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ダンジョン辺境伯爵と公爵令嬢  作者: もやい
第一章
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第三話Bの1 オペレーション婚約破壊

『『『ンーッ! ンーッ!』』』


「ガムテープで口を塞いで、ロープでグルグル巻! よくやったわ! アリスちゃん! オ~ホッホッホ! 悪いけど、今はまだ帰る気になりませんの! そう! アデーレを叩きのめすまでは! なので邪魔者は暫くこうしてて貰いますわよ? オ~ホッホッホ!」


 私達を捜索救助に来た、お節介な雇われ冒険者共を完膚なきまでに“シバキ”倒して拘束(ぐるぐるまき)するアリスちゃん。


「お姉ちゃん、この人、口塞がれてるのに鼻水(ずるずる)詰まってて苦しそう……」

『ンーッ! ンーッ!』

「ん~。アリスちゃん。なら、小さな穴位なら、開けて差し上げても宜しくてよ?」

「わかった」


 ──プス。


『ヒュコー! ヒュコー!』

「おい。本当にこんな事して良いのか? 何かあって彼等はお前を迎えに来たのだろう?」


 がり勉オタクのロスタがそう言う。


「あら~? 何を言っているのかしら? これは害虫共から想一郎様をお守りする為の超極秘任務なのよ! だから味方であってもお邪魔立てするのなら、こうなって当然なのよ! オ~ホッホッホ!」

(んんん~…………)


 ロスタは納得していない様子だけど、エリザベスは言う。


「プフフ! そうねー。“大声で台詞を叫ぶ程”超極秘任務ですねー。まぁしかし、ちょっと時間かかっちゃってるかなー」

(ん~。どうやらアレサに感づかれたわね。急がないと……)

「ちょっと巻いていきましょ! 巻いて! プフフ!」


 エリザベスが釣り竿のリールを巻く仕草をするとロスタが反論する。


「巻いてだと!?」


 ロスタは青筋を立てながらギュンギュンリールを巻いて言う!


「馬鹿な! これだから地上(シャバ)の連中は! 地下ダンジョンは超広大なのだ! 高々1階層であっても、散発的に出会う雑魚モンスターを全て足せば、1個軍団になるほど超広大なのだ! ……あ~つまり、もっと分かりやすく言えば、東京ドーム1万個分位の広さなのだ!」


「「「…………?」」」


「うおっほん! まぁそれより! お前はまったくもって甘く見すぎている! ましてやそのアデーレとか言う令嬢は、長期間篭って居られる程のダンジョンマニアなのだろう? と言うか、ここの領主と婚約中の大事な身柄が何故に危険なダンジョンに篭っておられるのか!? まったく持って意味不明(チンプンカンプン)である!」


(プフフ……たしかに)


「まぁそれはともかく何度も言うが、そもそもそんな奴、こんな浅い階層に居る訳がないだろう! 何故にさっさと下へ潜らないのだ!? まったく謎である!」


 エリザベスはキレるロスタに面倒くさそうに対処する。


「──はいはーい。ごめ↑ん↓ね、ごめ↑ん↓ね↑ー。まだ1階層も終わってないよねー」

(あ、今のイントネーションなんだろう? 栃木弁かな?)


「普通に考えたら多分アデーレは4、5階層当りに居そうねー。プフフ! でも、まぁまぁそう怒らずに、さっき拾ったこの石をロスタにあげるからさー」


 エリザベスはロスタに何か石ころを差し出した。


「──こ、これは!」


(アズライトの魔鉱石!? こんな階層で出土するのか!? そんな馬鹿な! 色合いから極上品とは言えないにしても、これは確実に上級品! すごい! 凄い魔力だ! ふわぁぁぁぁぁ~! なんて美しい!)


「あらあらぁ~? そんな道端で拾った石ころに、何目を輝かせているのかしら。まったく、それがもし想一郎様の贈り物でしたら100億倍の価値もあるかも知れませんけれど──」


(100億倍って……プフフ)


「──でなければただの石ころですわ~? まったく高級感が足りませんの。それにアデーレのビッチの件も見通しが甘いですわよ? あんなのはどうせケチな貧乏公爵の令嬢ですわ? ほぼ間違いなく1階層程度の自慢話でドヤ顔してるに決まってますわぁ~!」


 ──ブンブンッ!


「──アデーレ潰すっ! オ~ホッホッホ!」

(んんん~…………)


 ロスタは不服そうに私を見る。


「なによ?」


 するとエリザベスが気を利かせたのか、


「ま、最初はダンジョンに慣れる必要があったしー、これはこれで上々じゃなーい? あとは、ロスタの作る魔法の飯にいつ飽きるかが問題ねープフフ!」


「──文句があるなら餓死すればよい!」


(※上級魔法で作る飯『フードレプリケイションシェフ』には1つ星から5つ星まである。彼女のは二つ星である。下級魔法の場合、家庭の味、コンビニ弁当、病院飯、獄中飯、便所飯等多岐に渡る程奥の深い非常に高度な魔法術である)


「ねぇねぇ! ロスタさん! こっちにもそれと似た様なのが落ちてるよ!」


 するとアリスちゃんがチョコチョコ可愛らしく屈んで新たに石ころを拾った。


「な、なに!? ちょっと見せよ!」(モンモン)


 そしてワクワクが止まらないロスタ。


「ん」

「こ、これは! ペリドットではないか!」

「ねぇねぇこっちにも! あ! あそこにも!」

「な! なんだとっ!? これは一体どういう!?」


 興奮した様子で二人は次々と石ころを拾い、ドンドン奥へと行ってしまう。


「はぁ~。まったく子供ね。理解不能ですわぁ~……?」


 するとエリザベスも片眉を上げて私と同様、冷笑的な眼差し。あらぁ? 田舎エルフでも本物の宝石の価値が分かるのかしら?


(ん~おかしい……。あれはまるで“()()”だ。もしかして誘導されている……? だとすれば、これは“釣り”? ──あっ!)


 すると急に二人を追って駆け出すエリザベス!


「ちょっと待って二人ともー! その石の先には“釣り針”がー!」

「え!? あ! ちょっと待ちなさいよ!」


 エリザベスを追いかける私!


「何なのよ! もう!」


 スカートとジョークは短ければ短いほど良い。

 ──ただし、要点はカバーされていなけれならない。


「とか誰かが言っていたが、釣りは忍耐だ……きっと良いことが……」

 ──ぽちゃん。

「あ~……またバレたよもう……。しかし忍耐忍耐。──よっ!」

 ──シュッ!

「──キャァー!」

「え? ──あ! 短いスカートがめくれ上がって……!」

「こ~の~っ!」

 ──バチコーン!


(こ、これはデカい獲物が釣れたっ!)


 ──ボッチャーン!



 作者コメント:

 スマホで読み返してみると最近セリフ長くて読みづらいですね……申し訳ないです。

 僅かな改善ですが、ちょっとだけ区切ってみました。

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