表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あの果てしない空の下  作者: kai
第一章
1/14

1.ビバ、異世界

・前作のあらすじ

有巣仁理は魔法も剣も能力も極めて神格実体にもなったけどラスボスが手に負えないくらい強くなった!なので神格実体の力で現実改変して全部無かったことにした!

能力が使えない世界じゃ生きがいが無い上に家族を火事で失ったことで仁理は完全に萎えて大学を中退。アパートも追い出され途方に暮れていたら宮本双葉に拾われて同棲することに!?

関係性も深まり仲睦まじく過ごしていた2人だが......

机の上から財布とスマホを取り、玄関へ向かう有巣仁理(ありすひとり)

「じゃあ、俺コンビニ行ってくる。何か欲しい物は?」

「お酒!あとゴム!」

「はぁ...昼間からお盛んなことで。」

「えへへ。照れる///」

「褒めてない。」

扉に手を掛ける仁理。

「んじゃ、行ってきます。」

「待って!行ってきますのチューは?」

「良いだろ別に。」

「いや!する!」

「はいはい。」


「じゃ、行ってきます。」

「気を付けてね。」

「はいはい。」

やれやれ、と言わんばかりの表情で扉を閉める仁理。

足取りは軽い。少し長いコンビニへの道も、いつもより楽しく感じる。


道中でふと、路地裏が目に付く。

「ん?」

フードの女性がチンピラ2人に絡まれている。

見るからに嫌そうな顔だ。

(やれやれ、サクッと助けてやりますか。)

「そこの。」

仁理が声を掛けると、チンピラはあからさまに不機嫌な顔で此方を見る。

「あぁ?てめぇ何様だぁ?」

「あえて言うなら、陰ながら街の人を救うヒーロー......かな。」

「舐めてんじゃねぇぞ!」

仁理にチンピラが殴り掛かる。

しかし、その拳は仁理の目の前で止まった。

「おぉ、怖い怖い。」

「てンめ、何しやがった!」

仁理が指を鳴らすと、チンピラは壁に叩き付けられて気絶する。

「次。」

「ひぃ!?」

背を向けて逃げようとするもう1人のチンピラ。

仁理が指を鳴らし、重力で地面に叩きつけた。

「ありがとうございます......」

フードの女性が戸惑いながら感謝を述べる。

「いえ。」

女性がフードを取る。

露わになったのは、金髪と尖った耳だった。

「......は?」

「やっと見つけた。私の王子様。」

「え?」

瞬間、女性の姿が消える。

「......は?」

理解不能な事象に困惑する仁理。

しかし、考えても仕方がない。取り敢えずチンピラに記憶処理を施し、仁理はその場を後にした。


「人助けって気分が良いもんだな。」

少し足取りが軽やかになる。

魔術や神器も、命を削りあう戦闘も、仁理が消してしまったためもう無いが、『 』(のうりょく)で人を救うのは気持ちが良いものだ。特に、チートで素人を圧倒するのが気持ちいい。仁理にとってチートは邪道ではあるのだが、生まれた時から持っている以上はもうどうしようもないだろう。

「差し詰め、『チート主人公、陰から平和を守ります』ってとこかな。」

この物語の始まりはここ。全部上手くやれる、仁理がそんな万能感に浸っていた矢先のこと。


次の瞬間、激しい目眩が仁理を襲った。


視界が明転と暗転を繰り返す。


不快感に耐えきれず財布を取り落とし、仁理はその場にしゃがみ込む。


強く目を瞑った次の瞬間、ふっと楽になった仁理は、目を開ける。


そこにはアスファルトではなく、明るい暖色の石畳。

「......は?」

顔を上げると、見慣れない顔立ちの人や獣人などが往来している。

「嘘だろ......?」



#1『異世界情緒は突然に』


「えー...っと......?」

往来で取り乱しても仕方ない。

人目を気にして、仁理は薄暗い路地に入る。

(状況を整理しよう。俺は現代日本に居た。地面はアスファルトで、車も走ってて、信号機もあった。)

通りに目をやると、大きな二足歩行の鳥類が引く車などが見える。

(異世界だ。明らかに異世界だ。石畳だけならギリわかるが獣人とダチョウもどきは完全に異世界だ。)

ともあれ、現状を把握しないことには仕方がない。

少し焦る気持ちの中、どこか高揚感を覚えている仁理であった。


(初期装備は濃紺のジャージと黒い靴か。財布落としたもんな。スマホは家に忘れてたし。)

ジャージのポケットには何も入っていない。

(折角の異世界なら新しいチートの一つでもくれりゃ良いのに。)

全くもって不親切である、と溜め息をつく仁理。

しかし、現在の仁理にはある特殊能力がある。それは『 』。名前の無い能力だが、前作でラスボスを倒した、つまりれっきとしたチート能力である。

(まさかのチート持ち込み系主人公なんて、前代未聞だろ。)

気を取り直して立ち上がり、仁理は往来に繰り出すことにした。


(ぜーんぜん文字が読めん。)

おそらく八百屋であろう店の前で、有巣は顎を撫でながら思案していた。

「なぁ、変な格好の兄ちゃん。何も買わねぇならどっか行ってくんねぇか?」

(ほう、言語は日本語なのか。)

「すみません。少し考え事をしてました。」

「考え事?どうしたんだ?」

「いや...それが......」

仁理は八百屋の店主に、自分が恋人を置いて家を出て、気が付いたら此処に居たこと、そして此処がどこかわからない旨を話した。勿論、混乱を招くため「異世界」という言及は避けている。

「そうか...そりゃ災難だったな......」

店主は同情を示し、店の奥で茶を提供してくれた。

(美味い...が、味わったことの無い味だな。この世界特有の物か?それとも俺の学がないだけか。)

我々の世界で言う所のコーン茶である。普通に学が無いだけだ。

「それで、これからどうしたいんだ?やっぱ恋人のとこへ帰りてぇのか?」

「んー、そうでもないですね。彼女なら俺無しでも上手くやれるでしょうし。」

「お前なぁ...人の心とかねぇのか?」

「ま、そんなもんです。いつまでも未練タラタラじゃ先に進めないので。」

仁理は立ち上がり店主にコップを返す。

「お茶と、話を聞いてくださってありがとうございました。お陰で少し状況の整理がつきました。」

「まぁ、そんなら良いけどよ。何かあったらすぐ周りの大人を頼れよ。兄ちゃん若ぇんだからさ。」

「ありがとうございます。」

快く微笑み、仁理は八百屋を後にした。


往来をデタラメに進みながら、仁理はこれからのことを思案していた。

(優先すべきはこの世界のシステムの把握だ。獣人が居るなら魔物が出る可能性もあるし、寝床も確保しなきゃならん。読み書きもいずれ出来るようにならなきゃいけないし、何より......)

仁理は、通りに面する本屋に視線を奪われる。

(魔法があれば使いたい......!)

「ねぇ、君。」

不意に話し掛けられ驚く仁理。

「ごめんなさい。何かしてる途中だった?」

「いえ、いきなり話し掛けられたので驚いただけです。」

「そう。なら良かった。」

真っ白な髪に透き通るような肌、そして明らかに優しそうな顔。これは正しく......

(うっわ、ヒロイン臭ぇ......)

そう、異世界の醍醐味、明らかにキャラデザが凝っているネームドキャラである。

(あんま主人公したくないんだけどなぁ......)

前の世界で仁理は「味方陣営の最強キャラ」を演じていた。しかし鍛錬が白紙になった今、異世界でそのムーブを続けるのは不可能である。

生憎、仁理は才能頼りのチート系主人公が嫌いだ。しかし現状、仁理に十分な時間は与えられていない。故に、このまま主人公を続ける他無いのだ。

(受け入れるか......)

「私はサフィア。あなたは?」

(フルネームじゃないのか。なら合わせようかな。)

仁理(ひとり)。」

「ヒトリ?初めて聞くような名前ね。」

(“ような”ということは、珍しい響きなんだろうな。カタカナ語じゃないし当然っちゃ当然か。)

残念ながら現代日本でも珍しい名前である。

サフィアは仁理の顔をまじまじと見て首を傾げる。

「ヒトリ、女の子みたいな顔をしてるのね?」

「えぇ......」


路地裏に入り腰を据えて話をする二人

「えぇ!?気が付いたらここに!?」

ヒトリの事情を聞き、サフィアは驚愕していた。

「声でっか。」

「ごめんなさい。あんまり可哀想だから、つい。」

「あんま可哀想なヤツに可哀想とは言わない方が良い。」

「なんで?」

「骨の髄まで搾取されるから。」

「そんなことないわよ!きっと良いことは自分に返ってくるわ!」

「お前すげぇよ......」

「すごい?そうかな。普通だと思うけれど......」

(純度100%の善意......俺みたいな根暗陰キャには眩しすぎる......)

「ねぇ、なんで目を逸らすの?」

「いや...俺みたいな根暗野郎は善意に曝されると溶けてしまうので......」

「ダメ!溶けないで!」

「あう......」


「よし、決めた!」

ぐっ、と拳を握って立ち上がるサフィア。

「私がヒトリを助けます!」

「いや待て。落ち着け。」

「はい......」

ストンと座るサフィア。

(素直だなコイツ。)

「サフィアはなんで俺に話し掛けたんだ?」

「そうだ!そうだった!」

有巣に顔を近付けるサフィア。

「私、迷子なの!」

僅かに身を引く仁理。

「迷子ぉ?」

更に近付くサフィア。

「そう!付き添いのユフィとはぐれちゃって。」

サフィアの肩に手を置き僅かに押す仁理。

「へぇ。そりゃ大変だ。」

また更に近付くサフィア。

「そう!大変なの!だから探すの手伝って!」

「いや近ぇって!」

「あぁごめんなさい!つい......」

赤面して元の位置に戻るサフィア。

「んで、その“ユフィ”の特徴は?」

「えっとね......」

サフィアはポケットから紙を取り出し、羽根ペンで絵を書き始める。

(絵が好きなのか......それとこれは羊皮紙かな?)

「こんな感じ!」

サフィアが仁理に見せた絵は、とても人や亜人の姿には見えないものだった。

「いや絵下手!?」

「えぇ!?これ結構上手く描けたつもりだったんだけど......」

「これで......?」

(黒一色だから余計判別に困るな......種族すらわからん。)

はぁ、と溜め息をつく仁理。

「ペン貸せ。俺が描く。」

「はい。」

「特徴は?」

「えーっと...髪が短くて。」

「髪が短い......」

「分け目は右。」

「向かって右?」

「向かって右。それと、髪が水色なの。」

「水色......字書けねぇや。」

「私が書くわ。」

ペンを受け取り迷わず文字を書くサフィア。

(俺が字を書けないことを不自然に感じなかった、ということは、日本と比べて識字率は低いんだろうな。)

再びサフィアからペンを受け取る仁理。

「んで、顔は?」

「えっとね......目がおっきくて可愛いわ!」

「あぁ......まぁ、美人ってことだけわかりゃ充分なのかな?」

適当に顔を仕上げる仁理。小学生の頃に少しだけ練習したためある程度の絵心はある。

「すっごい上手!こんな感じよ!」

褒めちぎるサフィアに戸惑う仁理。

はぐらかすように、最後の質問に移る。

「で、種族は?」

「猫の獣人!」

「一番大事じゃねぇか。最初に言え。」

「じゃあ最初にきいてよぉ。」

「知らん。」


「で、探してる訳だが。」

空は既に茜色に染まっている。

「一向に見つからねぇな。」

「ごめんね、こんなに付き合わせちゃって。」

「まぁ、他の人にノコノコついて行って騙される方が厄介だからなぁ......」

「私のことは疑わないの?」

「残念ながら、困りごとは解決したくなる性分でね。」

その時、2人の背後から駆け寄る者が一人。

「サフィア様!」

サフィアの名を呼んだのは、水色の髪にケモ耳と尻尾もあるタイプの獣人だ。

「ユフィ!」

(この人がユフィか。)

「そちらの方は?」

「ヒトリさん!一緒にユフィを探してくれたの!」

「えっと...まさか今日知り合った方ですか?」

「そうよ!」

笑顔で答えるサフィア。

仁理の気まずそうな様子を見て、ユフィは何かを察したようで、溜め息をつく。

「まぁ、今回は何事も無かったので良かったですけど...知らない人を頼るのはやめてください。」

「でも......何か困ってそうだったから、力になりたくて......」

「困ってそう?」

仁理に再度視線を向けるユフィ。

「何かあったんですか?」


仁理が事情を話すと、ユフィは目を丸くする。

「まぁ!それは災難でしたね......」

「正直、帰る方法は探さなくて良いんですが......生憎、此処に適応する術を持っていないので。現地の人の力を借りたいなと。」

「それで、私が助けることになったの!」

意気揚々と胸を叩くサフィア。

「サフィア様はお優しいですね。」

「全くだ。あんまり優しいと足元掬われるぞ。」

「ヒトリ様......今から助けられる側の人がそれ言います?」

ユフィの言い分は最もである。

「あい...とぅいまてぇん......」


「だからってサフィアの部屋に泊まることはねぇだろ。」

「しょうがないでしょ!私もお出かけの途中だったんだから!」

髪を解いてカチューシャを外し、サフィアはベッドに腰掛ける。

「ユフィも何故ノータッチ?」

「私が見てますので。」

「そらそうか。」

そして、話はサフィアの現状のことに移る。

「そういえば、お出かけって言ってたけど、サフィアはなんでこの街に?」

「明後日、王様の謁見式があるの。」

「謁見式か。」

「ヒトリも来る?」

「謁見式か......」

(謁見式ってフォーマルな場だよなぁ......俺フォーマルな場は嫌いなんだよなぁ......)

「謁見式には色んな所の領主さんや付き添いの騎士さんが来るのよ!」

(色んな所の......!ネームドキャラの会合...!なんなら「最強の騎士」とか「最強の魔法使い」とかも居るかも......!)

鋭く息を吸う仁理。

「行きます。」

「ほんと!?じゃあ、仁理は私の従者として参加ってことでいいのよね?」

「そうなりますね。」

「なら、明日新しい服を買いましょ!それに、他に欲しい物があればなんでも言ってね!」

「なんでも!?謁見式への参加といい、サフィアって何者なんだ......?」

仁理の疑問に、ユフィが口を開く。

「辺境伯であるハインツ・フォー・クロード様の養子であり、代理でございます。」

「ハインツ・フォー・クロード......」

おそらく、サフィアは仁理をクロード領に招くであろうことが確定している。断ろうが断るまいが、お人好しのサフィアのことだ、仁理を連れて行きたがるに違いない。何より、仁理はサフィアの従者として謁見式に参加するのだから、それなりに筋は通さなければならない。

そこまで考えて、仁理はある考えに思い至る。

(辺境伯ってことは、辺境まで統治が行き届いているってことだよな......)

仁理の望む闘争とよくあるなろう系の無双シナリオは、この世界では起こりそうも無い。そう確信し、頭を抱える仁理。

(クッソ......こんなの異世界詐欺じゃねぇか!!)



#2『凛として爆焔』


翌朝。

「おはよう、ヒトリ。」

仁理が目を覚ますと、目の前にサフィアの顔がある。

「......何故?」

「床で寝たら風邪ひいちゃうでしょ?」

仁理は上体を起こし、伸びをする。

「ユフィさんは?」

その時、ノック音が響く。

「どうぞ。」

サフィアに言われ、入室したのはユフィだ。

「ユフィは此処に居ますよ。」

「おはようユフィ。早いのね?」

「お2人が遅いんですよ。それに、昨晩注文した装備が届きましたから。」

「装備か。」

仁理が頼んだのは和装と日本刀である。

「東にあるワモンという都市で用いられている民族衣装と、伝統的な武器です。」

「ワ装とワモン刀ってとこか。」

「はい。お詳しいのですね?」

「今適当に言っただけ。」

「あら。そうですか。」

仁理はワ装に袖を通し、腰にワモン刀を差し、髪を一つに結ぶ。

「まるで実家に帰ったかのような安心感だな。」

「すごい!似合ってるわ!」

刀の柄を撫でる仁理。

一方、ユフィが首を傾げる。

「躊躇なく女性の前で着替えるんですね?」

「......まぁ、見せて減るような身体してないし......」

「あぁ......」

憐れむような目を向けるユフィだった。


ユフィが退室し、サフィアと2人きりになる仁理。

「それで、ヒトリ、この後何かしたいことはある?」

「サフィアは無いの?」

「んー、特に無いなぁ。」

そうかぁ、と何処か上の空な仁理。

「どうしたの?」

「どうした......どうしたとかこうしたとかじゃないんだけどな。」

仁理の脳内はただ一つ、昨日見た魔導書のことで埋め尽くされている。

「強いて言うなら、アレだ。」

「アレ?」

「魔法が使える剣士とか......かっこいいじゃん?」

一瞬、キョトンとするサフィア。

「た......確かに!」

(おそらく、魔法を使いながら戦う剣士なんて掃いて捨てるほど存在するだろう......しかし、俺には考えがある。)

仁理はサフィアの手を取る。

「ひゃっ!?」

「サフィア。俺は治癒魔法の使い方が知りたいんだ。」


「それじゃあまずは魔力の扱い方から!」

下腹部に手をやるサフィア。

「ここに意識を向けるの。」

(魔力の根源は丹田か。やっぱ人体構造は一緒なんだなぁ。)

下腹部に意識を向けると、仁理の身体を温かい物が廻り始める。

「お。」

「すごい!こんなに早く魔力を使えるようになるなんて......!」

(ま、知識チートあるからなぁ......)

以前の世界の改変前、仁理は“現代最強の魔法使い”として君臨していた。理由は、支援魔法を絡めない純粋な魔法火力では最強であり、かつ治癒魔法により継戦能力が高かったためだ。なお、その後の現実改変と異世界転移の影響により、全ての鍛錬の効果はリセットされている。

加えて残念ながら、知識チートなどは存在しない。何故なら、技術体系が完全に別物だからである。つまり、現在の仁理は純度100%の才能で魔力に到達したのだ。

「普通は魔力が見えるようになるだけでも1ヶ月はかかるのよ?」

(ん?操作の勝手が違うな......)

どうやら気付いたようだ。

(ま、使えりゃ関係ないか。)

仁理は寛容な男である。理由などは細かく考えないのだ。

「じゃあ、魔力の操作は時間をかけてやるとして......何か目標を立ててみる?」

「目標?」

そこでサフィアは、鞄から本を取り出した。

「魔導書?」

「そんなに大層なものじゃないわ。初心者用の指南書よ。」

「なるほど。基礎からやろう、と。」

サフィアはページを捲り、終盤辺りのページを開く。

「使ってみたい魔法を目標にしましょ!ささ、選んで!」

「と言っても、字読めないんだがな......」

パラパラとページを捲る仁理。

「多分、ヒトリの魔力は氷属性だから、氷の魔法を選びましょ!」

しかし、仁理の目に付いたのは、最後のページだ。

(この構造式......!)

算用数字は違う。言語も違う。数学用記号も、単位も違う。しかし、文字の並び、そして何より魔法陣に、仁理は見覚えがあった。

(親の顔よりも見た、あの......!)

「貫通魔法か!!」

貫通魔法。属性は無いものの、防御系の魔法を悉く貫通し、発生も速い。魔力を大量に消費して放つ、一撃必殺のロマン技。

「えぇ!?貫通魔法!?」

何より、前の世界で魔力回復が速かった仁理は連発が可能だったのだ。

(魔力の操作は違うが、少し練習すれば使える!構造式が同じだから!!)

「ま、まぁ...いいんじゃないかな!うん!ヒトリならきっと使いこなせるわよ!」

一撃必殺のロマン技。言うまでもなく、仁理の大好きな系統の技である。

(おやぁ?ちょっと反応が微妙だな......?)

しかし、反動の大きさや周囲の反応で止まるほど、仁理は堅実ではないのだ。

(まいっか!!)

この男、馬鹿である。


休憩がてら、街に出て昼食をとる仁理とサフィア。

ステーキを頬張りスジに苦戦しながら、仁理はこの先を考えていた。

(貫通魔法は威力が高い。それに、今の俺だとガス欠が近い。試し撃ちは広い場所で、そして介助者を連れてやらなきゃな。)

目を瞑り、炭酸飲料を嚥下する。

(大きな戦闘が発生する前に何処かで調整(チューニング)を挟みたい所だが......)

顔を上げるとサフィアと目が合う。

サフィアは、仁理に優しく微笑みかけた。

(ロマンとか理解出来るヤツじゃないよなぁ......人様に迷惑が掛かるからダメって......ん?ダメ?)

置いた食器が音を立てる。

(ダメって、“駄目”だよな。囲碁で有効打にならない手を示す、あの“駄目”だよな。ってことはこの世界に囲碁があるのか?それとも、言語体系の大元が日本にあるのか?もしくは他の未知の力が働いているのか?)

「食べ終わった?なら出ましょ。」

「はい。」

(ま、分からない以上、考えても仕方ないか。)


店を出ると、黒いローブの男が歩み寄って来る。

「アナタ、愛を信じていますか?」

ねっとりとした喋り方だ。

(いや顔怖ッ!?)

「私は!アンノウン・アンダー・アンジェラレジアン!!勤勉で!無欲で!敬虔なる愛の信徒!!」

頭を抑え仰け反るアンノウン。

「......でありたい者。デス!!!」

(変なヤツだ!!)

「信心深いのね!」

「えぇ!そうです!そうですとも!!」

アンノウンは、懐からある本を取り出す。

「アナタも......愛を、信じませんか?」

(うっわ宗教だ......)

呆れ顔の仁理とは裏腹に、サフィアは目を輝かせる。

「ええ!信じるわ!」

(えーマジかぁ......)

「素晴らしい!素晴らしい!素ン晴らしい!!」

バッ、と身体を傾け、仁理の耳に寄るアンノウン。

「アナタ、有巣仁理様ですね?」

仁理の背筋を悪寒が伝う。

(転生者か転移者!もしくはそういう能力者か!?何にせよ前世での所業をバラされたら困る!「いやぁ俺なんかやっちゃいました?」が出来なくなる!!)

「安心してください。アナタのことを皆に言いふらしたりは致しません。むしろ私はアナタに感謝しているのです。」

「感謝?」

「ハイ。アナタはあの世界の異変を駆逐したのです。」

「異変......」

(そうか、俺が能力とエネルギーの因果を潰したから、能力特異点による人類滅亡を回避出来た、という筋書きか。)

「成程。」

咳払いをし、アンノウンは2人に背を向ける。

「もし困ったことがあれば、私の名をお呼びください。必ず!必ずや!アナタ様の愛に報いて差し上げましょう!!!」

振り向き、直角にお辞儀をするアンノウン。

「では、私はこれにて。」

ポン、と音がしてアンノウンは消えた。

「何なんだ一体......」

「ねぇ、何の話をしたの?」

「こっちの話です。」

「おやおやおや!これはこれはサフィア嬢じゃありませんか!!」

その時、2人に近寄る男が一人。

「そちらの殿方はどちら様ですかな?」

(テンプレみたいな嫌味貴族だな〜......)

オカッパの金髪に紫のタキシード。そして、肉付きはあまりよくないヒョロガリ体型。

そして後ろには、やる気の無さそうな無精髭の騎士。

(創作のテンプレ的に、こっちは強そう。)

「この人は」

「おやおや!女性の方でしたか!」

明らさまにサフィアの言葉を遮る男。

「勘違いしていました!あまりにも、平らなものですから。」

「Oh.」

「ちょっと!失礼よ!それに、この人は男です!」

「男ぉ?」

男は仁理の腕を掴み腰を掴み、顎を掴む。

(めっちゃベタベタ触るやん。)

「この貧相な身体と女々しい顔でぇ?」

(良い香水使ってんなぁ。)

「ヒトリ、言ってやりなさい!」

「え、何を?」

「アレよ!アレ!」

「アレ......?」

「どれだ...!?マジでどれだ...!?」

「あのアレよ!」

「どのどれ!?」

「んーもう!しょうがない人!」

コホン、と咳払いをするサフィア。

「ヒトリは私の騎士様なの!」

一瞬面食らった後、男は吹き出す。

「ハッハハ!コレがぁ!?片腹痛い!!」

食ってかかろうとするサフィアを仁理が止める。

「ヒトリ......!」

「やめてください。今は出先ですよ。」

「でも!」

「でもじゃありません。このような場合は苛立ったら負けですよ。」

「ッハハ!余裕ぶりやがって!内心悔しくて仕方ないんだろぉ!」

(余裕の無さそうなのはお前だろ......)と思いつつ、有巣は口元に手を当てて微笑する。

「ふふ。お可愛いこと。」

「な......っ!?」

男に衝撃走る。

その様子に、サフィアも思わず吹き出した。

と、男は姿勢を直し咳払いをする。

「そういえば、結婚の話は考えてくださりましたかな?」

「えっと...それは......」

「嫌、なのですかなぁ?」

(断りたきゃハッキリ断りゃいいのに...と思ったが、立場やら何やら事情があるんだろうなぁ。貴族っぽいし。)

仁理はそこそこ察しの良い男である。

「でしたら!騎士同士を戦わせて決めましょう!」

「え!?」

「おっと?」

はぁ、と溜め息をつく無精髭の騎士。

「そんな横暴な!」

「貴方の騎士様なんですよねぇ?信用してやらないんですかぁ?」

「ぐ......っ!それは......」

「このあとすぐ!闘技場にてお待ちしておりますので。」

では、と言い立ち去る男。

(こりゃ厄介なことになったな。)

「まずい......まずいわ。」

「あの方は誰なんです?」

「王都の近くに領地を持つカビキラ・モンブラン卿よ。」

(カビキラー?モンブラン?)

「そして、後ろにいた方は王都直属騎士団長、ベルモンド・バーンズさん。最強の騎士と呼ばれてるわ。」

「最強......え、ヤバいじゃないですか!?」

「そうなの!ヤバいの!今際の際なの!!」

(勝てば目立つ!負ければサフィアが結婚させられる!......いや、後者のがマシか。よし!適当に戦って負けよう!)

「ヒトリ......」

仁理の顔を見上げるサフィア。

「私を助けて......」

(えー......)

「......しょうがないにゃあ。」

「にゃあ?」



騒々しい観客に顔を顰める仁理。

(どうも!有巣仁理です!)

「面倒臭ぇなぁ......」

後頭部を掻きながら出て来るベルモンド。

(俺は今!絶対絶命のピンチです!)

「んでも、カビキラ様からの命だ...やるしかねぇな。」

(普段だらけてるけど超強い系の最強キャラと!戦うことになりました!!)

観客席で妄想に耽るカビキラ。

「ぐへへ...サフィアと結婚してあ〜んなことやこ〜んなことを......!」

(あんな野郎と結婚させられるかぁ!!!)

「俺ぁベルモンド・バーンズ。騎士団長だ。」

剣を抜くベルモンド。

「構えろ。」

「待って!本気で殺し合う気!?」

客席から声を上げるサフィア。

しかし、

「いえ。問題ありません。」

「ヒトリ......!」

仁理は異議の申し立てを拒否した。

(ヒトリ、きっと策があるのね!)

(やっべぇ!マジでやっべぇ!こんな所で貫通魔法ぶっ放しても『 (くうはく)』使ってもぜってぇ目立つ!)

調整は終わっていないが、仁理は一応、貫通魔法を使える状態である。

仁理は刀を抜き、構える。

「落ち着いてんな。それなりに修羅場をくぐってきた、と見た。」

(正解なんだけどなぁ!図星なんだけどなぁ!)

内心は動揺しまくっている。

「あぁ。それなりに、ですが。」

緊張の糸が張り詰める。

「私は有巣仁理。サフィア様専属の護衛騎士です。」

「アリスぅ!?女みたいな名前じゃねぇか!!」

「カビキラ様。ちっとばかし黙ってていただけますか。」

ベルモンドのただならぬ様子に口を噤むカビキラ。

「アリスは姓だな。アリス・ヒトリ。その服といい剣といい、ワモンの人間か。」

「まぁ、似たようなものです。」

他の観客も騒がしくなる。

その時、仁理が刀を横に振った。

風を切る音。その様子を見て、皆が黙る。

(えぇ!?なんで黙るの!?)

仁理の想定外だったようだ。

「やる気、だな。」

(うわめっちゃやる気だぁ。)

ベルモンドも、一層真剣な眼差しになる。

(おそらく手加減してくれるだろうが。おそらく殺されはしないだろうが。観客、ましてや剣の心得の無い素人にそれは判らない。互角にやり合うだけで目を付けられる。)

「ヒトリ!やっちゃえ!!」

(うわあんま騒がないでぇ......今見合いで時間稼いでるからぁ......)

練度の高い剣士は、構えた状態で見合うだけで相手の力量が判る。構え方、立ち姿、息遣い、そして背格好から想定するのだ。無論、想定が覆る場合もある。

想定が覆るのは、相手が脇差、つまり第2の手段を持っている場合だ。

「お前、さては祝福持ちだな?」

(祝福......なるほど。此方では能力を祝福と呼ぶのか。......ん?)

「......何故、わかったのですか。」

「生憎、そういう祝福持ちでね。」

(チート持ちかよぉ!?)

即座に動揺を押し殺し、鋭く息を吐く仁理。

緊張の糸が張り詰める。

瞬間、

「風刃!」

ベルモンドの放った風の刃が空を切る。

仁理は刀身で受け流すが......

(重い!)

右手首からブチッと音がする。

(クッソ!関節が逝った!!)

もう右手に力は入らない。治癒魔法も無く魔力操作もザルな仁理はリカバリーが出来ない。

即座に仁理は右手と左手を入れ替えた。

「ほう?」

「なんの!」

仁理の刀を剣でいなすベルモンド。

仁理は返す刃でベルモンドのアキレス腱を狙うが、ベルモンドは余裕をもって後退して避ける。

「やるな。」

ベルモンドの剣が仁理の喉元まで迫る。

仁理はすぐさま身をかがめ、間一髪で避ける。

咄嗟に大きく距離を取った仁理。対して、ベルモンドはゆっくりと姿勢を戻す。

「祝福、使わねぇのか?」

「祝福は使いません。」

(右手首が使い物にならねぇ。このまま戦えば全身ズタボロで全治が年単位になる可能性すらある。)

刀を鞘に収める仁理。

(覚悟、決めるか。)

そして、鞘ごと刀を腰から抜く仁理。

「ヒトリ......何を......?」

(最強さんなら、止めてくれるだろ。)

「代わりに、魔法を。」

「良いねぇ。」

剣を構えて魔力を高めるベルモンド。

仁理も、刀を突き出して先端に魔力を集める。

(魔力操作はザルだ。しかし、フル詠唱ならなんとかなる!)

そもそも貫通魔法に詠唱は存在しない。つまり詠唱による精度上昇はプラシーボ効果によるものである。

仁理も当然理解の上だ。その上で、毎回適当な詠唱を口にしている。

「万死を紡ぐ誅悪の象徴 光差す月輪の摩天楼」

魔力が膨張し周囲が真っ青に染まる。

その様子に目を丸くするサフィア。

「魔を蝕むは我が刃 闇を穿つは我が覚悟」

魔法の精度はいかに集中出来るかで決まる。要は、自分の世界に入れるかどうかが魔法の才能に直結する。

「炎獄 無間 輪廻の牢」

仁理が高く上げた刀の先に、魔力の輪が現れる。

そして仁理の背中に、魔力の翼が出現した。

「アレは......!?」

「......来い。」

仁理のボルテージが上がる。

「ディ・アクティベイト」

瞬間、音が消えた。

「―――エクスプロード」

衝撃。

目を潰さんとせん程の魔力の光が場を支配する。

「嘘だろ!?」

「これが...一介の術師に許された力なのか......?」

光の柱が消えたのは、数秒後のことだった。

全てを出し切った、という表情の仁理。

しかし、ベルモンドは無傷で立っている。

「見事。」

「ッハハ。」

貫通魔法はその特性上、同等の威力による相殺を除いて、魔法による一切の防御を貫通する。

仁理はありったけの魔力を、たっぷりの練成時間で高めまくって放った。しかし、ベルモンドは未だ無傷で立っている。つまり、魔法以外の手段で防いだということだ。

「祝福ってやっぱクソだわ。」

鞘を腰に収める仁理。

(すっからかんだ。万策尽きた、と言うべきか。おそらく『 』なら祝福を貫通出来る以上、使用を視野に入れるべきか。)

そして、刀を鞘から抜く仁理。

「ほう?あれだけの攻撃を放って未だ魔力切れを起こさないか。」

「いえ、もう空です。」

仁理の脚が震えている。それでも刀を構え続ける仁理に、ベルモンドは感嘆した。

貫通魔法の魔力消費は多い。しかし、それ以上に、魔力ロスが多い。言い換えれば、燃費が悪いのだ。長めに詠唱を取り極度の集中状態を再現したとはいえ、未だ慣れていない仁理の雑な魔力操作では、貫通魔法は消費魔力の半分ほどの威力しか発揮出来ない。

しかし今回、仁理は術式に『 』の効果を絡めて魔力ロスを限りなく0に近付けた。無論、ベルモンドもそのことに気付いていた。ベルモンドは、その効率を承知の上で全魔力を消費した仁理に興味を惹かれたのだ。

「何故、そこまでサフィア嬢に肩入れする?」

「んー......強いて言うなら、」

ゆっくりと息を吸う仁理。

「俺は、浪漫を愛している。」

その濁った瞳で、まっすぐベルモンドを見据える。

「良い眼をしてんじゃねぇか。」

澄んだ金属の音が舞う。

もうロクに力の入らない仁理の左手から刀がすり抜けた。

瞬間、仁理の懐から、赤い水晶が飛び出す。

「魔鉱石か!」

ニッ、と笑うベルモンド。

「エクスプロード」

再度、青い閃光が迸る。

「リザレクション」

光が消える。爆撃は無い。

「何だと......?」

次の瞬間、仁理の右拳がベルモンドの顎を捉えた。

(治したのか......!)

ベルモンドは大きく仰け反り、体勢を整えようとしてよろけ、そのまま膝をつく。

(良い拳、入れるじゃねぇか......)

即座に仁理は刀を拾い、ベルモンドの喉元に突き立てた。

「一つ、お前に嘘をついた。」

「......何だ。」

「俺は騎士じゃない。こんな姑息な勝ち方をする、騎士道に反した人間だ。」

ベルモンドは、絞り出すような声で小さく笑う。

「......いや...お前は、立派な騎士だ。誰がどう言おうとな。」

仁理は刀を鞘に戻し、その場を後にする。

先程までの騒々しさが嘘のように、闘技場は静寂に包まれていた。



「いやぁ、油断しちまいました。」

「お前はいつもいつも!なんっで肝心な時に役に立たないんだよお!!」

「身体も細く、魔力も雑。これで油断しねぇ方がおかしいですよ。」

「第一!最後の一撃はなんで当たったんだよ!!」

その言葉で、ベルモンドはうって変わって真剣な表情になる。

その様子に気付いたカビキラも、少したじろいだ。

「一瞬、彼の動きが読めなくなりました。」

「......どういうことだ?」

「そのままの意味です。祝福を弾かれたんですよ。」

「祝福を......!?なんで......」

「おそらく、そういう祝福かと。」

「アリス・ヒトリか......覚えとこう。」



(やらかしたかなぁ。)

魔力が切れたため宿のベッドで静養する仁理。

(結局、能力使っちゃったなぁ。チートは出来るだけ使いたくなかったんだが......まぁ、特殊勝利しか出来ない相手だろうし妥当か。)

「それで......」

ベッドの隣の椅子に座り、サフィアが目を輝かせている。

「......何か?」

「ベルモンドさんに攻撃を当てるなんてすごい!」

「あー......理由を聞いても?」

「ベルモンドさんはね、祝福の力で全部の攻撃を避けられるの!」

「避ける、ねぇ。」

(おそらく他にタネがあるだろう。でないと貫通魔法から生還は出来ない筈だ。別口か、あるいは汎用性の高い祝福とやらか。)

「祝福って一人で複数持てるんですかね?」

「どうなんだろう?持てるんじゃないかな。」

(じゃあ複数持ちはほぼ確定か。他人の能力有無の把握と防御。おそらく回避は素の実力だろう。加えて魔法を使える、文句なしの最強って訳か。何にせよ、防御を公にしていないっぽいのが救いか。)

「攻撃を当てたのは体勢を崩した隙を狙ったのでまぐれです。本当なら、貫通魔法が通用しなかった時点で勝負は決まっていた。」

「ううん、そんなことないわ!魔鉱石を使った誘導が効果抜群だったもん!」

魔鉱石とは、魔力の籠った石のことである。天然ものは希少であり養殖も難しいので、ここぞという時のみ使用が推奨される。

「ふふ。魔鉱石を持たせてくださったサフィア様のお陰ですよ。」

「あんなに上手く使ってくれるとは思わなかったけどね!」

(本来なら道具に頼るのは不本意と言うところだが、状況が状況だ。それに、使い捨ての道具を使った即席の策とかテンション上がるし!)

「というか、様付けするのやめてよ......ちょっとむず痒いというか......」

「いえ、止めませんよ。私はサフィア様の騎士ですから。」

にっこりと微笑みかける仁理。

「......むぅ。」

一方で、目を逸らし赤面するサフィアだった。

Tips:『 』

名前が無いため便宜上“空白”と呼んでいる有巣仁理の能力。効果は、「様々なものを0にする」というもの。

前作「あの果てしない空の果て」におけるこの能力が最高峰に限りなく近いスペックなのだが、転移の際に神化を失い異世界にチューニングされてかなり下方修正をくらった。なので現状この能力はその他の祝福と同じ仕様になっており、現実改変などは不可能になっている。

核が仁理の魂に結び付いているため魂ごと破壊しなければ完全消去は不可能。逆に、この能力のせいで仁理は何度死んでも次の世界に記憶を持って転生出来てしまう。

なお、ルーツは不明。仁理は生まれる前からこの能力を持っていたにも関わらずこれを「外付けの力」と認識している。

また、転生の設定がこの作品で生かされることはない。主人公が死んだら作品終わっちゃうからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ