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極道令嬢、異世界で華麗に仁義を通す 〜うさぎ公爵令嬢の裏社会マナー  作者: 春夜夢


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20/20

第20話:花嫁行列と、最強の仁義なきハッピーエンド

王都ローゼンバーグに初夏の爽やかな風が吹き抜ける季節。

ローゼンバーグ家の広大な庭園は、色鮮やかな花々と白いリボンで美しく飾られ、王国中の貴族や騎士たちが祝福に駆けつけていた。


今日は、アステリア家の騎士団長セドリックと、ローゼンバーグ家の若き令嬢エレノアの結婚式だ。


「……おい、ベールが少しずれてるぜ」


控室の大きな鏡の前で、俺――エレノアは長くて白いウェディングドレスに身を包んでいた。慣れないフリルや繊細なレースに囲まれながらも、俺の表情には一切の緊張がない。


専属の侍女が涙ぐみながらベールを直してくれる。


「エレノア様、本当に綺麗です……!」


「ああ、ありがとうな。看板に泥は塗らねぇよ」


そこへ、正装したセドリックが入ってきた。

純白のタキシードに身を包んだ彼の精悍な姿は、いつもの厳しい騎士団長とは違い、どこか甘やかで温かい色気を放っている。灰色の瞳が私を見つめた瞬間、彼もまた息を呑むように立ち止まった。


「……エレノア。とても、言葉では言い表せないほど綺麗だ」


「あんたも悪くねぇよ、セドリック。その服、なかなか筋が通ってるじゃねぇか」


私はふてぶてしく、それでいて愛おしさを込めてニヤリと笑うと、セドリックも小さく笑い声を漏らした。彼は私の前に立ち、そっと私を抱き寄せた。


「君のおかげで、私は自分を見失わずにここまで来ることができた。これからは騎士団の長としてだけでなく、一人の男として、君を一生涯守り抜くと誓おう」


「ああ、頼んだぜ。もし筋の通らねぇ真似をしたら、俺がいつでもシメてやるからな」


教会へと続くバージンロード。

父親である公爵のエスコートでゆっくりと歩みを進めると、参列者たちから温かい拍手と歓声が沸き起こる。


祭壇の前でセドリックと向き合い、神父の前で誓いの言葉を交わす。

指輪の交換では、彼の手から少し不器用な温もりが伝わってきた。


「新郎は、新婦に誓いの口づけを」


セドリックは優しく私のベールを上げ、周りの視線も気にすることなく、深く、けれど愛おしさを込めて唇を重ねた。石鹸と彼の体温、そしてわずかなガーベラの匂いが混ざり合い、私の冷えきっていた裏社会の記憶を完全に溶かしていく。


これが、異世界転生で見つけた最高のハッピーエンドだ。


* * *


披露宴の終盤。

庭園のテーブルでワイングラスを傾けながら、私たちは集まった領民や騎士たちを眺めていた。


「ねえ、セドリック」


「どうした、エレノア?」


私は左手薬指のプラチナリングを見つめながら、不敵な笑みを浮かべる。


「私たちの仁義なき戦いは、これで終わりじゃないだろう? これからも領地を守るために、筋の通らねぇ奴がいたら二人でシメていこうぜ」


セドリックは呆れたように、けれど本当に楽しそうにワイングラスを掲げた。


「ああ、まったく。君らしいね。……これからもよろしく頼むよ、私の最愛の妻であり、最強の令嬢」


――最強の騎士と、極道の魂を持つ公爵令嬢の甘くて危険な恋物語は、永遠の絆という名の未来へ続いていく。

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