↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平和の害獣駆除屋  作者: わしお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/12

プロローグ - パンよりも必要なもの

「パンをめぐんでください」


 地味な、しかし仕立てのいいシャツを着た男に、少年は両手をそろえて差し出す。ボサボサの髪も、布切れのような薄汚れた服も、木の枝のような手足も、それが少年の日常であることを物語っている。

 男はただ少年をじっと見つめる。優しげに見える垂れ目は、よく見ると今日の空のようにどんよりと曇っている。


「パンをめぐんでください」


 少年は同じ言葉を繰り返す。きっと男はパンをくれない……そう、心のどこかで思いながら。


「……パンが欲しいの?」


 男が少年の前に膝をつく。ゴミ虫を見るような目で去っていくという、少年の予想は外れた。


「はい」


 少年ははっきりと答える。次に待っているのはパンか硬貨か、もしくは拳か。

 しかし、また予想が外れる。男は肩をすくめ、少年の前に両手を広げる。


「あいにくパンは持っていないんだ。ごめんね」

「そう、ですか。ありがとうございます」


 少年はその場を去ろうとする。駄目ならすぐに次を探すのが、この世界で生きるコツだ。

 しかし背を向ける前に男に呼び止められる。


「ああ、待って。パンはないけど……パンよりも必要なものならあげられるよ」


 少年は大きく目を見開く。今日を生きるためのパンより必要なものなど、少年は知らない。


 男は少年に手を差し伸べる。他の大人とは違う、哀れみでも嫌悪でもない笑みをたたえて。


「仕事をあげよう。私と一緒に、この国を……平和を守ってくれないかい?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。