うからず。
(相手を知り、自分を知れば、百回戦っても負けはしない)
ディンゴは言った。
「ラーメンを知り、ラーメン食いたい俺を知れば、確実にラーメン食える」
──もう好きなだけ食えよ。




